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【フットボールな日々】慌てず 騒がず 一歩ずつ

取材・文・写真/中倉一志

 立ち上がりは悪くなかったと思います。鈴木惇が先発に復帰したことで、ボール回しに緩急が生まれたことや、「いい守備からのいい攻撃を意識した」という末吉隼也が、過去の試合と比較して全体のバランスを整えることに注力したこと等もあって、立ち上がりからアビスパが目指す「攻守に渡って主導権を持って試合をコントロールする」戦いができていました。ただ、その結果として奪った早い時間帯の先制点が、選手たちの心理面に微妙な影響を与えてしまったようです。

「安心したというか、今日は行けるという感じになって、リスクを負ったパスが減ってしまった」(神山竜一)
「1点取ってから、全体的に守りに入ったような感じがあった」(畑本時央)
 試合をコントロールするという意味では悪くはなかったとは思いますが、縦パスを前に付けられずに攻撃のスイッチが入らず、選手個々の動きにも、ブロックを作って守りを固める水戸の守備を崩すようなダイナミックさが欠けていました。守備が機能せずに2連敗中であったことが、心理面に影響していたのかも知れません。

 勝負という観点では、先制点を奪った後の30分間が試合の行方を決めたと感じています。水戸は手堅い守備がベース。押し込みながら得点を奪えない時間帯が続いたことで、水戸の良さを引き出してしまいました。この時間帯で追加点が奪えれば、おそらく、試合は決まっていたと思います。後半にも福岡に何度かチャンスがありましたが、オープンなゲーム展開は福岡にとっては避けたい展開。福岡にとっての勝負所を逃したことが、引き分けという結果を招いてしまった要因だと思います。

 さて、最大の懸案事項であった守備は1失点。「後ろからうるさいくらいに声が聞こえていた」と高橋泰が振り返ったように、今まで欠けていたアラートさを、声で要求し合うことで一応の改善を見せたと思います。ただし、戦術面から見た守備はまだまだ。前田監督の記者会見の言葉から推察されるように(J's GOAL参照)、今まさに、守備組織を構築している最中である福岡にとっては、自分たちの形を作るまでには、少し時間が必要だという印象を持ちました。

 さて、リーグ2位のゴール数を挙げている攻撃は十二分に及第点を与えられると思います。ただし問題は全体のバランスをどのように整えるかということ。そのためには守備組織の構築が不可欠で、J2優勝、J1昇格を目標にしているチームは、その速度を如何に速くするかが問われています。しかし、マジックも、特効薬もない勝負の世界では、慌てず、騒がず、しかし、確実にチーム力を積み上げながら前へ進んで行くしか方法はありません。次節の徳島戦では、何を積み上げ、どうやって勝点3を取るのか。そこに注目したいと思っています。


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