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真夏の祭典、なでしこリーグオールスター2014は大盛況に

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西が丘のイベントスペースは夏休みを過ごす家族連れで大いに賑わった

西森彰=文・写真


 今年のなでしこリーグオールスターは首都圏に戻っての開催。8月23日(土)、開門時刻の16時30分を前にした味の素フィールド西が丘には、既に観客の長い列ができていた。バックスタンド裏のイベントスペースもたくさんの家族連れが溢れかえっている。

 イベントスペース内に設置されたなでしこリーグのテントでは、伊賀FCくノ一所属のオーストラリア女子代表エリース・ケロンド・ナイトとタミカ・バットをはじめ、各クラブのきれいどころ(?)が浴衣姿を披露。若手選手がグッズ販売に声を張り上げるチームあり、看板選手のサイン会を行うチームありと思い思いにアピールしていた。日本各地のB級グルメを集めた屋台村も、売り上げは上々の模様。

 試合前には、くまモンや出世大名家康くんなど人気のゆるキャラとなでしこリーガーのハンデキャップPK戦も行われた。“パフォーマンスキャプテン”の荒川恵理子(AS埼玉)に伝授されたダンスからのキックを、猶本光が恥ずかしさのあまりバーの上に吹かしたり、海堀あゆみ(I神戸)が、懸命に浮かして蹴ったさのまるのシュートを容赦なく止めたりするたびに、スタンドから大きな笑い声が起こる。両親に連れられて来場した小さな子供たちも大喜びしている。


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慎重にボールをセットする、ゆるキャラ界のエース、くまモン



 メインイベントとなるオールスターは、日テレ・ベレーザ、浦和レッズレディース、アルビレックス新潟レディースにASエルフェン埼玉、伊賀FCくノ一を加えたなでしこポルカが、レギュラーシリーズ優勝の岡山湯郷Belle、浦和の優勝を止めたINAC神戸レオネッサなど(他にジェフユナイテッド市原千葉レディース、ベガルタ仙台レディース、吉備国際大学Charme)で構成されたなでしこセルバを破った。日テレ、浦和、新潟Lにとっては、ささやかながら、前の週の雪辱を果たす格好になった。

 MVPは、なでしこポルカのキャプテンを務め、浦和の僚友・柴田華絵のアシストによる先制ゴールも決めた後藤三知(浦和)が受賞した。浦和勢は、手中にあったレギュラーシリーズ優勝をあと僅かのところで逃したショックをここで払拭するかのように、どの選手も活躍。エキサイティングシリーズに向けて、気持ちの入れ替えもうまくいったようだ。

「ずっと『勝たなきゃ、勝たなきゃ』っていう試合が続いていました。もちろん、サッカーだから勝つことは大事なことなんですけれども、ゴールをした時にどうやったらお客さんに喜んでもらえるか、ダンスをみんなで考えたりとか、そういう機会って、なかなかないじゃないですか。全チームが揃ってプレーしたことで、改めて『なでしこリーグっていいな』って思うことができました」(後藤)


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“パフォーマンスキャプテン”荒川恵理子は、今年もオールスターの盛り上げに貢献


 なでしこリーグカップの廃止に伴い、今年から、所属全チームがふたつに分かれる形式に戻り、オールスターの価値も上がった。なでしこリーグでプレーする人気・実力上位の40名だから、選手のモチベーションにもつながる。試合内容が、昨年まで比べて著しくレベルアップしたのは、単に代表選手が増えたのが理由ではないだろう。海外組がいなかった頃の“準・なでしこジャパン紅白戦”当時とまではいかないまでも、久しぶりにオールスターらしいゲームとなった。とは言え、プレーした選手は、エンターテインメントとしての伸びしろをまだまだ感じている。

「真剣勝負はいつものなでしこリーグで見せているつもりです。こうしたチャリティーマッチ、オールスターのようなゲームでは、真剣なだけでなく、もっと『魅せるプレー』ができるように努力しないといけないと思います。個々の選手のレベルは高いので(ある程度まで合わせることが)できるのですが、男子のサッカーと比べると『まだまだ違うな』とプレーしている自分たち自身は感じています」(宮間あや・湯郷ベル)

 それでも、公式発表3,865人の観客は、夏の祭典を十分に楽しんだ様子で家路についていた。Jリーグの開催日で、さらに天気予報では「雨」の可能性が指摘される中、4,000人弱の観客を集めたのだから、なでしこリーグのオールスターは興行として完全に定着した。先日発表されたアジア大会の出場メンバーの多くが揃っており、首都圏のメディアも足を運んだ。来週から始まる、エキサイティングシリーズに向けて、景気をつける意味でも大成功と言えるだろう。


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オールスター出場選手には、エキサイティングシリーズでも好プレーを期待したい


 以下は個人的な希望になる。

 まず、イベントスペースで行われていた国連UNHCR協会の難民支援活動報告と募金・寄付の受付について。このなでしこリーグ支援団体のテントは、各クラブと屋台村の間というスペース的にはもっともいい位置に設置されていた。ここに各クラブの選手を持ち回りで配置すれば「なでしこリーグの支援団体」というカラーがさらに強く打ち出され、賛同者数もさらに増えたのではないだろうか。その場の募金ではなく、後日定期振込みという形式なので、各クラブのグッズ売り上げを“食う”こともないはずだ。

 そして選手起用について。セルバも、ポルカも、ハーフタイムで選手を交代枠いっぱいに代えた。選出選手全員のプレーを、できるだけ長い時間見せようという配慮だろう。ただ、前半のピッチに、セルバは吉備国大、ポルカは新潟Lの選手がひとりもいなかった。同一チームの選手をセットで使ったほうが、コンビネーションがスムーズになるからだろうが、スタンドにいる各クラブのサポーターにとっては、やはり自分が応援するチームの選手をひとりはピッチに残してもらいたいところ。

 ベガルタの浜田遥が「今日、こうしてやってみて『攻撃第一に考えてしまう自分は、やっぱりSBに向いていないんだな』とあらためて実感しました」と笑っていたが、無理やりあてがわれたポジションを贔屓の選手がどうこなすのか、スタンドからハラハラ見守るのは楽しい。そして、ポルカの3点目(原菜摘子・日テレ→吉良知夏・浦和)のように、異なるクラブの選手が同じ絵を脳裏に描き、それぞれの技術を即興的に重ねるプレー。それが、勝敗だけにこだわらなくていい、オールスターならではの醍醐味と思うのだ。

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