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J2第10節 福岡vs.北九州レポート

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【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパ福岡は29日、ホーム・レベルファイブスタジアムでギラヴァンツ北九州と対戦。7回目を迎える福岡ダービーは激しい戦いが予想されていたが、北九州が自分たちのサッカーを展開したのに対し、福岡は自分たちの良さを消される一方的な展開へ。72分に北九州がセットプレーのこぼれ球を決めて先制すると、これが決勝点となって福岡はレベルファイブスタジアムで初めて北九州に敗れた。福岡は次節(5月3日)、ホームレベルファイブスタジアムに大分トリニータを迎えて九州ダービーを戦う。

戦えなかった福岡ダービー
簡単な試合ではないことは分かっていた。北九州の戦い方も分かっていた。そして、実際の北九州は、福岡ダービーということもあって幾分アグレッシブではあったものの、その戦い方は、まさに北九州そのものだった。しかし、その予想通りの相手に福岡は主導権を握られた。ぶつかり合いの末に押し込まれたのではない。困惑のうちに相手のペースに引きずり込まれ、ズルズルと時間を過ごし、そして何も出来ないままに90分が過ぎた。失点はFKのこぼれ球を決められたものだけ。しかし、内容は完敗だった。

福岡にチャンスがなかったわけではない。立ち上がりは、1人が中盤のギャップでボールを受け、もう1人が裏へ抜けていくという連携からチャンスも作った。自陣にブロックを作って相手を待ち受ける北九州に対しては効果的な攻めのようにも見えた。しかし、北九州の戦い方に戸惑いを隠せない福岡は、ほどなく仕掛けなくなっていく。欠点は長所のそばに存在する。難しそうに見えても、それを我慢して何度も、何度も繰り返すことで綻びが見えてくるものだが、福岡はそれをやらなかった。

メンタルだけの問題ではなく、それをやり続けるだけの精神的、技術的、そして戦術的な裏付けが自分たちの中にないのだろう。ミックスゾーンで発する選手たちの言葉の中に、そんな事情が見え隠れする。そして前への意識に僅かでもためらいが生まれれば、アグレッシブに行くことがすべての始まりである福岡のサッカーは機能しない。プレスがはまらず、その結果、両サイドの裏のスペースをいいように狙われ、そして、セカンドボールを拾われた。相手のカウンターに対しては粘り強く対応していたものの、自分たちのサッカーができなければ勝利が手に入るわけはない。

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 福岡(4-1-2-3)
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 北九州(4-4-2)
問題はどこにあったのか
戦えなかった理由はいくつか存在する。ひとつは試合運びの問題。福岡は、自分たちの時間帯にはどのチームでも押し込める力を持つ代わりに、自分たちの戦い方に何らかの制限がかかると、何をしていいのか分からなくなったように混乱するケースが多い。もちろん、もう一度アグレッシブに前から仕掛けるというのも手段のひとつだが、どのようにして苦しい時間を耐えるのか、どのようにして再び前へ出るのかという手段に乏しいと言わざるを得ないのが現状だ。

2つ目は中盤の構成面の問題。この日は城後寿が右の中盤の位置でプレーしたが、中原の右のスペースと、三島勇太の裏のスペースまでもカバーしなければならない状況の中では、彼が持つ最大の武器である前への推進力を生かすことができず、さらには、中盤の一角が低く下がることで、攻守にわたってチームバランスに大きな影響を与えていた。かといって、この日の布陣で城後が前への意識を強くすれば、守備面では更に穴があいてしまうのは必至。城後だけの問題では済まされない。

そして、もうひとつにチーム編成上の問題がある。攻撃陣を見れば、その質は高く、量も豊富だ。J2の中でも屈指のメンバーがそろっていると言っていい。その反面、中盤から後ろの層は薄い。その理由が資金難によるものなのか、他の理由によるものなのかは断言できないが、結果として、チーム全体のバランスが大きく隔たっている。特に両SBは代えが効かないという深刻な問題を抱えている。フルメンバーがパーフェクトな状態で試合に臨めば、どことやっても互角の戦いは演じられるが、それが期待できるほどリーグ戦は甘くない。

敗れた後に何ができるか
北九州戦で見えた問題点は、北九州との戦い特有のものではなく、福岡が抱えている構造的な問題点。この日の敗戦の根本的な問題は長崎戦と同様で、その延長線上にある。単に目の前の敗戦という結果にとらわれすぎると、本当の問題が見えにくくなっていく。「個の責任において、選手たちがピッチの中で何を感じ、どうふるまうかが大事」とするマリヤン・プシュニク監督の考えは正論だが、まだ成長過程にあるチームには、高い位置からプレスをかけて、アグレッシブに前に向かってプレーするという基本を守りながら、戸惑いを減らすための工夫が必要に思える。

いずれにせよ、一喜一憂は意味がない。完敗の悔しさは消えるわけではないが、今まで通り、自分たちの欠点と真正面から向き合って次の試合に向けて準備することに変わりはない。敗れた後に、どのようにふるまえるのか。そこに自分たちの真価が問われている。


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