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市立浦和、猛攻及ばず。富山第一が前半のリードを守りきる

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第92回 全国高校サッカー選手権大会 3回戦
日時/2014年1月3日(木)12:05 kick off
会場/浦和駒場スタジアム
結果/富山第一 3-2(前半3-0、後半0-2) 市立浦和
得点者/[富山]渡辺(17分)、大塚(20分)、渡辺(25分)、[浦和]鍛冶(40+1分)、稲辺(57分)

12月30日の開幕戦で大会の幕を空けた高校選手権も今日で5日目。1回戦から戦うチームはもちろん、2回戦からの出場のチームも、中0日で迎える3回戦は疲労の蓄積が激しく、大会の中でも最も厳しい戦いでもある。この試合をどのように乗り切るのか。それが上位進出の鍵でもある。

そして、上位進出を目指して浦和駒場スタジアムに登場したのは市立浦和高校。地元代表校が出場するとあって、スタジアムには10,379人の観客が足を運んだ。そのほとんどが市立浦和の応援。高校サッカーにホームとアウェイはないように思えるが、この試合ばかりは市立浦和の完全ホームと化していた。その期待を一身に背負い「攻めて勝つ」を合言葉に、まずはベスト8進出を目指す

その市立浦和に挑むのは、富山県代表の富山第一高校。北部九州インターハイでは、過去最高タイのベスト8に進出し、今大会の目標に優勝を掲げる。市立浦和が2回戦からの出場であるのに対し、富山第一は1回戦からの出場。しかも2試合とも1点差という厳しい戦いが続く中で疲労の蓄積も多い。その疲労と、完全アウェイと言える浦和駒場スタジアムに、どのように向き合うのかが興味深い。

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最初に試合の主導権を握ったのは富山第一。5分、6分、そしてさらに6分と立て続けに決定機を演出する。はつらつとした動きからは、4日間で3試合目というハードスケジュールから来る疲労の色は窺えない。
戦い方はシンプルだ。攻撃の始まりは高い位置からのプレッシャー。そしてボールを奪うと、中盤で手間をかけずに、まずは1トップの渡辺仁史朗へボールを集める。そして前線で起点を作ると、徹底して市立浦和の最終ラインの背後に向かってボールを送る。その徹底ぶりは見事。チャンスになっても、ならなくても、何度も、何度も、その形を繰り返していく。

富山第一の徹底ぶりに市立浦和は自分たちのリズムを見失い防戦一方に追い込まれていく。そして富山第一は、その狙い通りの形から、あっという間に3得点を奪った。1点目は17分。自陣から相手の最終ラインの裏へ放り込んだロングボールを、渡辺が2人に囲まれながらもキープ。右足で放ったシュートは相手DFに当たってゴールネットを揺らした。2点目は、その3分後。大塚翔が裏へ送ったスルーパスに西村拓真が反応。GK鈴木涼平は、たまらず飛び出したが判定はPK。これを大塚翔が冷静に決めた。

そして3点目は25分。またもや大塚がラインの裏にスルーパスを送ると、タイミング良く飛び出した渡辺がGKと1対1に。これを冷静に流し込んだ。市立浦和にしてみれば、自分たちのサッカーをしないうちに失ってしまった3ゴール。ピッチーの上に重苦しい空気が流れる。

しかし、これで終わらないのが高校サッカー。40+1分、ペナルティエリアの外にこぼれたボールを拾った鍜治光一(市立浦和)が強引にドリブルで突破。右足を振り抜くと、強烈なシュートがクロスバーに当たって、その勢いのままゴールネットを揺らした。そして、この一発が市立浦和の目を覚まさせることになる。

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そして後半に入った47分、ロングボール1本で裏へ抜け出した鍜治が決定機を演出すると、これを合図に市立浦和の猛攻が始まる。
「次の1点が大事になるから、0-0のつもりで入って、もう1回、ゲームを作り直そうと話したが、疲労もあり、前へ行く推進力もなくなってしまった。しかも、相手が割と長いボールで裏を狙ってくるようになって、そこからの、こぼれ球を拾われて苦しい展開になった」(大塚一朗監督・富山第一)
試合の流れは前半とは全く逆。富山第一はゴール前に押し込まれる展開が続く。

さらに、2点のビハインドをはね返そうとする市立浦和を、スタンドに詰めかけた大観衆が後押しする。ボールを奪うたびに、ロングボールが前線に届くたびに、そしてドリブル突破を仕掛けるたびに、割れんばかりの大歓声が起こり、それが選手たちの背中を押す。その中心にいるのは鍛冶。鉈のような重く、キレ味鋭いドリブルで富山第一の守備網をゴリゴリと突破していく。

そして57分、ハーフウェイライン近くから放り込んだロングボールに、投げ出すようにして伸ばした稲辺光の右足がヒット。ボールがゴール右隅と吸い込まれる。これで流れは完全に市立浦和のものになった。同点、逆転を信じて、スタンドの声援がさらに大きくなっていく。
しかし、悔やまれるのは市立浦和が無我夢中になってしまったことだろう。その攻撃には富山第一を圧倒するだけの迫力があるのだが、ゴリゴリと強引にゴールに迫るだけでは得点は生まれない。だが、彼らは高校生。大歓声に包まれた独特の雰囲気の中で冷静さを欠いたとしても、それは責められないだろう。やがて試合終了のホイッスル。富山第一が準々決勝への切符を掴んだ。

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「攻めて勝つためには点を取らなければいけないので、そこが一歩足りなかったということだと思う。結果的に相手をゴール数で上回れなかったのは悔しい」と話すのは池田一義監督(浦和)。同時に、高校選手権に挑む中で、選手たちが成長したと話した。
「サッカーのプレーだけではなく、周りからの期待や、県の代表としてのプライド、そういったものをしっかりと胸に秘めて戦ってくれた。また、これだけの大きな声援を受けるなかで、責任感も強く感じていたと思う。この1カ月で、彼らは人間的に成長した。それは、彼ら自身の頑張りで得たもので、彼らにはかけがいの無いものだったと思う。これからに活かしてもらいたい」

そして、勝利した富山第一の大塚監督は、これからの試合に向けて次のように話した。
「これから先は、総合的に出来るチームがゲームを支配していくのかなと思う。カウンターだけのチームでは難しいし、つないでいくだけのチームも難しくなっていく。総合的な力を状況に応じて出せるチームが勝ち上がっていくのではないか。まあ、それは理想で、そうは上手くいかないですけれど」
前線でボールを収めて起点を作る渡辺を軸に、非常に整理された戦い方をする富山第一が、これから、どんな姿を見せるのかが楽しみだ

【富山第一】
 GK:高橋昻佑
 DF:竹澤昂樹、藤井徹、村上寛和、城山典
 MF:川縁大雅、細木勇人、大塚翔、野沢祐弥(80+2分/平寛治)、西村拓真(60分/高浪奨)
 FW:渡辺仁史朗

【市立浦和】  GK:鈴木涼平
 DF:松本渉、小林俊哉、冨田康平、行田祐也
 MF:稲辺光、村上湧(HT/野澤圭吾)、戸嶋祥郎
 FW:鍜治光一、水上凌、石神佑基

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