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2試合を終えて勝ち点1。それでも、やっぱり、なでしこはリオへ行く(その3)

取材・文/西森彰

■自力出場権喪失。しかし、絶望的な状況ではない。

「自分のやりたいこととかではなく、勝つためだけにプレーしているので、結果がでないのが本当に苦しいですね。良い形はできるんですけれど、得点にならない。その少しのズレがなんなのか。そんなことを考えている場合ではないんですけれども。強引にでも合わせて、得点しないといけない。(内容は)悪くないとは思いますが、勝てないことが一番悪いと思います」と宮間。

PKを止めた福元。チームを敗戦から救ったビッグセーブよりも、最後のファンブルに気持ちは向かってしまう。「本当に最後、ああいう形で失点してしまったので、本当に悔しいです。(スカウティングどおり)PKを止められたことは良かったですけれども、勝つことが目標でしたから、失点も、勝つことができなかったのもとても悔しいです」(福元)。福元と交錯した熊谷も、やはり大勢の報道陣に取り巻かれながら、顔を上げて対応していた。

最後まで残って丁寧に質問へ答えていたのがSBの有吉。「(失点シーンは)あそこで、センタリングを上げさせて(しまったが)、中の枚数も揃っていました。でも100%ということはないので、そのあとの反応をどれだけ早くするのかということが重要だと思っていました。だから誰がどうこうではなく、DF全体の責任だと思います」。



ミックスゾーンで笑顔が見られなかったのは、日本の選手だけではない。PKを止められた韓国のチ・ソヨンもまた、母国のメディアを中心にコメントを求められ、辛い時間を過ごしていた。もうひとつの会場で行われていた北朝鮮と中国の試合も最終スコアは1-1のドロー。92分という、日韓戦よりも更に深い時間帯で中国の同点ゴールが生まれ、北朝鮮も勝ち点3を逃した。オーストラリアを除く4つの国はそれぞれ、苦い思いを抱えてこの夜を明かしたのである。

リオ五輪アジア最終予選に参加している6カ国では、(連日、勇敢な戦いを続けている選手、スタッフには十分な敬意を払うが)ベトナムの実力が他よりも2、3枚落ちる。従って、残り5つのチームが2枚の切符を争う構図だ。大会の第2節を終えて、勝ち点はオーストラリアが6。中国が4。北朝鮮、韓国が2。日本が1(ベトナムは0)。

問題は、直接対決を終えて日本より上位にいるオーストラリアと韓国。この両者の対戦で韓国が勝利し、残り2試合を両国が勝ち切れば、勝ち点が12と11。3連勝しても勝ち点10しか積めない日本の手には、リオ行きのチケットは届かない。

だが、その韓国が勝つべき直接対決が行われるのは明日3月4日の金曜日である。3時間キックオフ時間の早いデーゲームでターンオーバーしながらベトナムから9得点を挙げたオーストラリア。日本戦の疲労が残る韓国。両者の比較ではオーストラリアが圧倒的に有利だ。逆にそこまで有利な状況で韓国に負けたとしたら、その後で北朝鮮、中国とのゲームを残すオーストラリアの連勝も怪しい。

オーストラリアと韓国のゲームが思惑通りの決着になれば、自力勝負が復活する。勝ち点差3の中国とも、勝ち点差1の北朝鮮とは直接対決を残している。1差の北朝鮮は直接対決で勝てば逆転。3差の中国にも勝てば並び、ベトナム戦を残している日本は大量得点の可能性を残しているだけに有利なのだ(中国はベトナムから2点しか奪えていない)。こうなればどうにでもなる。


ライバルも決して楽な状況にはないのだ。なでしこジャパンの相手は、トーナメント表の星勘定ではなく、ここから先の対戦国だ。中国、ベトナム、北朝鮮。この3チームに90分以内で勝つ。昨年の女子W杯で90分間の6連勝を達成したチームが、今夏の本大会でアメリカやドイツに勝とうとしているチームに、アジアのチーム相手の3連勝は、決して無理な条件ではない。

現在、勝ち点1の第5位。自力での本大会出場権喪失。それがどうした。それでもやっぱり、なでしこジャパンはリオへ行く。

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