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ピッチの向こう側 その9


【中倉一志=文・写真】
席種割とサービスの重要性 その1
スタジアムには様々な人たちが、それぞれの目的を持ってやってくる。立ち上がり、声をからして応援するためにやってくる人。家族でスポーツ観戦を楽しみたい人。静かに試合を見ながらニュートラルな立場で試合展開を楽しみたい人。デートに使う人。サッカーを好きになってもらうために知人を連れてくる人。初めてやってくる人もいれば、スタジアムに通うことが日常になっている人もいる。そして、もちろん相手のサポーターもやってくる。

それぞれに見やすい席というものが存在し、思いのほか、それぞれが席にこだわっている。サッカー部でサイドバックをしていたという私の友人が陣取るのは、いつもコーナーフラッグの辺り。彼にとっては、そこから見る光景がサッカーなのだという。私が東京にいた頃に好んで座っていたのは、バックスタンドの最上段。特定のチームを応援していなかった私は、全体を俯瞰して試合展開を楽しみたかったからだ。国立競技場の聖火台の下に設けられた自由席は私の指定席だった。

こうした様々な目的でやってくる人たちに、それぞれの要求にこたえられるような席種を設け、それぞれに見合ったサービスを提供することは、よりよい観戦環境を整えるという意味では欠かせない要素だ。もちろん、全ての人たちの要求にこたえることは無理だ。しかし、ある程度の住み分けをすることで、スタジアムの好感度は大きく上がる。

いま、レベルファイブスタジアムで改善が急がれるのは、メインスタンドの動員だ。我々メディア、チーム関係者はメインスタンド側にいるため、視覚に入ってくるのはバックスタンドとゴール裏自由席だけ。席種ごとの実数は把握していても、実際にどのように見えているのかを感じる機会は少ない。しかし、実際にバックスタンドからメインスタンドを見た時、その景観は、恐ろしいほどさびしい。それは、スタジアム観戦の楽しみを削いでいるとも言えるもので、クラブ側は強烈な危機感を持つ必要がある。

メインスタンドとバックスタンドの観戦環境という点で言えば、その違いは、左右が逆になることと、選手入場の際に間近で選手の挨拶が見られる程度の違いしかない。観客が料金が安い席種に流れるのは、ある意味で当然のことでもある。だが、実際に、それぞれのコンコースに立って観客の動向を注視すると、あきらかに観戦目的がメインスタンドと、バックスタンドとでは異なっていることが分かる。だからこそ、その数は少なくても、バックスタンドよりも高い料金を払ってメインスタンドで観戦する人たちが存在する。

料金の問題がないわけではない。しかしながら、根本的な問題は、席種、料金、観客が持つニーズ等々に見合ったサービスがなされているのかどうかという点にある。これはメインスタンドだけに限られたことではなく、バックスタンド、ゴール裏自由席にもある問題ではあるが、特に空席が目立つメインスタンドの問題の解決は急務だと言える。それは、メインスタンドの空席を埋めることに加えて、現在、メインスタンドで観戦している人たちに適正なサービスを提供することにつながるからだ。
<その2に続く>


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