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仲間のためのゴールラッシュ。作陽がベスト8に進出

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西森彰=取材・文・写真

インターハイベスト4の作陽(岡山)と、開志学園JSCのゲームは、降り出した雨の中、行われた。キックオフ直後は、開志ペースで始まったが、作陽の高い決定力が流れを一変させた。前半16分、初村和香のコーナーキックからのボールを長身の蓮輪真琴が競り、こぼれてきたボールを、森本紗也佳がしっかりと決めた。

その2分後にも、右からのサイドチェンジを受けた山田優衣が、再びファーサイドへ上げて揺さぶる。3人のDFに詰められた初村だったが、浮き球を強引にシュート。ブラインドから出てきたシュートに、GK高橋夏純も手に当てるのが精いっぱい。「今年の選手は、しっかり蹴れる選手が多い。特別なことはしていないので、それぞれの選手が自主練習で身につけたものでしょう」と作陽の池田浩子監督。その特徴が発揮された2点目だった。

さらに28分、蓮輪が蹴ったボールを高橋夏純がファンブルしてしまい、ふわっとした弾道に合わせて走り込んでくる作陽の選手の姿は、当然目に入っただろう。また、降り出した雨が影響した可能性もある。これまでの予選で、幾度となくPK戦でチームを救う働きを見せてきた守護神だけを責めることはできない。

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前半で既に3点をリードした作陽だったが、その後も攻撃の手を緩めることはなかった。前後半ともに記録されたシュート数は11本ずつ。おとなしくゲームを終わらせるのではなく、さらに追加点を狙っていく。もちろん、早く試合を決めたいという心理も働いていたが、それだけではなかった。

「『みんながみんなのために戦える』部分が今年のチームの強さだと思っています。仲間のためにということを考えて、みんなが力を出してくれるチームワークには自信があります。『点差をつけることで、ふだん試合に出られない選手でもチャンスを与えてもらえる』というのはみんなの頭にあります」と主将の蓮輪。

ハーフタイムを挟んで盛り返した北信越女王の反撃も鋭く、山岸夢歩、石川くらら、間宮あさひらが決定機を迎えたが、作陽はGK中村香苗がビッグセーブを連発し、無失点に抑えた。奮闘の報酬として、山田愛葵、中村萌愛、神田絢音とベンチスタートを強いられた作陽の選手が、次々にピッチへと出ていく。「入ってきた選手に自信を持ってプレーしてもらうのが、自分の役目だと思っている」蓮輪をはじめ、ポジションチェンジしたレギュラーも各自の役割をこなしていく。


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そして71分、4人目の交代選手として高橋萌々香が呼ばれた。

「県大会、中国大会であれば、十分にレギュラーで出せる選手。ただ、全国のトップレベルを相手にした時には、なかなか試合に出してあげられない選手なんです。人柄もいいし、日頃から努力をしていることも知っている。でもそれをわかっていても、なかなか使ってあげられない歯がゆさがありました」

池田監督が「出してあげたいけれど、出してあげられなかった選手」だ。テクニカルエリアの一番前に出て「とにかく萌々香にボールを集めて、シュートを打たせろ!」と指示を送った。そして、アディショナルタイムに、チーム全員が待ち望んでいたゴールが生まれた。左サイドでボールをつなぎながら、前に進み、ラストパスはニアサイドに詰めていた高橋萌々香の足下へ。左足で放ったシュートは、後半、好セーブを続けてきた開志のGK高橋夏純が伸ばした両手の先を転がり、ゴールネットを揺らした。

完全に勝負は決していたが、そこで生まれた4点目がまるで決勝点であるかのように、チームは歓喜した。疲れを忘れたかのように、他の選手が駆け寄って祝福の輪を作った。そこから抜け出した得点者が、ベンチの池田浩子監督に抱きつく。教え子を抱きしめた指揮官の目にも涙が浮かんでいた。


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「いい結果を出せてよかったと思います。(他の選手にも『高橋たちを出したい』)そういう思いがあったんで、あのパスに至ったんじゃないかな。個も大事なんですが、最後にチームとして、戦えたんじゃないかなと思います。3年生は、このチームでは1月7日で終わってしまいます。その先も人生は長いですし、サッカーを続けて欲しいし、サッカーを好きでいてほしいと思います」(池田監督)

1月2日に行われるベスト8は、一昨年、苦杯を喫した東の大将格・修徳(東京)が相手だ。「自分たちがやってきたことを出せれば、勝てないことはない」と蓮輪。頂点を目指す上で、大きなゲームになりそうだ。
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