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富山第一が戴冠!大逆転で北陸対決を制す!

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第92回 全国高校サッカー選手権大会 決勝
日時:2014年1月13日(月・祝)14:08 kick off
会場:国立競技場
結果:富山第一 3-2(前半0-1、後半2-1、延前0-0、延後1-0 星稜 得点者:[星稜]寺村介(34分)、森山泰希(70分)、[富山第一]高浪奨(87分)、大塚翔(90+3分・PK)、村井和樹(109分)

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高校サッカー選手権として今の国立競技場での試合はこれが最後となった。そんな決勝戦のピッチに並んだのは、優勝経験豊かな強豪でもなく、出場経験の少ない新鋭でもない、25回目出場の富山第一と24回目出場の星稜という、属する北信越、北陸では名門であり強豪である両校の対戦となった。ともに初めてベスト4の壁を破っての決勝進出、いずれが勝っても初優勝だ。

決勝は富山第一にとって今大会の6試合目。ここまでの5試合では13得点6失点。一方の星稜は4試合を戦って、9得点無失点で決勝にたどり着いた。富山第一は紫、星稜は黄色、ともにファーストユニフォームを纏い(まとい)、4万8千を超える大観衆が見守る中、富山第一のキックオフで試合は始まった。

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試合開始からボールを支配しペースを握ったのは富山第一だった。準々決勝、準決勝と相手エースのマンマークを成功させた星稜は、富山第一の得点源であるFW渡辺仁史朗に本来ボランチであるMF鈴木大誠を当ててきた。しかし、渡辺の自由を奪った代償として、手薄となった中盤を富山第一のボランチ細木勇人と川縁大雅に支配され、星稜は後手を踏んでしまうことになった。

4分、6分と2度のFKから富山第一はトリックプレーを駆使し星稜ゴールを脅かすが、GK近藤大河が阻む。さらに14分、DF城山典がミドルを狙うがGK正面。16分にも渡辺が打つがDFにブロックされる。「中盤でセカンドボールを拾えなくなった」(星稜・河崎護監督)星稜が渡辺へのマンマークを取りやめる。

17分から富山第一は連続2本のCK。2本目の流れから、DF竹澤昴樹がゴールラインまで侵入しクロスを送るが力なくGK近藤が押さえる。さらに20分、MF大塚翔のスルーパスで抜け出したMF野沢祐弥の至近距離からのシュートもGK近藤がファインセーブ、先制を許さない。その後も決定的な場面こそないものの、チャンスは富山第一に多く、星稜はなかなか自陣から出られない展開となっていた。

しかし、サッカーは分からない。32分、富山第一ゴール前の混戦でこぼれてバウンドしたボールにDF村上寛和が足裏で星稜DF原田亘の腿を蹴る形になりPKの判定が下る。34分、これをMF寺村介が冷静に左スミを狙い、星稜が先制点を奪う。

思わぬ1点ビハインドとなった富山第一は、左サイドからDF竹澤、右から細木がクロスを入れるが、星稜のCB寺田弓人と藤田峻作のコンビがポジショニング良くはね返す。42分には渡辺のキープから野沢が強烈なシュート。しかしこれもバーを越える。逆に星稜はアディショナルタイムに寺村が右からのクロスにあわせて左足ボレーで狙うがサイドネットを揺らすにとどまった。

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後半、まず先手は富山第一。ロングスローのクリアを川縁が狙うがGK正面。2点目をとって、準決勝京都橘戦(4-0)のような堅守速攻の展開に持ち込みたい星稜は、原田がシュート気味に入れたボールに森山の足は届かない。

54分は富山第一・左サイドからのクロスが抜けてファーにいたMF西村拓真が打つが右に外し、55分にも野沢が強引にシュートに持ちこむがバーを越す。59分、高浪奨が交代出場で1トップに入り、渡辺は左2列目に移る。この辺りから、展開は一進一退でともに決定的な場面は作れなくなっていく。

そして、星稜に追加点が決まったのは25分だった。左サイドを上がった上田大空から中央の仲谷へ。左のスペースにコントロールしながらルックアップする仲谷。ゴール前には、仲谷とクロスするように走った森山。仲谷の上げた左足クロスは、やや後方へずれたが、森山は身体を上手くひねってゴール右スミに頭で流し込み、0-2として富山第一を突き放した。

