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2017チャレンジリーグの昇格争いはクライマックスを迎える。

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ゴールを狙う源間葉月(十文字10)と、体を張って守る平野麻美(静産磐田24)。

西森彰=文・写真


昨秋の参入決定リーグ戦を勝ち抜き、今季からチャレンジリーグに籍を置くFC十文字VENTUS。初参戦のチャレンジリーグEASTで15戦を戦い、9勝3敗3分け。堂々のトップ通過でチャレンジリーグ1~4位決定戦にコマを進めてきた。

昇格を狙うこのチームにとって不安要素はその開催日程だ。リーグ前半戦の快進撃を支えてきた小林一歩や蔵田あかりら高校生プレーヤーが、この昇格を賭けた戦いと並行して、高校女子サッカー選手権の東京都予選に臨まなければならない。さらに瀧澤千聖は、U-16日本女子代表=リトルなでしこのアジア選手権に招集されている。この試合でも、小林、蔵田ら高校組は、前日の選手権都予選の修徳戦に出場したばかり。ベンチで試合のキックオフを迎えた。

柴山桂監督は、彼女らに頼り過ぎるチームにならないよう、レギュラーシーズン中から選手起用には十分、配慮してきた。15試合で23ゴール(チャレンジリーグEAST3位)と、上向かない得点力にも目をつぶり、チームの核となるべき大学生、社会人選手たちに経験を積ませてきた。

対する静岡産業大学磐田ボニータはチャレンジリーグWESTの所属。近年、昇格争いに絡んできたチームだ。今季序盤は調子が上がらず、下位争いに巻き込まれていた。立ち直りのきっかけとなったのは、6月18日に行われた、チャレンジリーグWESTの第10節、JFAアカデミー福島とのゲームだったという。J1仕様のヤマハスタジアムに1,000名以上の観客を集めた試合で勝利し、「ここからはトーナメント戦と思って戦おう」という指揮官の檄に選手が応える。

これを機にリーグ最終節までの6試合を5勝1分けの無敗でフィニッシュ。NGUラブリッジ名古屋を勝ち点差1で退け、なでしこリーグ2部昇格を賭けた1~4位決定戦に3年連続で進んできた。もちろん、調子は上昇一途を辿っている。村松大介監督も「WESTでは、バニーズ京都SC(静産磐田に勝ち点差10)に独走されちゃいましたから」と言いながら「プレーオフではいつものようにコツンとやってやろうかと」笑みを湛えていた。


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シュートを放つ三輪玲奈。静産磐田にも勝負のカギを握る高校生がいる。

昇格を賭けたグループリーグの重要な初戦は、静産磐田が十文字の良さを消す形で展開。キックオフ直後こそ、慣れない人工芝でのプレーに気をつかって主導権を奪われていたが、時間とともに落ち着きを取り戻していく。

後ろから組み立てようとする十文字のビルドアップを許さず、司令塔・源間葉月から供給されるパスの道筋を寸断しにかかる。さらに、時おり蹴り込まれるロングボールには最終ラインがきっちりと対応。16時キックオフとは言え気温26.7度の中、チーム全体でプレッシャーをかけ続け、ペースを自軍に引き寄せた。

そして31分、相手ゴール前の混戦から、平野麻美が先制ゴールを奪う。さらに33分、河原崎希がコーナーキックを蹴ると、長身の堀江美月がニアで競って、ファーに流れたボールに寺田玲子。セットプレーに合わせて上がってきていた長身CBが追加点を挙げた。狙い通りの展開に持ち込んだ静産磐田は、後半も、蔵田、小林ら高校生組を投入した十文字に自由を許さず、そのまま2対0のスコアで逃げ切った。

ゲームプランに自信を持って走り切る静産磐田の選手たちの顔が印象的だった。

「自信が見えましたか? 今日のゲームについては『やろう』と言ったことが、しっかりとやりきれていた。きっと『自分のやりたいサッカーとは違うな』と感じている選手もいるはずですが、それでも、チームのために、その気持ちを殺してやってくれている。そこがウチの強みです」(村松監督)。

それも、こうして結果が出続けているからだろう。

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寺田玲子の追加点で、自信を深める静産磐田の選手たち。

次節は、磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場で、バニーズ京都SCとのWEST同士の対戦となる。「ホームで試合ができるのは大きいですね。グループリーグは3試合ありますが、次の試合に勝てば、もうそこで決まるくらいの気持ちで臨みたいと思っています」(村松監督)。狙うは、もちろん、なでしこリーグ2部への自動昇格だ。

もちろん、大和シルフィードを3-2で破って勝ち点3を得ているバニーズも、次のゲームの重要性は認識している。このゲームを観戦していたバニーズの千本哲也監督は「いや、これは手ごわいですね」と静産磐田への警戒を強めている。

「それでも、いつもどおり、落ち着いてバニーズらしくサッカーをできれば、勝てる確率は上げられると思います。監督は頼りないので『攻撃は選手にお任せ』(笑)。守備の声かけだけしっかりしたいと思います」(千本監督)

「次の試合もパスワークの得意な相手ですからね。レギュラーシーズンが2敗1分けなので、(借りを返せるように)楽しみにしています」(村松監督)

大一番になりそうだ。

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