INSIDE WEB

 

【高校サッカー】竜攘虎搏 鹿児島城西が勝利

第91回 全国高校サッカー選手権大会 1回戦
日時:2012年12月31日(月)12:05 kick off
会場:浦和駒場スタジアム
結果:鹿島学園 3-4 鹿児島城西
写真/文:中倉一志

 バックスタンドに、黄色地に赤字で「必勝」と描かれた弾幕が目に飛び込んでくる。鹿島学園が張り出したものだ。今大会は3年連続7回目の出場。出場回数だけで言えば、参加49校のうち24番目タイだが、初出場を果たした83回大会から数えれば、9年間で7回目の出場で、いまや、高校サッカー選手権では常連とも呼べる存在だ。過去最高の成績は第87回大会のベスト4。その記録を塗り替えるべく、今大会では全国の頂点を狙う。

「最高の仲間と」「結束から絆へ」。白地に赤く染め抜かれた弾幕を掲げるのは鹿児島城西。こちらは2年連続4回目の出場になる。過去最高成績は大会屈指のストライカーと称された大迫勇也を擁して戦った4年前の第87回大会での準優勝。目指すものは、もちろん、過去の成績を越えること。2年生ながら9番を背負うFW向高怜は「目指しているところは優勝」と、きっぱりと口にする。

 そして試合は、両者一歩も譲らぬ点の取り合い。最後まで、どちらが勝つかか分からない展開になった。
 鹿島学園の布陣は、中盤をフラットにした4-4-2。最終ラインを高く設定してコンパクトなゾーンを形成し、GK田邊快人がペナルティエリアを飛び出して、最終ラインの裏に広がるスペースをカバーする。対する鹿児島城西は4-5-1。1トップには向高。その下に加治佐楓河と濱上大志が並び、中盤の底に南祐輝が入ってゲームをコントロールする。こちらも高く保った最終ラインとコンパクトなゾーンで戦う。

 まず先手を取ったのは鹿児島城西。高い位置からプレッシャーをかけて相手のプレーを制限すると、高い位置で奪った時はボールを動かしてゴールを狙い、奪った位置が低ければ、シンプルに相手の最終ラインの裏へボールを落とす。先制点は8分、江﨑晃大がドリブルで相手をひきつけてからフリーになっていた加治佐へ。その右足から放たれたループ気味のシュートが、鹿島学園GK田邊の頭上を越えてゴールネットに吸い込まれた。

 鹿島学園も負けてはいない。こちらは、鹿児島城西の激しいプレスを交わすために長いボールを多用。前線の文亨碩をターゲットにして、こぼれたボールを拾って押し上げる。そして同点ゴールは18分、狙い通りの形からペナルティエリアにこぼれたボールに古橋広樹が鋭く反応。振り向きざまに右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。
 ここからは点の取り合い。2分後に鹿児島城西が向高のゴールで引き離しにかかれば、その2分後には、今度は鹿島学園が井黒のゴールで追いつく。そして、勝敗の行方は後半へと持ち越された。

 相手の背後を徹底的に狙い合う展開は、どちらかと言えば鹿児島城西の狙いとするものだったが、後半に入ると、鹿島学園はDFラインからビルドアップする本来のサッカーを展開。後半17分には鹿児島城西に勝ち越し点を許したが、左サイドを中心とした攻撃から鹿児島城西を押し込む展開が続く。
 この流れを断ち切るべく、小久保悟監督(鹿児島城西)は、右サイドの江﨑に代えて中村亮を投入。この采配が流れを代える。右サイドの主導権を取り戻した鹿児島城西は後半の62分、ロングボールを受けて右サイドを突破した中村がチャンスを演出。そこからの折り返しを濱上が決めて、決定的とも思える4点目を挙げた。

 それでも、試合は終わらない。人を代え、ポジションを代えて2点を追う鹿島学園は後半の29分、途中出場で左サイドに入った安藝敬宏のクロスボールがゴール前にこぼれたところを、これも途中出場の白須達也が流し込んで1点差に迫る。
 そして、ここからは鹿島学園がリズムを握って鹿児島城西ゴールに迫り、鹿児島城西は耐えながらカウンターを狙う展開で試合が進む。どちらが勝つとも知れない展開は、提示された3分間のアディショナルタイムでも変わらない。しかし、鹿島学園に得点は生まれず。そして、浦和駒場スタジアムに試合終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

 激しい戦いを制した鹿児島城西は、80分間に渡って、徹底して相手の最終ラインの背後を突いたことが勝利につながった。1、2年生が中心のチームは、この勢いを活かして2回戦・前橋育英戦に挑む。
 そして敗れた鹿島学園。悔しさは募るが、3年連続7回目の出場、そして9年間で7回、全国の舞台に進んできた力が本物であることは示した。悔しさは将来への糧。成し遂げられなかった夢を後輩たちに託して全国の舞台を後にした。


Comments

Body

123456789101112131415161718192021222324252627282930 11