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2試合を終えて勝ち点1。それでも、やっぱり、なでしこはリオへ行く(その2)

取材・文/西森彰

■PKストップから、岩渕の先制ゴール。勝利はすぐそこにあった。

しかし、ゴールが遠い。「ひとりひとりの距離感が近くなって、前に運ぼうという意識も強くなった。その点は良かったと思いますが、どこでスピードアップするのかという部分で問題があったのかなと思いました」(大儀見)。積極的にゴールへ向かって走る大儀見に釣られて、韓国の最終ラインが下がる。バイタルエリアを埋めざるをえない、トップ下のチ・ソヨンとイ・ミナまでが、アンカーのチョ・ソヒョンと共に、3ボランチ気味のポジションをとる。ペナルティエリア付近に強力な韓国の守備陣地が作られた。

トップ下の宮間は「前でボールに絡んでという指示でしたし、そこはできたと思いました。自分たちで落ち着いてボールを回せた部分もありましたし。ちょっと前に速かったのかなと。崩し切る前に、前のスペースが詰まってしまったりした」。大儀見も「相手の守りが固かったですし、ペナルティエリアのところでしっかりとブロックを作ってきたので、なかなかそこを崩すのは、そんなに簡単なものではなかったと感じました」。

その思いは、後方にいた選手もそれは同じだった。「ゴール前に至るまでの過程がよくなかったのかなと思います。シュートチャンスももっと作れたはずですが、アタッキングゾーンへ行った時にうまくいっていなかったと思います」(田中)。ゴール前を固める韓国の守備ブロックを引っ張り出そうと、日本の攻撃陣は定石どおりに遠目からでもシュートを浴びせる。

横山のシュートがゴールバーを叩き、そのリバウンドに大儀見が飛び込む。さらに、37分には宮間のCKから川村のヘディングシュート。前半だけで日本のシュート数は二ケタに達したが、得点に結び付けられない。

消極的な戦いを続けてきた韓国は、後半に入っても、ボールデッドになるとノロノロと動き、勝負を避ける。「最初の2試合で最低勝ち点2をノルマと考えていた」とユン・ドッキョ監督(韓国)。北朝鮮、そして日本とのドローは受け入れられないものではないと考えていた。

それでも、日本に攻め疲れの気配が見えてきた67分、昨年の女子ワールドカップカナダ大会で韓国のサイド攻撃を牽引していたチョン・ガウルを投入。遅まきながら、チ・ソヨンも徐々に前へ出てくるようになる。そして、69分、そのチョン・ガウルが入れたグラウンダーのボールが生んだ日本ゴール前の混戦で、近賀のプレーがハンドと判定され、韓国にPKが与えられた。



既に、デーゲームでオーストラリアがベトナムを9対0で破り、開幕2連勝。日本対韓国と同時刻にキックオフされた長居陸上競技場のナイトマッチでは、北朝鮮が中国を1点リードしていた。韓国に敗れると、日本との勝ち点差が4以上つくチームが3チームになる。この日、日本がリオから最も遠い距離に置かれた瞬間だった。

この絶体絶命の場面で福元が踏ん張る。ゴール右隅を狙った、チ・ソヨンのシュートを横っ飛び一発、ファインセーブ。さらに、このこぼれ球にも、詰めてくる韓国選手より速く触れて、事なきを得た。

これで日本の選手にスイッチが入った。疲労を抱えつつもボールを前に運んでいく。スタジアムの声援も大きくなった84分、川澄が右サイドから鋭いアーリークロスを入れる。「セカンドボールを拾ってのチャンスもありますし、いいところにボールを置けば、何かが起きるかもしれない。大儀見選手、岩渕選手の姿も見えましたし、思い切って上げてみました」(川澄)。

W杯の準決勝、決勝でも、貴重なゴールにつながった川澄のクロスが、この日も日本を救った。この日、59分という彼女にしては浅い時間からピッチに入っていた岩渕真奈が、GKの裏に入り込む。公式発表されている身長155センチのFWはGKがかぶったボールを不格好ながら、しかし、確実に韓国ゴールへ流し込んだ。待ちかねたゴールに、大歓声がキンチョウスタジアムを覆う。誰もが、なでしこの勝利を確信した。しかし……。
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