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”候補”東福岡、3回戦で姿を消す

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第92回 全国高校サッカー選手権大会 3回戦
日時/2013年1月3(金)14:10 kick off
会場/浦和駒場スタジアム
結果/日章学園 0-0(前半0-0、後半0-0、PK7-6) 東福岡

九州対決となった浦和駒場スタジアムでの3回戦はスコアレスのまま80分が経過。その後に行われたPK戦でも、両チームともに5人全員が決めて、ともに譲らない。どちらが準々決勝進出の権利を得るのかは全く分からない状況だった。ただ、福岡県、九州の大会を全て制した東福岡と、九州大会2回戦で0-2で東福岡に敗れた日章学園という比較で言えば、PK戦で精神的に優位に立っていたのは日章学園だったかも知れない。

そして、6-6で迎えた7人目。日章学園は東福岡・池辺龍次朗のPKをGK永本康造がストップすると、続く藤堂貴久がきっちりとゴールネットを揺らす。この瞬間、日章学園の準々決勝進出が決まった。どちらが勝ったわけでも、どちらが負けたわけでもない。しかし、これも高校サッカー選手権。優勝候補と呼ばれるにふさわしい実力を擁し、第77回大会以来15年ぶりとなる国立の舞台、そして頂点を目指した東福岡は、3回戦で高校選手権の舞台から姿を消した。

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試合の主導権を握っていたのは東福岡だったことは間違いない。しかし、その姿は、1回戦で見せた完成度の高いサッカーとは異なっていた。ゆったりしたリズムで試合に入るのは、いつも東福岡のスタイル。だが、この日は明らかに体が重い。中0日で迎えた3回戦。しかも1回戦から出場の東福岡は4日間で3試合目。さすがに疲労の色は隠せず、最大の持ち味である中盤の3人にミスが多く、いつものような連動したプレーが見られない。

一方、日章学園は、いつもの通り自分たちのサッカーを貫いていく。 「大会前に『九州魂』を出してやろうという話しをした。関東のチームは非常に洗練されているので、そういうチームにはないものを出していかないと、力の無いチームは勝てない。だから、諦めない、走る、そういう要素を徹底して出していこうということだった」(早稲田一男監督・日章学園)。狙いは粘って、粘ってワンチャンスをものにするというもの。それは、今大会で九州勢が見せたスタイルでもあった。

攻撃という点で見れば、日章学園も必ずしも形を作れていたわけではない。しかし「私のイメージは1-0か0-0というものだった」と早稲田監督が話すように、日章学園はPK戦による準々決勝進出も頭に置いての戦い。点が取れない焦りよりも、東福岡に決定機を与えない守りの方に手応えを感じていたはずだ。

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後半開始直後の木戸皓貴の鋭いシュートや、44分にはCKから熊本雄太が決定的なシュートを2本放つなど、さすがは東福岡と思わせるシーンもあった。しかし、東福岡は後が続かない。ボールは支配している。シュート数も後半だけで日章学園の3倍に当たる10本ものシュートを放った。しかし、そのいずれも、東福岡の流れるような攻撃から生まれたものではなく単発のものばかり。これでは東福岡のリズムが生まれない。

それでも、決定的なシーンを作ったのは東福岡の強さの証か。17分にはCKからペナルティエリアにこぼれたボールに対して怒涛の連続攻撃を仕掛け、28分にはペナルティエリアの外から放った草野昂希の左足ボレーシュートがゴールを襲った。しかし、いずれも日章学園の体を張ったディフェンスと、GK永本康造のスーパーセーブに阻まれた。終了間際には熊本雄太を前線に残して強引に点を取りに行ったが、これも実らず。冒頭の通り、PK戦により、日章学園が準々決勝への切符を掴んだ。

そして東福岡7人目のPKを左へ飛んで阻止した永本は話す。
「PKは気持ちでした。みんなが決めてくれたので1本位は止めなければいけないという気持ちがありました。試合中に苦しい時はスタンドを見ていましたが、たくさんの方が宮崎から応援に来てくれて力になりました」
東福岡が本来の力を発揮できなかったことは事実だが、そうさせなかったのも日章学園の粘り強さがあったから。いくつかの危ないシーンで全員が体を張ってはじき返したシーンは、まさに『九州魂』そのものだった。

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「選手権は簡単に勝てる大会ではないというのを改めて感じた」。そう話したのは森重監督。そして続けた。
「危機感だとか、負けたらどうなるということも分からずに戦っていたかも知れないし、もしかしたら『俺たち行けるよ』と思ってしまった部分が何処かにあったのかも知れない。現実の辛さ、厳しさ、それを身にしみて感じたんじゃないかなと思う。何かを得ようとか、何かを思い通りにしようと思ったら、それだけのものを準備していかないと難しいよということ。それを好きなサッカーで学べているわけだから幸せだと思うし、僕自身も幸せ。それを、これからの道で活かしていってほしい」

一方「うちの人材では頑張るしかなかった。単調な攻撃なら防げても、セカンドボールを拾えずに波状攻撃を受けて厳しい所もあった。けれど、選手たちが与えられた役割を果たして、よく頑張ってくれたなと思う」と話すのは日章学園・早稲田監督。控えめな態度は崩さないが、「同校2連覇はあっても、同県2連覇はないらしいんです。プレッシャーばかりですよ」と話す口ぶりは、決してプレッシャーだけを感じているわけではない様子が窺えた。「これから先は、勝ちたいという気持ちと、それを形に表わせたチームが勝つんじゃないか」(同)。そして日章学園は最後の国立競技場への切符をかけて、富山第一と戦う

[日章学園]
 GK:永本康造
 DF:岩切龍二、鴫山昂平、大川雄平、木橋春暁
 MF:松田岳、井谷一勝、菊池禎晃(77分/平林和将)、甲斐匠、河野翔太(58分/藤堂貴久)
 FW:村田航一

[東福岡]
 GK:中西正明
 DF:熊本雄太、キム ヨ ダン(44分/小山拓人)、岸田優、中島圭大
 MF:草野昂希、阿部敬太、松田天馬、中島賢星、赤木翼(52分/池辺龍次朗)
 FW:木戸皓貴

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