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ヤングなでしこ快挙!初のベスト4へ

120907_08.jpg 取材・文/西森彰

FIFA U-20女子ワールドカップ日本2012
準々決勝 U-20日本女子代表(ヤングなでしこ)vs.U-20韓国女子代表
2012年8月30日(木)19:30キックオフ 国立霞ヶ丘陸上競技場
U-20日本女子代表3-1(前半3-1)U-20韓国女子代表
得点者:柴田(8分、19分)、チョン・ウナ(15分)、田中陽(37分)

 グループAを1位で抜けたU-20日本女子代表=ヤングなでしこの対戦相手は、U-20韓国女子代表。U-17女子ワールドカップ決勝のリターン・マッチとなったこのゲームで、日本は韓国を序盤から圧倒した。攻めては柴田華絵の2ゴールなど3得点を奪い、守ってもチョン・ウナの1ゴールに抑える。過去最高のベスト4に進んだ。

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 グループリーグ突破が決まったスイス戦後、準々決勝までの間、日本の選手たちには2年前のゲームについての質問が相次いだ。U-17の決勝に出た選手は、完全な勝ちゲームを落とした悔しさが、今も時おり、脳裏に甦るという。
「(韓国戦で思い出すのは)3点目を思い出します。あそこで粘っていたら勝っていたのに『あれを決めるか!』というようなスーパーシュートでしたから」(猶本光)
 一方、韓国にとっても日本戦に対しての思い入れはある。今大会の地域予選を兼ねたU-19女子アジア選手権の対戦で日本にリベンジを許し、6カ国中4位。世界一に輝いた選手たちを擁するチームは、3位までに与えられる世界大会出場権を奪われ、一度はチーム解散に追い込まれた。
 ウズベキスタンから日本への開催地変更による繰り上がり措置で“17番目の出場国”として出ることになった遠因は、日本戦の敗戦にある。折からの政治的緊張関係も含めて、日韓両国のどちらにとっても負けられない試合が始まった。

 この日は、体調不良でスイス戦を休んだ藤田のぞみが復帰し、猶本光とダブルボランチを組み、田中陽子がひとつ前に上がる。2列目の並びが注目されたが、試合が始まるとトップ下へ入ったのは柴田華絵だった。
「(トップ下のポジション争いは)いや、(田中)陽子が練習からライバル意識みたいなものをむき出しにしてくるわけではないし、練習でも『左サイドをふたりの連携で崩していこう』という感じで。よくポジションチェンジもしますし」(柴田)
 それでも一番得意な位置を「トップ下」という柴田。その言葉通り、この日はトップに近い場所でプレーした。そして、8分、最終ラインの裏に抜け出し、西川明花のパスを韓国GK・チョン・ハンヌルの鼻先でタッチし、ゴールに流し込む。「普段は私が抜けるのではなく、私が他の選手にパスを通すほう。でも、あの時は、いいボールを出してくれたので」と柴田。貴重な先制ゴールを奪った。

 これでペースを掴むかに見えた日本だが、韓国も負けていない。大会初戦のナイジェリア戦で負傷していたヨ・ミンジは明らかに本調子を欠いていたが、もうひとりのFWチョン・ウナは、グループリーグからの好調を持ち込み、この日も存在感を発揮する。そして、12分、左からのクロスにマークを外してゴール前へ侵入、頭であわせて同点とした。
「左サイドで振り切られてしまって、スライディングしましたが、縦に来るのはわかっていたのに、そういう反応が遅くなってしまった。あそこで止められていたら、中がフリーでも失点にはならなかった」(高木ひかり)
 あっさりと同点に追いつかれた日本だが、これまたあっさりと韓国を突き放す。ペナルティエリア付近でドリブル、パスを効果的に使い、最後はゴール正面にいた柴田へ。「打てるタイミングなので、思い切って打ちました」というシュートは、無回転気味に飛んで左ポストの内側を叩き、韓国ゴールに入った。

 流れを取り戻した日本は、持ち前の攻撃力で韓国を圧倒した。2点を奪った柴田が最終ライン付近をうろついていることもあり、韓国の両サイドバックは後ろ髪を引かれて出て来られない。それもあって、サイドの位取りは日本が制した。サイドバックが絡んでの追加点は37分。
「チャンスがあれば(前に)行きたいんですが、20番がガツガツ来るのでそれを警戒しすぎていた」
「すごい小心者(笑)」と自らを分析する高木が、ようやく恐れを捨てて攻撃参加を開始。右サイドをドリブルで進む。PKを恐れてタックルができない韓国DFをあざ笑うかのように、深い位置からマイナスのボールをゴール前へ折り返すと、ニアで潰れた西川の後ろで、毎試合ゴールを奪ってきた田中陽子が、フリーで待っていた。あっさりとこれを流し込んで3点目。そして、後半は2点のアドバンテージをしっかりと計算しながらの戦いに入った。韓国の攻勢にもなかなかチャンスを与えない。「やっぱりお互いに負けたくないという思いが強いし、ボランチのところで相手の攻撃を止めれば、ひとつリズムを作れるかなと思っていたし、そこは意識しました」と語る、藤田がワイパー役として効いていた。最後までスコアは動かなかった。

「日本も、韓国もベストを尽くしました。敗れはしましたが、私たちのチームの選手を誇らしく思います」
 試合後の記者会見で、韓国のチョン・ソンチョン監督はそう切り出した。
「前半に点をたくさん奪われましたが、瞬間的にスペースを確保するという部分で日本にやや劣っていたせいではないかと思います。そのほかの点については特に問題があったとは思っていません」(チョン・ソンチョン監督)
 2トップのコンディションが不十分で、本来の推進力を発揮できなかった部分はあるだろう。それもあってカウンター頼みの戦いになったわけだが、その策に嵌ることなく、韓国が敷いていた守備陣形のほつれを、日本の若い選手たちはきっちりと崩し切った。

「今までの積み重ねで、一戦ごとに攻撃をコントロールできていると思います。相手が守備ブロックをしっかり作っていたので、攻め急ぐと相手の思うつぼ。いつも監督に言われている『あわてるな』『気持ちを持って』というのが活きたのかなと思います」(藤田)
 タイムアップ時のスコアは、昨秋の対決と同じ3対1。持ち前の攻撃力を発揮し、日本は完全にライバルとの勝負付けを済ませた。ベスト4進出。それはU-20日本女子代表史上初の快挙である。

【U-20日本女子代表】
  GK: 池田咲紀子
  DF: 高木ひかり(45分/中村ゆしか)、土光真代、木下栞、浜田遥(61分/横山久美)
  MF: 藤田のぞみ、猶本光、田中美南、柴田華絵、田中陽子
  FW: 西川明花(86分/道上彩花)
【U-20韓国女子代表】
  GK: チョン・ハヌウル
  DF: ソ・ヒョンソク、キム・ジヒェ、シン・ダミョン(91分/チェ・ソミ)、チャン・セルギ
  MF: イ・ヨンジュ、イ・ジョンウン(33分/ムン・ミラ)、チェ・ユリ、イ・グミン(69分/イ・ソダム)
  FW: チョン・ウナ、ヨ・ミンジ


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