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2試合を終えて勝ち点1。それでも、やっぱり、なでしこはリオへ行く(その1)

取材・文/西森彰

■初戦から6人を入れ替えた日本、消極的な韓国を攻め立てる

韓国の右サイドから上がったクロスへ、福元美穂が飛び出した。この日、再三に渡ってチームを救ってきたGKが、ここもしっかりとボールをキャッチした、かに見えた。だが、運の悪いことに、その落下地点にこのボールを弾き返そうとした熊谷紗希がいた。瞬間、ふたりは交錯し、福元の手からボールがこぼれ落ちてしまう。韓国のFWチャン・ソルビンのシュートが、必死に寄せた日本DF陣の間を縫って、日本のゴールネットに突き刺さった。

バックスタンドの一角に設けられていた韓国のサポーター席がお祭り騒ぎになった。後半も残り5分を切った段階での失点はあまりにも大きかった。それでも、青いユニフォームは、勝ち越しゴールを狙い、最後の力を振り絞って前に出た。しかし、僅かな時間に作り出した2回の好機をモノにすることができず、タイムアップの笛を聞いた。

2試合を終えて得点2、失点4、そして勝ち点は僅かに1。この時点で、なでしこジャパンのリオ五輪への自力での出場権獲得機会が失われた。



この日の日本は、初戦から先発メンバーを大幅に入れ替えてきた。GK福元に、近賀ゆかり、田中明日菜、熊谷、有吉佐織の4バック。ダブルボランチに川村優理と上尾野辺めぐみ。両SHは右に川澄奈穂美、左に横山久美が置かれ、FWは大儀見優季1枚。宮間あやをトップ下に配した4-2-3-1だった。

大儀見は「前回の反省を踏まえて、相手の陣内でサッカーをしようと、ラインの設定も高くなって、序盤からチャンスを作り、自分たちの攻撃ができていたと思います」。横山が「前回、あまり積極的にできなかったので、今回は積極的にシュートを打っていこうと思いました」。3枚のアタッカーと宮間の4人の距離感が近く、ペナルティエリア付近でボールが回る。

中盤ではアルビレックス新潟レディースでプレーしていた川村と上尾野辺のバランスが良く、セカンドボールをほとんど収めて2次攻撃につなげた。追加招集で直前合宿に滑り込み、そこでメンバー入りを勝ち取った田中明日菜も、指揮官のスタメン起用に応えた。プレッシャーのかかる局面でも、しっかりとつないでボールを放さず、時おり、前線にいいパスを通す。



一方的な日本ペースになった要因のひとつは「全然、相手が前から来なかったので、持ちやすかった」(田中)。特に前半、その傾向は顕著だった。日本が初戦で対戦したオーストラリアは、大会初日でフレッシュだったことに加えて2戦目がベトナム戦だったため、次戦への余力を残すことなく、フォアチェックをかけてきた。福元ほどビルドアップが得意でない山根恵里奈がターゲットになり、苦し紛れのクリアボールを拾われ、自陣に張り付けられた。

この日の韓国は、北朝鮮戦から中1日の日本戦で、しかも次戦が首位のオーストラリア戦。オープンゲームに持ち込める状況ではなく、普段は高い位置でプレーするチ・ソヨンも「日本でのプレー経験が豊富なので、日本チームの選手の特徴がよくわかっている。日本の中盤の力を考えていつもより後ろ目に位置していた」(ユン・ドッキョ監督・韓国)。そういった対戦相手の状況に加えて「ビルドアップが得意な選手が後ろに入っていたこともあって、そういうところからいろいろ変わったのかなと思います」(川澄)。

こうして前半は、韓国陣内でのハーフコートゲームになった。韓国のカウンターには「ボールがないところでしっかりリスク管理をできていたし、DFと協力しながらうまく守れていたんじゃないかなと思います」(福元)。サイドバックも各人がオーバーラップをかけるのではなく「前線の選手には、きついけれど2度追いをしてもらって、できるだけDFラインにギャップを作らないようにじっくりじっくり行っていました」(有吉)。リスクを排除しながら、できるだけコンパクトな陣形を保った。

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