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アウェイの旅2015 北九州編(その1)


【中倉一志=取材・文・写真】
前節の大分戦に続くバトル オブ 九州2連戦。雨の中を本城陸上競技場を目指す。窓に降りつける雨を恨めしく眺めながら、「いろんなダービーがありますからね(笑)」と話していた井原正巳監督の言葉を、ふと思い出す。大分、長崎、熊本、そして北九州。今はカテゴリーが異なるために対戦はないが、鳥栖とのダービーもある。関わりや因縁はそれぞれ。九州内のチームには絶対に負けたくないという気持ちは同じでも、どれも同じ「ダービー」という言葉でくくるには、少々無理がある。

その中で、北九州とのダービーは特別な試合のひとつだ。同じ福岡県内にホームタウンを置くチーム同士の、文字通り「福岡ダービー」。福岡県のNo.1チームを決める戦いは、敗れれば、その存在意義を問われかねない極めて重要な試合でもある。歴史はまだ浅く、その成熟度は高いとは言えないが、鳥栖とのダービーがそうであったように、積み重ねられる歴史の中で必ず重要性は増していく。その時になって四の五の言われないためには、いつまでも勝ち続けて、福岡の方が強いということを示さなければならない。

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最も近いアウェイへの移動はJR鹿児島本線が主要交通機関。「折尾」駅で降り、北九州サポーターで埋まるシャトルバスで本城陸上競技場へ向かう。本城陸上競技場はアクセスが非常に悪く、ほとんどの福岡サポーターは、ツアーバス、あるいは自家用車を利用するため、近場の移動ながら、公共交通機関の中で福岡サポーターの姿を見かけることは少ない。この日も、乗り込んだシャトルバスの中にいる福岡サポーターは数えるほど。けれど、それも結構。アウェイ感が強くなればなるほど闘志が湧いてくるものだ。

そして本城陸上競技場に到着。スタジアムの周囲に設置された屋台村には、黄色に赤のストライプのユニフォームを身に付けたサポーターが多い。しかし、アウェイ側ゴール裏へ足を運ぶと、そこはネイビーを身に付けた福岡サポーターで埋められている。昨年は本城陸上競技場で0-2から怒涛の反撃を見せて5-3と勝利したが、対戦成績は1勝1敗。順位では大きく離された。この試合に勝って、福岡で一番強いのは福岡だと証明するという気概にあふれている。

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選手がピッチに登場すると、全員でボードを掲げて、ゴール裏のネイビーとシルバーのストライプを描き出す。そして、途切れることのないチャントで選手たちの背中を押す。そんな光景を見ながら、雨に濡れる記者席で「おらが町のチーム」に念を送る。メモなど取れる状況にはない。何が起こったかを確認したければ、記者室に用意されたモニターを見ればいい。しかし、何が起こったかをはじめ、選手の戦う気持ち、サポーターの想い、そしてスタンドの熱気を肌で感じてこそサッカー。記者室なんかに引っ込んではいられない。

試合は、終始、福岡のペース。そして40分、「サポーターの皆さんも、すごく気持ちが入っていたと思うし、その気持ちに乗せられて、僕たちもいいプレーが出来た」と話す中原貴之が鈴木惇のCKに頭を併せて先制。その後も主導権を握って試合を進める。75分頃から、北九州の反撃にゴール前に押し込まれるシーンが増えたが、福岡は粘り強く守り続け、そして前へ出る気持ちを忘れない。そして、福岡の勝利を告げるホイッスル。「博多へ帰ろう!みんなで帰ろう!」と歌うチャントが心地よい。

だが、この日の勝利は次の勝利を約束するものではない。謙虚に、相手をリスペクトし、弛まない努力を積み重ねた者にしかサッカーの神様は微笑まない。そして、次回の対戦に勝利してはじめて、福岡が福岡県のNo.1チームであると胸を張れる。福岡ダービーは半分が終わっただけだ。(その2「グルメ編」に続く)

※この記事は、WEBマガジン「football fukuoka」から転載したものです。
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