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【フットボールな日々】強さと勇気

取材・文・写真/中倉一志

 第10節の東京V戦は、悔しいと言うよりも、ただ、ただ、残念な試合でした。試合後の記者会見の冒頭で、前田浩二監督は「喧嘩に負けた」と話しましたが、その言葉通り、戦術云々の前に、戦う気持ちを表現できないままに敗れてしまいました。大型連休中に行われる4試合がJ1昇格争いの最初の山場であることは、選手たちが分かっていたことですし、集中の高いトレーニングも出来ていました。正直、このような試合になることは全く予想ができませんでした。

 勝負の世界にいる以上、勝利も、引き分けも、そして敗戦も、等しく結果として正面から受け止めなければなりません。どんな結果にも一喜一憂せずに、常に自分たちがやるべきことを整理して、その実現のためにコツコツと積み上げていく。それしか自らを高める方法はありません。しかし、この日の試合は、敗戦という結果を受け止める以前の問題。その戦いぶりは、J1昇格を口にしているチームとしては受け入れがたいものでした。

「自分たちのサッカーを出来る時と、出来ない時の差がありすぎる」。これは徳島戦後の成岡翔の言葉ですが、ここまでに敗れた4試合を振り返ると、力関係から見て同等以上の相手や、勢いのあるチームとの対戦では、ネガティブなプレーに終始することが多く、自分たちの目指すサッカーを表現することなく完敗しています。サッカーは相手があるスポーツとは言え、上手くいかない状況をはね返せないチームを見るにつけ、メンタル面での未熟さを感じざるを得ません。

 実は、この問題は、福岡が初めてJ2に降格した時から、歴代の監督が等しくぶつかった壁でもありました。松田浩監督(現栃木SC監督)、川勝良一監督(現東京V監督)、リトバルスキー監督、篠田善之監督(現FC東京コーチ)、そして浅野哲也監督と、誰もが、トレーニングの内容に関係なく、相手やシチュエーションによって変わる精神状態に悩ませられてきました。「勝者のメンタリティに欠ける」「リバウンドメンタリティを持っていない」。結局、その弱さがJ2でのプレーを余儀なくされている大きな要因の一つだと思います。

 言いかえれば、J1昇格争いは自分たちの心の中にある弱さを克服する戦いであると言えます。どんな相手に対しても自分たちのサッカーをやり抜く強さを持てるか。逆境をはね返す強さを持てるか。仲間を代表してピッチに立つ責任と自覚を表現する勇気を持てるか。それを実現した時、初めてJ1の扉が見えるのだと思います。東京V戦が情けない戦いだったことは選手たちが一番自覚しているはず。明日の甲府戦では、その想いをピッチにぶつけてくれることを願っています。


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