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ベスト4。難敵イングランドでも、天の利、地の利はこちらにあり。

FIFA女子ワールドカップ2015ベスト8で行われたドイツとフランスの死闘は、今大会を彩る1試合になった。前半から、ドイツゴールを幾度となく脅かしたフランスは、後半64分、ネシブのミドルシュートで先制する。ドイツも終盤、波状攻撃からPKを拾い、シャシッチが決めて追いついた。さすがにFIFA女子ランキング1位と3位の対決。ここまでは、両者の力は均衡していた。

勝負を決めたのは、交代選手だった。88分、途中交代にも関わらず、イエローカードが提示されてもおかしくないシミュレーション行為で楽をしてしまったのが、フランスの途中出場選手・ラボジェだった。ドイツの交代選手ベーリンガーは、延長後半の109分、接触プレーで着地時に右足を負傷したが、足を引きずりながら最後までプレー。最初のキッカーとしてPKスポットに立った。

ベーリンガーからシャシッチまで全員がPKを成功させたドイツと、最後にラボジェが止められたフランス。紙一重の勝負を分けた要因を考える時、その前に起きたふたつの印象的なシーンと結びつけてしまう。長丁場になればなるほど、ベンチスタートメンバーの力がモノを言う。

そうした点で、日本はジョーカー・岩渕真奈の活躍がチームに勢いを与えている。オランダ戦では2点目の起点となり、オーストラリア戦では残り数分という時間帯に虎の子の1点を叩き込んだ。大儀見優季や自身と交代する大野忍らと同様、フォアチェックという、このチームのFWが背負う義務を果した上での得点。U-17女子ワールドカップの金メダルメンバーにして、コスタリカ大会最後の得点者でもある児野楓香(藤枝順心)が「体の小さい不利を克服するストライカー」として尊敬するストライカーは、なでしこジャパンの連覇に向けて、更なる推進力を生みそうだ。



さて、なでしこジャパンがベスト4で戦うのは、開催国カナダを破って初めてベスト4に進んできたイングランド。アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスターシティなど、ビッグクラブが女子チームを保有し、力を入れることで選手層が厚くなってきた。プレースタイルはセットプレーやミドルシュートなど、イメージするところのイングランドっぽい。ただ、今大会の日本とは、意外に共通項も多い。

まずはベスト4までの道のり。グループリーグ初戦のフランス戦を0-1で落としたが、その後は全て2-1のスコアで勝ち進んできた。5試合連続1点差勝ちの日本と似ている。そして23選手全員を使った日本同様、多くの選手を起用しながら勝ち進んでいる。そして、FWの惜しみないチェイシングから始まる守備だ。カナダ戦では、テイラーが相手CB・セッセルマンのミスを誘い、開催国を浮足立たせる先制ゴールを奪った。

日本は、ここまで岩清水梓、熊谷紗希の両CBが、やや遠い距離を取りながら、SBに高いポジションをとらせてきた。横パスがさらわれるリスクを抱えながらも、トータルとして中盤に厚みを持たせたほうがいいという判断は、オーストラリア戦の圧勝につながっている。このゲームでも相手のフォアチェックを恐れず、むしろその足を潰すくらいの意気込みで、これまで同様の戦いを挑むか。それとも、リスク管理を徹底するか。佐々木則夫監督の決断やいかに。



対戦順の綾が、日本にアドバンテージを与えている。ベスト16でオランダ、ベスト8でオーストラリアと、イングランドに近い体格、特徴のある国と戦ってきた。このふたつの国に比べてイングランドのほうが、チームとしても個としても強力ではあるが、大きなくくりでは同じグループの国だ。これに対して、イングランドはベスト16でノルウェー、ベスト8でカナダと戦ってきた。これらは自らと同じパワータイプの国であり、アジリティとスタミナで勝負する日本の戦い方はわかっていても戸惑うだろう。

また、エドモントンで今大会2試合目となる日本にとっては、人工芝の特徴を知っている点でも一日の長がある。体感温度が50度を遥かに上回るピッチ上の熱風も、日本の猛暑の中、なでしこリーグを戦っている、なでしこジャパンの国内組には、相対的に追い風となるだろう。

実力的には五分に近いが、前述した要素を加味すれば、ここでも日本が優位に立つと見る。これまでの試合と同じやり方で、アグレッシブに戦うイングランドの鼻先でボールを走らせて、そのスタミナを奪いたい。危険は孕むが、うまく転がれば、オーストラリア戦同様、ワンサイドゲームに持ち込める可能性も十分にある。
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