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【J2第27節レポート】辛抱強さで奪った勝点3

120807_01.jpg 2012Jリーグ Division2 第27節
FC岐阜-アビスパ福岡
日時/2012年8月5日(日)18:00
会場/長良川競技場
結果/岐阜0-3福岡

取材・文・写真/中倉一志

 スコアは3-0。結果は福岡の完勝だった。しかし、決して簡単な戦いではなかった。局面を振り返ってみれば苦しい場面も少なくなかった。運動量が落ちて岐阜のカウンター攻撃からピンチにさらされる場面もあった。いつものように、不注意なミスからゴールを脅かされる場面も作った。長良川競技場で表現したサッカーは、必ずしも両手を挙げて喜べるようなものではなかったことも確かだ。そんな試合を、4連敗中という重苦しい雰囲気に耐え、押しつぶされるようなプレッシャーをはねのけ、選手たちは我慢強く戦った。その結果の勝点3。福岡は、まずは連敗を4で止めた。

 福岡は4連敗中。岐阜は5試合勝ちなし。互いのチーム状況もあってか、試合は慎重な立ち上がりを見せる。ファーストシュートは福岡。7分、ペナルティエリア内でフリーになっていた西田剛がヘディングシュートを放つ。そして、そのまま福岡が主導権を握った。それでも、福岡は慎重な姿勢を崩さない。「攻め急いで点が取れず流れが悪くなるという試合が続いていたので、今日はボールを支配しながら落ち着いてゲームを進めることを意識していた」(鈴木惇)。その言葉通り、鈴木、末吉隼也のところでボールを落ち着かせると、縦に急がずにボールを失わないことを優先して試合を進めていく。
 対する岐阜は守備重視の陣形。ボールをポゼッションする福岡に対して、前からプレスに行かずに自陣にブロックを形成して待ち受ける。互いの心情を反映した試合は、膠着状態のまま進んでいく。

 試合の均衡が破れたのは27分。中央でボールを受けた城後寿が右サイドへ展開。そのボールをオーバーラップしてきた和田がゴール前へ。そして、西田剛がヘディングで合わせた。「いまの自分たちには先制点が必要」と、試合前に話していた西田だが、自信を失いかけていたチームに大きな勇気を与えるゴールだった。
 そして、その後も福岡はボールをポゼッションすることを優先。岐阜は1点ビハインドにも拘わらず、自陣で待ち受けるばかりで、攻撃の手段は前線に向かって単調にロングボールを放り込むだけ。再び膠着状態に陥った試合は、そのまま前半を終了した。

 後半も流れは変わらず。アバウトに前線に放り込む岐阜と、あくまでもリスクを抑えて戦う福岡の試合は、淡々と、何事も起こらないままに進んでいく。そんな試合に変化が訪れたのは55分を過ぎたあたりから。福岡の運動量が落ち、不用意な形でボールを失う場面が増え、岐阜がそれに乗じてカウンターからゴールを狙う。福岡にとっては、4連敗中の試合を思い起こさせるような展開。嫌な空気がスタジアムを包む。
 その流れを引き戻したのは、途中交代でピッチに立った石津の仕掛ける姿勢だった。76分、その石津がもらったゴール正面でのFKを鈴木が左足で直接ゴールネットに突き刺して試合の流れを引き戻すと、86分にも石津がドリブル突破からチャンスメイク。そして、石津からのラストパスに西田が左足で合わせて勝負を決めた。

 内容を振り返れば、決して3点差がつくような試合ではなかった。福岡が失点してもおかしくない場面もあり、岐阜の拙攻に助けられた部分もある。しかし、この日の福岡にとって必要だったのは内容ではなく勝点3。そういう点では、今の福岡にとっては意味のある勝利だった。
 ただし、単なる勝利で終わらせてしまっては、再び同じことを繰り返しかねない。チームが目指しているのはJ1昇格。依然として厳しい状況にあることに変わりはなく、連敗を止めたからと安心している時間はない。ホッとするのは、この日だけでいい。

 福岡がやるべきは、自分たちが置かれた状況と、自分たちの現在の力を冷静に、且つ、真摯に受け止め、残るリーグ戦を勝ち続けるために必要なものを手に入れるために何をすべきかを整理すること。そして、今まで以上に厳しい姿勢でトレーニングに臨むことだ。勝ったからこそ冷静に受け止められる課題もあるはず。そこから目をそらさずに、ひとつずつ積み上げていかなければならない。「今まで自分たちで落とし続けてきた勝点を取り戻すには勝点3を取り続けるしかない。そのためには、前後半の立ち上がり、終了間際にしっかりと注意して試合を進め、自分たちの流れの時に点を取れるような流れを作る必要がある」と話すのは古賀正紘。それを繰り返し表現してこそ、遠くに見える灯りが近付いてくる。まずは次節の湘南戦。そこで勝利を得てこそ、この日の勝利に本当の価値が生まれる。


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