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出場権はたった2つ。それでも、なでしこはリオへ行く(その2)

第2次キャンプは沖縄・中城を拠点に。国内組での競争が激しくなっていく。

取材・文/西森彰


海外組をそれぞれの所属チームに戻して、国内組だけで組まれた沖縄合宿も、順調にスケジュールを消化していった。海外組がいなくなっても、トレーニング時の緊張感は維持されたままま。「それだけ意識の高い選手が揃っているということだと思います」とキャプテンの宮間あや(岡山湯郷Belle)。少しでもレベルの低いプレーが出ると、それが際立ってしまう。どの選手も、このチームから落ちこぼれまいとする。急激なピッチでチームは仕上がっていく。

ベテラン勢も、これまでの成功体験と比べながら、確実なステップアップを実感していた。「今までずっとチームに関わって感じているのが『ラストで一気に磨きがかかるのがなでしこ』。その強みは出せるのではないかという期待感はあります」と川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)。「石垣島の時より、コンディションが上がってきましたし、ここでは連携面の確認もできている」と岩清水梓(日テレ・ベレーザ)。

この沖縄合宿でも、メニューは順調すぎるほどに消化できたのだろう。佐々木則夫監督の「たまにはやるか」の一言で、一般ファンへ公開された状態では異例のセットプレー練習も行われた。さらに、スローインからの攻撃、そして守備など、受験で言えば一夜漬けで最も効果が上がる部分にも早くから手をつけた。こうした細かいところを大会の始まる2週間前から取り組めたのは、完成度の高いチームの強みだ。


沖縄での第2次キャンプでは琉球大学の協力で男子のスピードを体感した。
沖縄での第2次キャンプでは琉球大学の協力で男子のスピードを体感した。


2日間のオフを経て、2月22日(月)から、最終決戦の地・大阪で最終予選のメンバー+αの人数で合宿を開始した。ここでは、予選へ向けて集中を高め、また細かい対戦相手への対策を施すためだろう、練習は非公開時間が長くなった。「ノリさんがうまく緊張状態を作ってくれている。私たちはプレッシャーを感じ過ぎないようにやりたいです」と大野忍(INAC神戸レオネッサ)。

アジア最終予選に向かう20名が発表されたのは、25日の木曜日だった。登録20名中16名が前年の女子ワールドカップ・カナダ大会のメンバーだ。「特に直前キャンプの中で若い選手が存在感を発揮してくれたが、2枠というのは簡単ではない。経験を重視して、このメンバーを選びました」と佐々木監督。2月29日から3月9日まで10日間で5試合をこなす強行日程では、大会の中でチームを大幅に立て直すことはできない。であれば、これまで蓄積されたバリエーション豊富なフォーメーションを活かさない手はない。


男子はU-23選手権として開催されたが、女子は純粋な五輪予選。ボールはアディダス製になる。
男子の五輪予選はU-23選手権として開催されたが、女子は純粋な五輪予選。ボールはアディダス製になる。


今予選のメンバーから漏れた増矢理花(INAC神戸レオネッサ)、猶本光(浦和レッズレディース)、村松智子(日テレ・ベレーザ)の3名は、すぐにラマンガ国際トーナメントに参加するU-23代表として追加招集された。「アジアを相手に控えメンバーとして戦うより、ヨーロッパの強豪と対戦経験を積むほうが、将来にプラス」という考え方もある。今回の選考外に、過剰なショックを受ける必要はない。そして選ばれた人間には、当然ながら、その名誉に伴う義務がある。

「自分が持っている力を出すだけ。先輩たちを見ながら成長していきたい。日本代表としての誇りを持って、オリンピック出場権の獲得に関われるような選手になりたい。サッカー選手である以上、オリンピックのような舞台は夢。女子サッカーが盛んになってきた長野から、そこに飛び立てたらいいと思います」(横山久美・AC長野パルセイロ・レディース)

海外組では、大儀見優季(フランクフルト)、熊谷紗希(オリンピック・リヨン)と共に、ジョーカーとして招集された岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)にも注目が集まる。故障明けの状態だから、本人はもどかしい思いが強いだろうが、数分の出場で結果の出せる選手。決して焦ったり、無理をすることなく、本大会に向けてしっかりと仕上げながら、できる部分で仕事をしてもらいたい。

「どんな試合でも点をとれるように準備がしたいし、どの試合でも点をとりたい。少しでも長く、ピッチに立てるようにしっかりやっていきたいと思います。プレッシャーは少なからずありますが、勝たなければいけない試合なのは間違いない。日本でできるのは幸せなことですし、しっかりとなでしこジャパンの強さを証明できたらいいかなと思います」(岩渕真奈)


日本のジョーカー、岩渕真奈。その決定力に注目が集まる。
日本のジョーカー、岩渕真奈。その決定力はリオでも注目を集めるはず。
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