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【皇后杯決勝:INACvs.千葉】INAC3連覇 千葉一歩及ばず

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日時:2012年12月24日(祝)14:00 kick off
会場:NACK5スタジアム
結果:INAC神戸レオネッサ 1-O ジェフユナイテッド千葉レディース
写真:金子悟/文:中倉一志

 34回目を迎える日本サッカー界の女王を決定する大会は、装いも新たに「皇后杯全日本女子サッカー選手権大会」となって激しい戦いが繰り広げられてきた。そして、頂点を目指す戦いの最後の舞台に駒を進めてきたのは、大会2連覇中のINAC神戸レオネッサと、初めての決勝進出を果たしたジェフユナイテッド千葉レディース。女王の称号と、まだ誰も触ったことのない皇后杯に触れる権利をかけて、NACK5スタジアムで、積み重ねてきた様々なものをぶつけ合う。

 さて、今大会の過去10年間を振り返ると、千葉同様に初めて決勝戦を戦ったのは、さいたまレイナスFC(第26回)、岡山湯郷Belle(第28回)、INACレオネッサ(第30回)、浦和レッズレディース(第31回)、アルビレックス新潟レディース(第33回)の5チーム。しかし、いずれも、決勝戦では自分たちのサッカーを表現できずに敗れた。やはり、決勝戦は特別な部隊。そういう意味では、実績と実力を兼ね備えたINACが有利という見方は当然のことだったろう。
 実際、試合の立ち上がりはINACのペース。ファーストプレーでCKを奪い、連動した動きで軽快にパスを回すINACの姿は、さすがと思わせるものだった。しかし、千葉は決して臆してはいなかった。

「立ち上がりの5分、10分は危ない場面が多かったが、試合前に、10分間辛抱すればリズムはこっちにくるだろうという話を選手にしていた」(上村崇士監督・千葉)。その言葉通り、千葉は立ち上がりの時間帯を凌ぐと、果敢にINACに立ち向かった。戦うスタイルは自分たちのサッカーを徹底してぶつけようというもの。最終ラインを上げてコンパクトなゾーンを形成すると、持ち味である豊富な運動量を武器に、ボールホルダーに対してアグレッシブにプレスをかけ、奪ったボールをシンプルに裏のスペースに送り込んでゴールを目指す。

 それを徹底して繰り返す千葉の前にINACのリズムが狂った。
「ジェフのプレッシャーが前から本当に速いタイミングで来ていて、そこに対して中盤の3人がサポートに行ったために、3トップとの距離が離れてしまって、サポートに行ける距離ではなくなってしまった」(星川敬監督・INAC)
 さらに、準決勝で怪我をした近賀ゆかりを決勝戦で欠いていたことも重なり、ビルドアップのリズムを失ったINACは、縦に急ぐサッカーに陥るという悪循環を繰り返して、千葉のリズムに飲み込まれていく。

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 その流れは後半になっても変わらない。千葉は運動量を落とすどころか、さらに激しくINACに襲いかかり、前半以上に、狙い通りの展開で試合を進めていく。そして、INACが、ベッキーのオーバーラップと、体躯の強さを発揮するゴーベル・ヤネズのコンビネーションで強引にゴールを奪おうとすると、徹底したマークで潰してゴールを許さない。試合を完全に支配していたのは間違いなく千葉だった。ただひとつ悔やまれるのは、度重なるゴールチャンスを形にすることが出来なかったことだろう。

 ゴールの匂いを漂わせるものの最後の力を出し切れない千葉。自分たちのサッカーを表現できずにゴールチャンスを作れないINAC。そして、90分が経過。誰もが延長戦での決着を確信した、その時、劇的なゴールが生まれる。時間は90+2分。INACの左CKのチャンスは千葉がクリアしたが、そのこぼれ球を澤穂希がダイレクトで折り返して髙瀬愛実がシュート。一度はゴール前を固める千葉の壁にぶつかってこぼれたが、そのボールを田中明日菜が右足で押し込んだ。そして試合終了のホイッスルの鳴った。

「INACらしいサッカーは出せなかったが、勝者のメンタリティみたいなものを、去年、しっかりと勝ち得たことが、今日の勝利につながったのではないか」と振り返ったのは星川監督。準決勝に引き続き薄氷を踏む思いの勝利だったが、見事に大会3連覇を達成し、初めての皇后杯を手にした。準決勝、決勝の2試合のバタバタ感は、強豪とは言え勝ち続けることの難しさを感じさせるものだったが、だからこそ、それでも結果を手に入れたINACの強さが印象に残る。

 そして、敗れた千葉も、持てる力のすべてを発揮した見事な戦いぶりを見せた。「選手には、たまたま、あの時間帯に点を入れられただけで、それが最初だったかも知れないし、まだまだ力の差はあると話した。でも、本当に今日は選手が良く戦ってくれた。不細工だが、ジェフらしいサッカーが出来たのではないかと思っている」と語ったのは上村監督。過去、初出場で敗れたチームが、その想いを胸にレベルアップしたように、千葉にとっては、今大会の経験が、今後に向けての大きなターニングポイントになることだろう。

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【皇后杯決勝:INACvs.千葉】試合後の両監督記者会見コメント


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