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【ブラサカ・アジア選手権2011】激闘の記録 2

111223_01.jpg ブラインドサッカー・アジア選手権2011
日本代表vs.韓国代表
日時/12月23日(金)14:00
場所/元気フィールド仙台
結果/日本1-2韓国

取材・文・写真/中倉一志

 日本のパラリンピック出場に大きな影響を与える伝統の日韓戦。14:00からの試合にも拘わらず、午前中から多くのサポーターがスタンドに足を運んだ。それぞれの手にサムライブルーのスティックを持ち、観客が陣取る右側には大きな日の丸の旗が広げられている。パラリンピックの出場権を得られるのは、既に出場権を有している中国を除いて1か国だけ。ロンドンへの切符を掴むためには、もう一つも落とせない。そんな状況の中、ホームの熱い声援で選手たちを後押ししようという思いが伝わってくる。

 初日に中国に敗れた日本は、この試合で勝点を取れなければ、その時点でパラリンピックへの道が閉ざされる。一方の韓国はイランと引き分けて勝点1を持つが、今大会で一つ上の実力を有する中国との対戦を最終戦に控えており、日本に勝たない限り、パラリンピック出場の可能性は限りなく小さくなる。ともに勝たなければいけない1戦。戦う前から、ピッチには独特の緊張感が漂う。そして14:00、互いに取っての大一番がキックオフされた。

 まず、試合を押し気味に進めたのは日本。中国戦と同様に前線からのプレッシャーで韓国の勢いを止め、韓国陣内で時間を過ごす。だが、高い位置でボールを落ち着かせられずチャンスを広げられない。そして、やがて勢いは韓国へ。YEONGJUN JANG、KYUNG HO KIM、YUNCHEOL SHINらが鋭いドリブルを仕掛けて日本ゴールに迫る。だが韓国も、粘り強く守る日本を崩すことが出来ない。試合は、いつ、どちらに傾いてもおかしくない膠着状態のまま進んでいく。

 そんな状況に変化を与えたのが、黒田智成と落合啓士の2人だった。この2人を中心に高い位置でボールを納められるようになった日本は、次第に韓国ゴールを脅かすようになる。その流れは後半に入っても変わらない。後半 5分36秒5には、攻めに出た裏を取られて先制点を喫したが、日本からは慌てるそぶりは感じられない。「まだまだ時間はあったし、1点取られても、そこから逆転出来るようなメンタルトレーニングも積んできた。気持ちを切り替えて次のプレー臨むことができた」(黒田)。前に出る姿勢をなくさない日本は、積極的に仕掛け、そして際どいシュートを打ち続ける。そのひとつ、ひとつのプレーには、絶対にパラリンピックへ行くという強い気持ちが伝わってくる。そして、その思いをスタンドからの熱い声援が後押しする。

 後半15分53秒7、そんな思いが結実する。決めたのは落合。左からのCKからゴール前中央のスペースへ抜け出して右足を一閃。韓国ゴールネットを大きく揺らす。そして、残り1分7秒5、この日、最も大きな歓声がスタジアムを包みこんだ。「足に負担が来ていて(怪我の状況が)少し難しい状況で細かい切り返しが難しかった。一発にかけてスピードだけで抜いて思いきり蹴った」(黒田)。黒田の思い、チームの思い、そして日本代表を支え続ける人たちの思いを載せたボールが、韓国GKの差し出した左手をた弾きとばしてゴールネットへと転がり込んだ。そして試合終了のホイッスル。日本はロンドンに続く大一番を全員の気持ちで勝ち取った。

「ありがとうございます。日本で試合をするのは本当にいい。皆さんがこんなに応援してくださって選手たちも乗ってくるし、僕も頑張らなければいけないという気持ちが一層強くなってくる。ホームで戦うことの意味が本当によく分かる。明日も頑張ります」(風祭喜一監督)。そして日本は、パラリンピック出場権をかけてイランとの最後の戦いへと臨んだ。それは、日本らしさとは何かを改めて示し、そして、サッカーの難しさを改めて知らされる試合となった。

(続く)


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