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アビスパ福岡シーズンプレビュー No.1

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【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパ福岡は3月2日、うまかな・よかなスタジアムに乗り込んで、2014シーズンをスタートさせる。新しい戦力との融合はできたのか。目指すサッカーのベースは築けたのか。仕上がり具合はどの程度なのか。戦いの前に期待と不安が入り混じるのはいつものこと。開幕を1週間後に控えた23、24の両日に非公開で行われたトレーニングマッチの結果と内容も気になるところだ。それでも、この時期は期待が不安を上回るもの。約3カ月ぶりに帰ってくるサッカーの日常に、胸は期待で膨らみ、新しくなったチームが、どのような姿で現れるのだろうかと、はやる気持ちは抑えられない。
そこで、開幕までの短い期間を使って、今シーズンのアビスパ福岡が、どんな方向へ進もうとしているのか、これまでのトレーニングを振り返ることで紐解いてみたい。

基本的な戦いに変わりはない
マリヤン・プシュニク監督が率いる2年目のシーズン。基本的な戦い方に変わりはない。雁の巣球技場や、宮崎キャンプのトレーニングで「アグレッシブ、フォワード、スピード」が強調されていたのも昨シーズンと同じ光景だ。

それでも、1年かけて築いてきたベースがある今シーズンと、まったくの0からのスタートだった昨シーズンとの間には当然のように違いはある。昨シーズンは、どのようにしてプレスをかけるのかというトレーニングが、何度も、何度も繰り返され、前からのプレスを徹底させることに最も重点が置かれていたが、ここまでのトレーニングで徹底されてきたのは奪ってから先の部分。いわゆるラストサードをどうやって崩すかという点に多くの時間が割かれてきた。それに伴い、ラストサードの部分では、仕掛けるためにボールを保持することに対して、昨シーズンほど厳しく指摘しなくなった印象もある。

攻撃面で強調されていたのはふたつ。ひとつはゴールに向かって最短距離で仕掛けること。もうひとつは、前線の選手の縦のポジションチェンジだ。さらに言えば、最短距離で攻め上がれば当然のように両サイドにスペースが生まれてくるが、そのスペースを3人目の選手が使うことも求められてきた。前後左右にポジションチェンジを繰り返しながら攻めるスタイルは、見ている側にとっては、誰が、どこのポジションなのか分からないほど。次から、次へと選手がゴール前に現れるダイナミックな動きは。見ているだけで楽しい。選手たちも「上手く噛み合えば面白いサッカーができる」と話している。

当然のように求められる運動量は去年の比ではなく、さすがに90分間を通してやり続けられるとは思えないが、意識付けさせる時は極端に徹底するのがプシュニク監督のやり方。いまはまだ慌ただしく感じられる場面もあるが、それは、トレーニングを積み、試合を重ねていく中で解消されていくだろう。まずは、熊本との今シーズン開幕戦で、どの程度、その姿を見せられるのかに注目したい。

「やらせない」それがアビスパの守備
一方、昨シーズン中盤からバランスが崩れた守備は、シーズンの最後まで不用意な形や、終了間際で失点することを繰り返してきたが、残念ながら、その傾向は依然として続いているようだ。鹿島アントラーズとのプレシーズンマッチをはじめ、トレーニングマッチの多くで、失点する必要がないシーンで、自らのミスや、集中力を欠いて失点するシーンが見られた。もちろん、ミスや集中力を欠くのは個人の問題であり、1人、1人が自覚と責任を持って対応するのが原則だが、ミスをチームとしてカバーできないのは気になるところだ。サッカーはミスが前提のスポーツ。ミスは少ないに越したことはないが、必ず起こるミスを全体でカバーできなければ失点は減らない。技術と言うよりも、意識の問題。開幕までに、どこまで修正できるかは気になるところだ。

ただし、鹿島とのプレマッチ後の記者会見で「我々のフィロソフィは、1失点、2失点してもかまわないので3得点するということ」とプシュニク監督が話したように、後ろに構えて、あるいはブロックを作ってスペースを消すという守備は、プシュニク監督の目指すところではないだろう。もちろん、実際の試合では、相手との力関係や、試合の流れの中で微修正しながら対応することになるのだが、攻守に渡ってアグレッシブに戦うのがプシュニク監督のサッカーの基本中の基本。その考え方の大前提には、スペースを突かれるのを防ぐのではなく、プレスをかけて相手のプレーを制限し、スペースにボールを送らせないことにある。それがプシュニク監督のやり方であり、そういう観点から、アビスパと相手の守備の違いに注目してみるのも面白いかも知れない。

もっともサッカーは、野球やアメリカンフットボールのように攻守が明確に分かれているわけではない。守備だけを切り取って語ることも、攻撃だけを切り取って語ることにも意味はない。攻撃のための守備であり、守備のための攻撃であり、どこからが守備で、どこからが攻撃という区分はないからだ。相手がボールを持っているのなら、アグレッシブな守備を仕掛けて奪い取り、その勢いのままにゴールへ向かう。それがプシュニク監督が志向するサッカーでもある。
(続く)


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