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J2第1節 熊本vs.福岡プレビュー

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【中倉一志=取材・文・写真】
勝負の世界においては、どんな試合であっても、その価値は等しい。ましてリーグ戦は42試合の積み重ね。目の前の試合に一喜一憂せず、シーズンを通して安定した戦いを貫いたチームに栄光が訪れる。しかし、それでもなお特別な試合がある。それでもなお勝たなければならない試合がある。そのひとつが開幕戦。どのチームも、積み重ねて来た準備と、新しいシーズンへの想いをぶつける試合で得られるものは、単なる勝点3に留まらない。ホームであろうが、アウェイであろうが、目指すものは勝利の2文字しかない。

似た者同士の対戦
クラブとチームを巡る環境に違いはあっても、ある意味で、福岡と熊本は似た者同士と言える。昨年10月に経営危機が明らかになった福岡は経営の立て直しを図るために、そして熊本は、クラブ史上ワーストの19位に終わったチームを刷新するために、ともにチーム再建に着手。その歴史の長さは違っても、クラブ創設20年目を迎える福岡と、同じく10年目を迎える熊本は、ともに節目の年に、新しい歴史を刻むべくチームをスタートさせた。

チーム編成の方向性も似通っている。適材適所に実績のある選手を配した他は、若い選手中心のチーム編成へと方向転換。補強のポイントになったのが、FWとゲームメーカーというのも同じなら、チームの約3分の1の選手が入れ替わったのも同じ。そして、目標をJ1昇格に置くのではなく、まずは昇格圏内であるプレーオフ進出を睨んでいる点でも共通している。ともに、クラブの未来に向けて走り出したチームにとって、開幕戦は、その大切な第一歩を刻む試合になる。

志向するサッカーは対照的?
ただし、状況的には似た者同士とは言え、その戦い方は、おそらく対照的なものになるのではないかと思われる。今シーズンから熊本を率いる小野剛監督は理論派で知られる監督。細かな約束事に基づいて、整然とした組織的なサッカーを展開するのが身上で、手堅いサッカーを展開することが予想される。その一方で、プシュニク監督も同じく組織で戦うことを志向しているが、約束事そのものは「アグレッシブ、スピード、前へ」とシンプル。それを実践するために、どのように連携すればいいのかを選手たちに求める。組織的に戦うと言っても、その自由度は大きく違う。

おそらく、自由奔放にアグレッシブに戦う福岡に対し、しっかりとしたブロックを作り、攻守に渡って効率的なゲームを作る熊本という図式になるのではないか。その中では、いかに相手の特長を消し、自分たちの特長を発揮するかがポイント。ピッチのあちこちで、丁々発止の駆け引きが行われるはずだ。
ただし、プシュニク監督が昨シーズンの開幕戦で、それまでのトレーニングとは異なる戦術を取って勝利を掴み、素知らぬ顔をしていたのは記憶に新しいこと。また小野監督も全ての手の内をさらけ出しているわけではない。実際に、どんな手を打ってくるのかは始まってみないと分からない。ただ、それも開幕戦ならではの楽しみのひとつだ。

注目選手は巻と岡本、そして森村と中原
ありきたりではあるが、熊本で注意しなければならないのは、1トップを務める巻誠一郎だろう。その巻を中心に、岡本賢明、藤本主税あたりに自由に動かれるようだと、福岡にとっては苦しい展開になる。まずは巻に自由を与えないことが必要だが、巻が作るセカンドボールへの対応が試合の流れを左右するものと思われる。中原がどうコントロールするのか。そして、中原をどのようにサポートするのかは、福岡にとって非常に大きなポイントなる。

そして、新加入ながら攻撃の起点としての役割を担う森村と岡村の働きにも注目したい。ともにチームへの馴染み具合に問題ないものと思われるが、初めて戦う公式戦で全てが上手く行くわけではない。その中で、2人がどのように周りを扱うのかは非常に興味深いところだ。また、岡村と藤本、森村と中原、あるいは城後との連携も、ゲームの流れに大きな影響を与えるポイント。互いの距離感にも注目したい。

いかに福岡のサッカーを展開するか
互いの情報が十分でない中での戦いは、最終的には、いかに自分たちのサッカーを展開できるかが勝敗を分ける。縦横無尽のポジションチェンジ、奪ってから素早くゴールを目指す攻撃、アグレッシブにプレスをかけることで相手の攻撃の芽をつぶす守備。福岡が志向するスタイルを、どのように機能させるかが福岡にとっては最大の鍵だ。シーズン前のトレーニングマッチでは思うような結果を得られなかった福岡だが、僅かな躊躇はプレスが緩むことを意味し、それはプレスが生命線の福岡にとっては致命的になる。結果が必要な試合だからこそ、恐れずに前から仕掛けてほしい。


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