27分にも、2失点目でやや集中を欠いた富山第一DF陣を突き、ゴールライン上で拾って持ち込んだ星稜のMF前川優太がシュートするが、GK高橋昴佑がファインセーブ。 76分には逆に富山第一の大塚がシュートするがGK近藤がキャッチする。

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まずは1点を取らないと始まらない富山第一は、野沢に代わって村井和樹を送り込み、大塚をトップに移すなど、配置変更で星稜DFに穴を作ろうとするが、堅陣を崩すまでには至らない。すると、星稜ベンチは動く。河崎監督が「疲労度(を見て)と頑張りはなくなっていた」と判断した寺村キャプテンをベンチへ下げたのだ。足の骨折でギリギリ大会に間に合わせた寺村にはやはり限界だったと思うしかない。

その交代の直後、相手のクロスをキャッチしたGK高橋が素早いスローで竹澤へ渡す。その竹澤がタテに入れたボールは中から左へ流れた村井が受けて前進。左足クロスはDFの頭上を越えて、フリーの高浪へ渡り、シュート。ボールはGK近藤の手をはじいてゴールに吸い込まれた。1-2、さあ試合は分からなくなった。

円陣を組む星稜。その輪の中に精神的支柱の寺村の姿はなかった。タラレバになるが、キャプテンがいればこの窮地に何を言っただろう。押せ押せムードの富山第一の猛攻をまともに受けた星稜は、アディショナルタイムに入って、DF森下洋平が竹澤の足を引っ掛けてしまう。相手がシュートする角度ではなかっただけにファウルが悔やまれるが、サッカーにはよくあることだ。

富山第一のPKは主将の仕事。父でもある大塚監督がひざまずいて祈った大塚のキックは左スミにグラウンダーで決まる。2-2。土壇場も土壇場、ラストプレーで試合は振り出しに引き戻された。PKの場面の2人、竹澤と森下は中学時代のチームメイトだったという。皮肉な巡り合わせだった。

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大会でただ1試合だけ延長戦のあるのが決勝戦。昨年度も鵬翔と京都橘の激戦は延長の末のPK決着だった。その延長戦前半は一進一退。星稜のビッグチャンスは7分、ロングスローのクリアを拾ったDF藤田が渾身のロングシュート。ボールはクロスバーをヒットし、大観衆のどよめきを誘った。

延長後半も8分を過ぎ、スタジアムにはPK戦突入の雰囲気が漂い始めていた。準決勝でのPK戦勝利の立役者、富山第一のサブGK田子真太郎のアップにも熱が入り始める。彼のために交代ワクは1つ残されていたからだ。

しかし、田子に出番は来なかった。決着をつけるゴールが決まったのだ。9分、右タッチからのロングスロー。投げたのは、城山だった。チームメイトが驚くほどの飛距離を飛んだボールに、富山第一の高浪、星稜の原田いずれも足が出ず、ワンバウンド、村井が得意の左足を振った。バーを叩くように星稜ゴールの天井に突き刺さったシュート。これが決勝点となった。満員大観衆の声援が城山にロングスローを投げさせ、村井のシュートに力を与えたのだろうか。

アディショナルタイムは1分。富山第一は勝利の確信をもって大塚主将を引っ込めて時間を稼いだ。大塚親子が抱きあう。そしてタイムアップのホイッスル。監督が抱き合った今度の相手は恩師であり前監督である長峰部長だった。

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90分を経過した時点ではまだ1点を追っていた富山第一が優勝し、リードしていた星稜が敗者となってしまった。僅差の勝負は最後の最後まで目が離せない激戦だった。何が両校の差だったかを明確に言うことはできないが、PK戦決着にならなかったこと、110分間の「サッカー」で試合が終わったこと、勝敗が決まったことを素直に喜びたいと思う。

PK戦はあくまで次の試合に進むチームを決めるためのシステムとすべきではないだろうか。決勝戦を戦い精根尽き果てるまで戦った選手たちにPK戦を強いてまで優勝と準優勝を分ける意味を感じない。ワールドカップや、チャンピオンズリーグなど賞金のかかった大会ではないのだから、延長、再延長をして決着がつけられないなら、両者優勝でいいのではないだろうか。決着がついたからこそ、そう感じられた大会だった。

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