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J2第40節 山形vs.福岡 レポート


【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパ福岡は9日、アウェイ・NDソフトスタジアム山形でモンテディオ山形と対戦。攻め込まれる展開の中、粘り強い守備を見せてゴールを死守。山形に焦りが見え始めた67分には、途中出場の金森健志が鮮やかなゴールを決めて先制。第34節以来の勝利に近づいたかに見えた。しかし、83分に同点に追い付かれたことで状況が一変。その3分後に逆転ゴールを許して1-2で敗れた。アビスパ福岡は次節(11/15)、ホーム・レベルファイブスタジアムでコンサドーレ札幌と対戦する。

狙い通りに進んだが・・・
試合は山形が主導軒を握る展開で進んだ。ボールへの寄せ。攻守の切り替えの速さ。攻撃のスイッチが入った瞬間のボールホルダーとそれをフォローする選手の連動性。ゴールへ向かってシンプル且つスピーディに向かう動き。いずれをとっても山形が上であることは誰が見ても明らかだった。ディエゴ、川西翔太、山﨑雅人の3人が高い位置で織りなすコンビネーションは予想以上。特に、ディエゴの存在感は抜群で、ボールを持つだけで周りの空気が変わる。

それでも、福岡は上手く戦っていた。この日の狙いは「中盤でしっかりとプレスをかけること」(山口和樹)。立ち上がりこそバタつく場面も見せたが、時間の経過とともに落ち着きを取り戻すと、丁寧に、丁寧に守っていく。時間帯によっては中盤のマークが曖昧になることもあったが、しっかりと中央を固めてゴールは許さない。そんなチームをリードしていたのは堤俊輔。カバーリング、フィード、守備陣のコントロールはもとより、時には最終ラインを崩して中盤まで相手をつぶしに行くなど、リベロと呼ぶにふさわしいプレーだった。

山形が攻め込みながらもゴールが奪えない展開に、スタジアム全体に焦りのような空気が生まれたのは後半も15分を過ぎたあたりから。選手にもミスが目立ち始める。そして67分、福岡に先制ゴールが生まれた。決めたのは途中出場の金森。山形DFに囲まれながら果敢にドリブルで突破。最後は左足で流し込んだ。山形が決め切れない中で奪った福岡の先制ゴール。ピタリと当たったマリヤン・プシュニク監督の采配に加え、その時間帯を考えれば、このまま福岡が試合を制してもおかしくはなかった。

稚拙なゲームコントロール
先制ゴール後も福岡は落ち着いて試合を進めていた。ロメロ・フランク、中島裕希を投入して流れを引き寄せようとする山形に対し、同点ゴールを喫するまではシュートらしいシュートは1本も許さなかった。ところが83分、取り立てて危険な展開ではなかったのだが、中島裕希が右サイドから入れた1本のクロスボールで福岡のゴール前が混乱。こぼれ球を山田拓巳に流し込まれた。不運と言えば不運なゴール。しかし、何でもないところから失点したという意味では、これまでに何度も見た光景だった。

この1点で流れが変わる。
「みんなの集中力が落ちて、マークが誰に付いているのかがハッキリしていないし、喋っても、それが全然ハッキリしなかった」(山口)
突然、福岡の守備が機能しなくなる。ただ右往左往するだけで全く相手を捕まえられない。そして1失点目と同様に、何でもないプレーから逆転ゴールを許した。プシュニク監督がファールだと指摘する場面は、確かにボールが不自然な動きをしている。だが、1点目と同様に、どこかで、誰かが、注意深くプレーすれば防げた失点であったことも、また確かだ。

全体的に見れば「底」と呼べる状態からは抜け出せたようにも見える。しかし、どこかで、何かが抜け落ちている。そして、それを全員が感じながらも、やはり、同じことを繰り返している。この日は逆転された後も最後まで攻める姿勢は失わなかった。勝ちたい。最後まで諦めない。その姿勢は最後まで持ち続けていた。しかし、それだけでは勝利を手にすることは難しい。どのようにゲームをコントロールするかという点も含めて、90分間にわたってディテールにこだわる姿勢を取り戻さない限り勝利は遠い。

やれることはまだある
現状を見る限り、群馬戦で一度壊れたチームを元の状態に戻すには、相当な労力がいると言わざるを得ず、残り2試合も、かなり難しい試合になることは間違いないだろう。だが、「次の1週間をどう過ごすかが大事。それによって結果が変わってくる」(坂田大輔)と話すように、やれることはある。プレーオフ進出の可能性が消え、マリヤン・プシュニク監督の退任が決まってから、雁の球技場はリラックスした雰囲気でのトレーニングが続いている。それ自体が悪いとは言わない。しかし、結果が変わらないのであれば、そこから見つめ直さないといけない。

「ただ話し合うだけではなく、より細かく話すようになった」。チームが上位にいた頃、中原秀人は話していた。実際、雁の巣では、選手同士が険しい顔で話し合うことも、監督、コーチを呼んで意見をぶつけ合うこともあった。いま、その姿勢はあるだろうか?話し合っている内容が、決意表明や、表面的なものになっていないだろうか?「みんな分かっている」では何も解決しない。細部にわたって、それぞれの役割と責任を明確にし、それをお互いに求めあうこと。それがいまのチームには必要だ。


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