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【天皇杯3回戦】福岡気持ちを見せられず 3回戦で姿を消す

111118_01.jpg 第91回天皇杯 3回戦
ベガルタ仙台vs.アビスパ福岡
日時/11月16日(水)19:00
場所/ユアテックスタジアム仙台
結果/仙台3-1福岡

取材・文・写真/中倉一志

 選手たちの覚悟の違いが結果に表れた試合だった。
「悪いときの我々の流れというか戦いになってしまった感じがする。全体的にもっともっと積極的にプレーしてほしかった」(浅野哲也監督・福岡)
「激闘を覚悟しよう。厳しい試合になる。ただ、今度は自分達の思いを一つにしよう。この天皇杯は勝ち進めばACLへ行ける権威のある大会。この震災が起きた年にファイナリストになることに意義がある」(手倉森誠監督)
 仙台に対し、リーグ戦で2敗を喫している福岡にとっては負けられない試合だったが、福岡は、その気持ちを表現することも出来ずに敗れた。「相手の方が全然上だったと実感した」とは岡本英也。悔しい気持ちはあるが、力の差を認めざるを得ない試合だった。

 試合は、福岡も、仙台も、まずは守りを固める所から始まった。互いに相手ボールになると素早く帰陣してブロックを形成。相手の攻撃を跳ね返しながらチャンスを待つ。しかし、福岡のラインが低い。福岡のサッカーは高い位置からの守備が生命線。下がって守るだけでは主導権を握られるのは当然の成り行きだった。セカンドボールを支配され、球際の争いで後手を踏み、やがて、仙台が前へ出る時間が増えていく。そして18分、仙台のCKをクリアしたボールが、ゴール前に詰めていた田村直也の正面へ。田村は胸トラップでボールを足下にコントロールすると、躊躇なく右足を振り抜く。突き刺さるボール。揺れるゴールネット。あっさりと仙台が先制点を奪うことに成功する。

 まだ試合は始まったばかり。福岡が挽回する時間は十二分にあるように思われた。しかし、福岡のナイーブさが仙台の2点目を生む。福岡との気温の差に戸惑いもあっただろう。J1最少失点の仙台に先制点を許したという焦りもあったのかも知れない。しかし、先制点を許したことで、明らかにチームの士気が下がった。それは失点を喫すると、何の抵抗も出来ずに敗れる今シーズンを象徴するような戦い方だった。そして先制点から4分後、武藤雄樹からのスルーパスがペナルティエリア内でフリーになっていた田村へ。その右足が福岡を突き放すゴールを奪った。

 これでチームとしての統一感を完全に失った福岡は、不用意に前がかりになっては、カウンターからピンチを作られる繰り返し。後半に入ると、最終ラインを上げてコンパクトなゾーンを形成し、ショートパスをつなぎながら前へ出る姿勢が現れはじめたが、それでも、チームとして表現したいものを明確に出来ずにゴールチャンスは生まれない。成岡翔のラストパスにニアで岡本が併せて1点差に迫るシーンもあったが、その直後にピッチに登場したハマゾッチはチームにフィットせずに攻撃が停滞。振り返ってみれば、福岡のゴールチャンスは得点シーンの1度だけだった。そして82分、宮路洋輔のクリアミスがゴール前にこぼれたところを、代ったばかりの中島裕希にゴールに蹴り込まれて万事休す。現状の問題点を改めて突きつけられる形で福岡の天皇杯が終わった。

 これで福岡に残された今シーズンの戦いはリーグ戦の3試合になった。思うようにならないシーズンは今もなお続いており、自分たちの思いをピッチで表現できない試合が続く。そんな選手たちに向けて、浅野監督は次のように話した。「これで天皇杯は終わったけれども、リーグ戦残り3試合、我々は見せなければいけない」。今の福岡に求められているのは、スタジアムに通い続けるサポーターのために、クラブを支え続ける人たちのために、そして、自分たちのこれからのサッカー人生のために、自分たちの想いと、背負っている想いをピッチで余すことなく表現すること。まずは19日の第32節・山形戦で躍動する姿を見せてほしい。

 そして、勝ち名乗りを挙げた仙台は、元旦の国立競技場を目指す。「1月1日に、あの国立競技場を金色に染めてみたい。震災が起きた年に我々がファイナリストとしてあの国立に立つことが、今年の1番の希望の光になれるんじゃないか。そういう話をチーム、選手達としているので、それを実現させたいと思っている」(手倉森監督)。天皇杯4回戦の相手はC大阪。攻撃力を前面に打ち出して戦うチームと、堅守を誇るチームの対決。どちらが、より自分たちの特長を表現できるか。それが勝負の鍵になる。注目の1戦は、リーグ戦終了後の12月17日にキックオフされる。


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