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【美酒佳肴】昭和が香る松山の酒場

居酒屋「なだ」
愛媛県松山市湊町5-3-1

松山市駅から歩いて30秒。ありふれた店だが、ひとつひとつの料理に親父さんの腕の確かさが感じられる。地元の酒好きのおじさんたちの方言を聞きながら飲む酒は、心も体も暖かくしてくれる。


文・写真/中倉一志

 アビスパを追いかけて日本中を旅するようになってから9年目。観光客目当てではなく、地元の人たちが集まる店を覗いて歩いているうちに、お気に入りの土地や、お気に入りの店ができるものです。その中のひとつが松山。昭和の色を濃く残す町は、「3丁目の夕日」世代の私にとっては、どこか懐かしく、そして心が落ち着く町です。今回は2年ぶりの訪問になりましたが、足を運ぶのを、とても楽しみにしていました。もっとも、試合を取材に行く気は、さらさらありませんでしたが…(汗)

 さて、試合を終えて松山市駅へ。目当ては松山に行ったら必ず立ち寄る居酒屋です。その名は「なだ」。何か名物があるわけでもなく、特別、地元を感じさせるものが出るわけでもありません。お酒好きが集まって、普通の肴で、思い思いに杯を傾ける店。いわゆる「○○○の酒場放浪記」に出てくるような、地域のおじさんたちに愛される店です。こういう店は1人で行くのに持ってこい。暖簾をくぐって、常連さんの邪魔をしないようにカウンターの一番端へ腰をおろします。

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 肴は、この店で必ず頼む「ほーたれ天」。ほーたれとカタクチイワシのこと。何の変哲もない肴ですが、サクッと揚がった衣と、口の中に広がるイワシの香りの絶妙なコンビネーションが、親父さんの腕の確かさを感じさせてくれます。そして、追加は春らしくタケノコの煮付け。タケノコのシャキシャキした食感と、タケノコ本来の味を大切にする薄味の味付けに思わずニヤリ。そして、芋焼酎を流し込みます。至福のひと時。ほんの数時間前に、とんでもなく嫌な思いをしたことなど、すっかり忘れさせてくれました。

 そして締めは、行くたびに気になっていた「中華そば」。関東での生活が長かった私にとって、中華そばと言えば、澄んだ醤油味のスープが目に浮かぶのですが、こちらは、やや茶色く濁った豚骨醤油のスープ。飲んでみるとイリコの味を感じましたが、それは四国ならではなのかも知れません。どちらかと言うと、徳島ラーメンを、もう少しあっさりさせたようなラーメン。美味しくいただいて、お店を後にしました。

 さて、もうひとつ松山のお店の情報を。それは、銀天街という大きな商店街の路地に入ったところにある「ことり」と「アサヒ」というお店。両店ともに、メニューはアルミ鍋に入った「鍋焼きうどん」と「いなりずし」しかありません。しかも、特別な材料を使っているわけでもなければ、特別な工夫もされていません。いわゆる、お母さんが台所で作ってくれた普通の「鍋焼きうどん」。けれど、これが何ともいいんです。両店ともに、開店と同時にひっきりなしにお客さんが足を運んできます。こういうお店が長い間続いているのも、松山の良さなのかもしれません。

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