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PSM 福岡-鹿島レポート

試合 プレシーズンマッチ アビスパ福岡-鹿島アントラーズ
日時 2月9日(日)14:03キックオフ
会場 レベルファイブスタジアム
結果 アビスパ福岡3-4(前3-2 後0-2)鹿島アントラーズ
得点 [福岡]プ二(11分)、[鹿島]ダヴィ(13分、21分)、[福岡]ダヴィ(21分)、平井(36分)、[鹿島]ダヴィ(83分)、遠藤(87分)

会見場に現れた両監督は穏やかな表情を浮かべていた。プレシーズンマッチとは言え、勝負事である以上、勝ちたかったことは間違いない。それは、両監督、そして両通訳ともに声が枯れていたことが物語る。しかし、その一方で、今はシーズンに向けてチームを作るために、様々なことを試している時期でもある。自分たちの目指す方向へチームが進んでいるのか。収穫は何か。課題は何か。現在の力はどの程度のものなのか。それらを正確に図り、その修正のための具体策を施していくことこそが、シーズン開幕を3週間後に控えたいま、最も求められていることでもある。そして、この日の両監督の表情は、まずは順調にチーム作りが進んでいることを窺わせた。

さて、宮崎キャンプ中は、ほぼメンバーを固定していたマリヤン・プシュニク監督だったが、この日は組み合わせをバラして試合に臨んだ。前後半の先発メンバーは以下の通り。前半はプ二をターゲットマンにする4-4-2。後半は昨シーズン同様の4-1-2-3だったが、中盤では中原秀人が1枚上がり、パク ゴンがアンカーの位置に入った。

1本目
vs.鹿島アントラーズ前半(4-4-2)
2本目
vs.鹿島アントラーズ後半(4-1-2-3)

意図する形が出た90分間
福岡の前半の狙いは「あまり前線からプレスに行かずに、相手にボールを持たせておいて、入ってきたらプレスに行く」(城後)というもの。鹿島にボールを持たれ、左右を広く使われて劣勢を余儀なくされたものの、連動して追い込みながら、ここぞと言うところでプレスをかけてボールを奪い、そこから素早くカウンターを仕掛けるという狙い通りのシーンを、いくつか作り出した。また、宮崎キャンプでは、ボールを奪った瞬間に受け手が相手の裏のスペースに走り込み、そこへ素早くボールを送るという形を徹底して繰り返してきたが、その意図は随所に渡って感じられた。反面、前へ急ぐあまりにボールが落ち着かず、やや慌ただしい感じもしたが、いまは、前へ速く攻めるという意識を徹底している段階。精度を上げていく中で、行く時と、行かない時のバランスは整備されていくだろう。

後半は、ベストに近いメンバーがそろったことで中盤に落ち着きが生まれたこともあり、押し込まれながらも、得点機を演出する場面が多く見られた。後半30分に素早いりスタートから城後が長い距離を走って裏のスペースに抜け出したシーンは、城後の特長のひとつであるダイナミックなプレーから生まれたチャンス。また、シュートはヒットしなかったが、33分に城後からのロングボールを石津が落としたところへ、森村、そして坂田と飛び込んで行ったシーンも見事な崩しだった。また、守っても最終ラインを下げずに前からプレッシャーをかけ続け、中盤で何度もボールを奪うなど、意図した形で戦えた後半だった。

変化を感じさせる攻撃 課題が残る失点シーン
思うようにセットプレーから点が取れなかった福岡とって、コーナーキックからプ二が頭で合わせて奪った先制点は朗報。2点目はプ二の頭を経由して、こぼれたところへ平井が飛び込んで左足を振り抜いた狙い通りの形。そして、3点目は相手の不用意なプレーを見逃さずに奪った抜け目のないもの。いずれも福岡にとっては意味のあるゴールだった。また後半は、城後、石津、坂田、森村らが連動して何度もチャンスを作り出すなど、攻撃面では着々と整備されていることが窺えた。課題は、そのチャンスをいかに決めきるかというところだろう。

反面、失点シーンはお粗末と言わざるを得なかった。鹿島との間にある力の差や、まだチームを作っている段階で、しかもキャンプの疲労が残る中での試合であることを考えれば、やむを得ない部分もある。だが、問題は4失点を喫したことにあるのではなく、その失点の仕方。そこに福岡の抱える問題点が浮かび上がる。

1失点目はイ グァンソンのクリアミスから始まったものだが、クリアミスを犯した後のチームとしての対応が緩慢であったことは否めず、2失点目も清水がほんの少し注意深ければ、あるいは、周りがほんの少し声を出せば防げた失点。そして、この試合の勝負所で失った3失点目は、相手のフリーキックに対するチームとしてのアラートさが足りなかったと言わざるを得ない。いずれも、失点する必要のないものだった。

さらに言えば、最初の失点は自分たちのゴールから2分後。3、4失点目は残り10分を切ってから失ったもので、しかも4失点目は、同点ゴールを喫してから4分後のことだった。チームとしての守備の仕方に大きな問題があったわけではない。危ない時間、注意すべき場面で集中力を欠いたことがすべての原因だ。トータルとしては上手く戦いながら、勝負が決まる失点をあっけなく喫してしまう傾向は、昨年から引き続き未だに続いている。

トータルとしては及第点 どこまで高められるか
それでも、90分間を見渡せばトータルとしては及第点が与えられる試合だった。「よりアグレッシブになった」とは、宮崎キャンプを終えての城後の言葉だが、特に攻撃において、アグレッシブに、そしてダイナミックに攻めようとする姿勢が感じられ、また形にもして見せた。もちろん、相手との比較という点で言えば、鹿島との間には多くの差があった。細かい部分を見てみれば、まだまだ修正しなければいけない部分も多い。しかし、プシュニク監督が語ったように、ネガティブな部分よりも、ポジティブな部分の方が多かったことは確か。そしてそれは、チームが確実にいい方向に向かって進んでいる証拠でもある。

そしてプシュニク監督は記者会見で次のように語った。
「我々のフィロソフィは、1失点、2失点してもかまわないので3得点するということ。それは、ホームであろうが、アウェイであろうが関係ない」
2014型福岡は、はたしてどのような姿で我々の前の現れるのか。開幕が待ち遠しくなって来た。

中倉一志=取材・文


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