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ラストクイーンは誰に

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西森彰=取材・文 金子悟=写真
 第35回皇后杯全日本女子サッカー選手権も、いよいよ大詰めに入ってきた。準々決勝は12月15日(日)、仙台、三木での2試合ずつを終えた。現時点で、皇后杯を手にする資格が残っているのは、当然ながら4チームに絞られている。

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 ディフェンディングチャンピオンのINAC神戸レオネッサは、3回戦から参戦。この愛媛FCレディース戦が12月11日(水)に行われたため、今大会参加チームで、最も遅い初戦となった。これは、皇后杯序盤戦と並行して行われたモブキャストカップ国際女子サッカークラブ選手権2013に参戦していたためだ。同大会では、準決勝で南米代表のCSDコロコロを3-0で破ると、決勝では大儀見優季擁する欧州代表のチェルシー・レディースFCを3-2で破り、初優勝した。

 2年連続でなでしこリーグを独走したこともあり、対戦相手はこれまで以上に対策を施してきた。昨シーズン終了後、大野忍がリヨンに、今シーズン途中には田中明日菜がフランクフルトに移籍。近賀ゆかりも昨年末のケガで前半戦は棒に振った。そうした影響もあって、昨年までのようなワンサイドゲームの連発ができたわけではない。チーム関係者も「今年のウチはシュート数で下回ることも少なくない」(石原監督)「今年は、悔しい想いをした試合が多いシーズンだった」(川澄奈穂美)と吐露している。

 内容的には圧倒していた昨シーズンも、なでしこリーグカップとモブキャストは苦杯を舐めた。追う者のマークが厳しくなった今季、ここまで3つのタイトルをひとつとして落とすことなく手に入れた。それだけでも賞賛に値する。この皇后杯も愛媛FCに10-0の圧勝でスタート。浦和レッズレディースを破って意気上がるFC吉備国際大学Charmeとの準々決勝は、日程上の不利を感じさせることなく、7-0の連勝。今シーズン前に掲げていた4冠制覇に向けて、残るは2試合。これまで以上のプレッシャーと戦いながら、最後の頂を目指す。

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 そのⅠ神戸の前に準決勝で立ちはだかるのが、伊賀FCくノ一である。大嶽直人前監督から、浅野哲也監督へバトンがうまくつながり、今季はなでしこリーグで4位と名門復活ののろしが上がった。その宮迫を含めて、チーム全体で構築する堅固なディフェンスで、試合数(18試合)よりも少ない失点(17でリーグ3位)に抑え、躍進のカギとなった。いまだ得点力の部分に難を残しているとは言え、浅野監督が、女子サッカー界に足を踏み入れたのは今季が初めて。それを考慮すれば、上々の成績である。

 多少、鼻息を荒くしてもいいところだとわれわれ外野は思うのだが、指揮官は冷静そのものだ。今季の上位チームでは日テレ・ベレーザを除くチームはいずれも日中、または夕方が練習時間。生活環境の差が如実に表れる結果になっているが「そういう環境の改善が女子チームを強くする上では一番大事」(浅野監督)。指揮官自身の采配うんぬんを横において、チームをバックアップするスポンサー、サポーターなど周囲の支えが上位進出につながったと感謝し、さらなる支援に期待する。

 なでしこリーグ上位チームでは唯一、リーグ選定のベストイレブンが出なかったが、これにも「たまちゃん(宮迫たまみ)がもう少しだったらしいんだけど……。まあ、ウチみたいな地方のクラブはひっそりと頑張ればいいから」と一笑にふす。ただ与えられるものには淡白でも、自ら掴みとる結果とその過程にはとことんまでこだわる。初顔合わせの可能性がある高校生、大学生チームの試合には自ら足を運び、ビデオを回す。「スカウティングはできるだけ自分でやりたい。特に対戦機会が多くないチームは」と語る指揮官の目には、Ⅰ神戸のウィークポイントもくっきりと浮かび上がっているのだろうか。

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 準決勝もうひとつのカードは、岡山湯郷Belleとアルビレックス新潟レディースの組み合わせ。どちらも皇后杯が全日本女子サッカー選手権とだけ呼ばれ、国立霞ヶ丘陸上競技場での元日開催だった時代に、決勝のピッチを踏んでいる。

「『皇后杯はお客さんが入らない』と言われているので、スタジアムに見に来てもらえるような、面白い試合をみせたい」と意気込む宮間あや以下、シーズン最後のトーナメントに向けて気合十分の湯郷ベルだったが、初戦でASエルフェン狭山FCの善戦に冷や汗をかかされた。残り10分を切って2点のビハインド。それでも福元美穂の好セーブで決定的な追加点を許さず、「相手の足も計算に入っていたし、ペース配分もうまくできた」(宮間)という攻撃陣が終盤に爆発。粘り強く延長戦に持ち込み、松岡実希の決勝ゴールに結びつけた。最終スコアは4-3。2点を追う展開でも、最後まで気持ちの余裕を持って戦えた理由は、今年1年間の積み上げだ。

押し気味に試合を進めながら、開幕から連敗。Ⅰ神戸に0-7の大敗など、なでしこリーグ序盤は苦しんだが、徐々に攻守の最適バランスを掴んだ。松岡と有町紗央里の2トップがアベックゴールを決めた岡山ダービーから、上昇気流に乗った。なでしこリーグカップでは堂々の決勝進出。リーグ後半戦はⅠ神戸のリーグ無敗記録をストップし、最終的にはリーグ3位にまで押し上げている。準々決勝では、今季限りでの退任を示唆する上村崇士監督率いるジェフユナイテッド市原・千葉レディースを2-0で退け、準決勝に駒を進めた。

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 新潟Lは、生え抜きの川村優理をはじめ昨季までの主力が相次いで退団し、リーグ戦では序盤から苦しんだ。シーズン半ばを過ぎても、降格争いに足が浸かった状況は久しぶりのこと。最終的には「残留」を優先事項としてリトリートした戦いを徹底。この戦術変更にティファニー・マッカーティーの加入もマッチした。薄氷を踏む形ではあったが、なでしこリーグへ踏みとどまった。プレッシャーから解き放たれたチームは、準々決勝で得点力不足に喘ぐ日テレ・ベレーザを零封し、ベスト4に名乗りをあげたのである。

 これまでの対戦では湯郷ベルが、新潟Lを“カモ”にしてきた。ただし、対戦成績に見られるほどの差はない。昨年までとは違う新潟Lのスタイルは、湯郷ベルにとっても不気味なのではないだろうか。同じように訪れた不調期を、湯郷ベルは「継続」で、新潟Lは「変化」で乗り切った。こうした視点からも興味深い2チームの対戦だ。

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 12月21日(土)の準決勝、12月23日(日)の決勝とも、会場は大宮のNACK5スタジアム。2013年のラストクイーン誕生を見届けてほしい。


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