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"神の手"西川。広島が2冠に王手

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中倉一志=取材・文・写真
第93回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝
日時/2013年12月29日(日)15:04 キックオフ
会場/国立競技場
結果/FC東京 0-0 (PK4-5) サンフレッチェ広島

にらみ合いのような展開が続いた120分間。「最後の元日の国立」への切符を争う戦いはPK戦へともつれ込んだ。そして、ともに3人目が蹴り終わって時点で3-1でFC東京がリード。いよいよ勝敗が決する。国立競技場に足を運んだ多くの観衆がそう思ったとしても、それは不思議なことではなかった。

しかし、ここから試合は大きく動き出す。その立役者となったのは西川周作だった。まずFC東京4人目のキッカー三田啓貴のPKを右に飛んで弾き返すと、広島の4人目のキッカーとして登場。迷うことなく左へ蹴ってゴールネットを揺らす。そして、FC東京の5人目のキッカー・長谷川 アーリアジャスールのPKを、またも右側へ飛んで阻止。これで流れは完全に広島へと移った。そして、4対4で迎えた6人目に、またもや西川がPKを弾き返すと、最後は野津田岳人が大きくゴールネットを揺らして激戦に終止符を打った。

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「広島はリーグ戦でもリスクを負わずに戦ってきたチーム。そういう相手に対し、決勝に行くために何をしなければいけないかを、今日、見せたいと思っていました。今日に関してお互いのチームが魅力的で美しいサッカーだったとは言えないだろう。相手のミスを待って、そのミスを結果につなげる我慢比べだった。試合を振り返っても我慢比べ。どちらがミスをすれば命取りとなる試合だった。戦術的なところを話せば、興味深いパーフェクトなゲームだったと思います」 ランコ・ポポヴィッチ監督(F東京)の言葉が、この試合のすべてを物語っている。負ければすべてが終わるトーナメント戦。しかも「最後の元日の国立」進出には後一歩。何があっても負けたくないと考えるのは不思議なことではなかった。

それはポポヴィッチ監督の采配にも現れていた。この日のFC東京の布陣は広島と同じ3-4-2-1。最終ラインはチャン・ヒョンスを真ん中に置いて、右に加賀健一、左に森重真人。ダブルボランチには米本拓司と高橋秀人が入り、ウインクグバックは徳永悠平と太田宏介の2人。前線は、1トップの渡邉千真を東慶悟と長谷川 アーリアジャスールがフォローする形だ。攻めきるのではなく、広島と完全にマッチアップする形で相手の特徴を消してしまおうという意図が見て取れた。

そして、試合は睨み合いのような形で進んでいく。最優先は失点を防ぐこと。FC東京も、広島も、相手ボールになると素早く自陣に戻って守備網を張り巡らせる。それでいながら、わずかな隙を突いてゴールを狙うべく神経を研ぎ澄ます。試合はほとんど動かない。しかし、ひとつのミスも許されない緊張感が国立競技場のピッチの上に漂う。

後半に入ると、まずは広島が仕掛ける。ボールを奪う位置を高くし、髙萩洋次郎にボールを集めて攻撃を作る。しかし、FC東京も譲らない。我慢強く相手の攻撃を防ぎながら、東慶悟を起点にして勝負を決めるゴールを狙う。前半に感じられた高い緊張感は時間を追うごとに増し、互いの集中力はさらに研ぎ澄まされていく。それは90分間を過ぎ、延長戦に入っても変わらない。勝負を決するのはわずかなミスか、安易なプレー。しかし、どちらも決して隙を見せない。そして、両者一歩も譲らない試合は0-0のまま120分間が経過。PK戦の結果、広島が「最後の元日決戦」への出場券を手に入れた。

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さて、サンフレッチェ広島の決勝戦進出は、75回、76回、79回、87回大会に続いて、6年ぶり5回目。すべて決勝戦で敗れているが、森保一監督(広島)は力強く話す。 「過去の大会では、リーグ戦の結果は、それほど良いものではなく、トーナメントで勢いに乗って勝ち上がっての決勝戦。しかし、今回はリーグ戦で年間を通して結果を出し、天皇杯では、我々は勢いに乗って勝ったのではなく、勝つべくして勝った。そのチーム状態が、これまでの広島の元日との戦いとは違う。今回は我々が力を出し切って勝ちたいと思う」 それはリーグチャンピオンとしての誇りと自信からくる言葉。2冠を達成すべく、最後の元日の国立競技場に立つ。

【FC東京】
 GK塩田 仁史:
 DF:徳永悠平、森重真人、加賀健一、太田宏介
 MF:高橋秀人(112分/三田啓貴)、米本拓司、長谷川 アーリアジャスール、チャン・ヒョンス、東慶悟(93分/林容平)  FW:渡邉千真(89分/石川直宏)

【サンフレッチェ広島】
 GK:西川周作
 DF:水本裕貴、千葉和彦、塩谷司
 MF:ファン・ソッコ(110分/清水航平)、青山敏弘、森﨑和幸、石原直樹、髙萩洋次郎(107分/浅野拓磨)、ミキッチ  FW:佐藤寿人(86分/野津田岳人)


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