INSIDE WEB

 

【フットボールな日々】未来へ羽ばたけ!

130302_01.jpg 取材・文・写真/中倉一志

「やれる」という自信に混じる少しの不安。口では表現しにくい想いが胸の中に渦巻く。それは毎年のこと。慣れているはずなのに、やはり、この日だけは特別な気持ちになる。けれど、今年は少しばかり違った想いも混じる。何かが変わりかけている。いつもとは違う景色が見えるように思える。それは、今までの歴史とは違った新しい未来へ続く道のように思える。消しようのない悔しい想いと、どうしようもない情けない想いに包まれた日々。どこへ進めば出口があるのかも分からなかった。けれどいま、目の前に続く道がしっかりと見える。どんなことがあっても、必ずこの道を歩いて行ける。そんな想いを強くする。

 そんな想いにさせてくれるのは、なりふり構わず前へ出ようとする選手たちの姿だ。「変わろうと思えば変われる」。力強く話すのは7年ぶりに福岡へ戻って来た水谷雄一。「去年、京都の選手として博多の森(現レベルファイブスタジアム)でプレーした時、お客さんが少なくてさびしかった。もう一度、博多の森(現レベルファイブスタジアム)を満員にしたい」。その想いを実現すべく福岡へ戻って来た。若い選手たちに厳しい叱責の声を浴びせるのは、プロの世界と勝負の厳しさを伝えるため。そして、アグレッシブにプレーすることで、いまのアビスパに必要な物を伝えるためだ。

130302_02.jpg
 福岡への強い想いを背負ってボールを追うのは城後寿。彼もまた必ず変わるという強い意志を持ってトレーニングに取り組んでいる。「チームが変わらなければJ1昇格は難しい。そのためにクラブは外国籍監督を選んだと思うし、それに選手がどういう反応を起こすかが大事。みんなが変わるという意識と、必ず昇格するという意識を常に持ちながら、3月3日の試合から、最後の試合まで戦いたい」と話す。今シーズンもアビスパでプレーすることを決断するまでには、様々な葛藤があったはず。しかし、それについては一言も発せずに黙々とピッチを走る。想いはプレーで見せる。そんな気持ちが伝わってくる。

 チームを率いるのはスロベニアからやって来たマリヤン・プシュニク監督。豊富な経験と実績、そして理論に裏打ちされたトレーニングで、チームを変化させてきた。求めるのはアグレッシブでスピーディなサッカー。それをグラウンドの上で実践して見せる手腕は見事としか言いようがない。アビスパが変化を見せているのは、選手たちが変わろうという強い意志を持っているからだが、それが短期間で形になって来たのは、プシュニク監督の力によるところが大きい。そして何より、選手、スタッフ、アビスパに関わるすべての人たちの気持ちを、再び、ひとつにしてくれた。まだチームの完成形は見えていない。けれど、必ずや、チームを成功に導いてくれるはずだ。

 そして、アビスパは開幕戦で東京Vと戦う。アビスパが新しくなったチームなら、東京Vも、今までとは違った新しいチーム。22人の選手がチームを離れ、18人の選手が新しくチームに加わった。その力は未知数と言える。しかし、個の高い技術をベースにした、足下につなぐポゼッションサッカーは伝統のサッカー。そのスタイルに大きな違いはない。勝負のポイントは、アビスパの持ち味である高い位置からのハイプレスを掛けられるかどうか。相手の技術を怖がってプレスが緩めば、高い技術を持つ東京Vの思う壺。アビスパは恐れずに前へ出ることが何よりも大切になる。また、90分をコントロールすると言う意味では、プシュニク監督が、どのような采配を取るのかにも注目だ。

 いずれにせよ、アビスパにとって必要なのは、自分たちが取り組んできたサッカーを披露することだ。チームはまだ作っている段階。正直に言えば100%の状態には遠い。けれど、それが今の自分たちなら、恐れることなく、ただひたすらに自分たちが出来ることを徹底して繰り返せばいい。キーワードは「前へ」。それがこの1か月半で取り組んできたことだからだ。そして、アウェイに地に集まるファン、サポーターも、チームとともに戦いたい。プシュニク監督いわく、チームはピッチの上で戦う11人だけで出来ているのではなく、チームスタッフ、フロント、クラブ職員、ファン、サポーター、メディア、そしてあらゆるアビスパに関わっている人たちの集合体。ならば、全員で福岡の力を見せたい。

 3月3日、アビスパは18年目の春をスタートさせる。その先にある勝利を目指して。

130302_03.jpg 130302_04.jpg 130302_05.jpg


Comments

Body

123456789101112131415161718192021222324252627282930 04