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プシュニク監督が伝えたかったこと

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【中倉一志=取材・構成・写真】
いま振り返るとき、来日して1週間後に行ったインタビュー取材で、プシュニク監督が答えてくれた内容に、この2年間のすべてがあったように思う。それを記憶にとどめるために、改めて全文を掲載する。

内容 練習終了後の個別取材
日時 2013年1月21日(月)
場所 雁の巣球技場

Q:監督の仕事は多岐に渡りますが、その中でも、チームをどのようにマネジメントするのかということが非常に重要だと考えています。そういう観点で、監督がチームをマネジメントする際に、最も大切にされていらっしゃることは、どのようなことなのでしょうか?
「大切なことは、選手たちがチームとして振る舞い、考えるということです。ですから、まず最初に、チームとしてどのようにプレーするかということを教え、その上で、攻守両面において、個人をどのように表現していくかということを教えていかなければなりません。けれど、いま話したチームというのは、チームの形のひとつの側面にしかすぎません。
ここで、少し表現を広げてみましょう。『チーム』とひと言で言っても、それは漠然としていてモザイク模様のようなものです。そのモザイク模様を作っているひとつ、ひとつのパーツを見ていくと、それはクラブフロントであり、クラブ職員であり、強化担当者であり、さらには、選手、チームスタッフ、キット、観客、ファン、サポーター等々です。そのモザイクのひとつ、ひとつが噛み合って、綺麗な映像を映し出すことが大切です。ただ、11人の選手がボールを蹴っているだけではいけません。
ちょっと紙とペンを貸していただけますか。これから、ある絵を描いてみたいと思います。これが海(海面)。その上には大きな氷山が見えています。けれども、それは氷山の一角にすぎず、水面下には、その何倍もの大き部分が隠されています。それは、クラブフロント、クラブ職員、サッカースクールの子どもたち、その子どもたちのご両親、スポンサー、ファン、サポーター、メディアらを意味しています。そして、それらが水面上の部分を高く保っているのです。そして、水面の上に出ている部分はピッチでプレーする11人。ですから、私がチームをマネジメントする時には、我々にとって、ファン、サポーターが、いかに大切なのかということを選手に理解させます。そして、アビスパのロゴのように、働き蜂のようなプレーを展開することで、多くの観客が選手たちの姿に共鳴し、それをメディアの方々に取り上げていただくことで、ポジティブなエネルギーを生み出すことができます。そうやって、すべてが噛み合うことでチームは上手く回っていきます。それがさらなる力になって、選手たちが全員で攻撃し、全員で守備をするということにつながっていくのです」

Q:サッカーですからいろんなことがありますし、勝ちもあれば負けもあります。上手くいかないとき、何が大切になるのでしょうか?
「自分たちの目標と達成すべきことを、全員が十分に理解しておくことが必要です。予期しないことは必ずやってきます。そして、それはいつも驚きを伴うものです。けれど、たとえどんなことがあっても、それが、とてつもなく大きな出来事であっても、私たちは目標に向かって突き進んでいかなければいけないからです。私はいつも、『情熱とハートを持って、自分の役割を理解し、それをやり遂げ、前に向かって進まなければいけない』と話しています。それぞれが、そういう振る舞いをすることによって、お互いの信頼関係が生まれ、その結果、お互いを助け合うエネルギーが相乗効果となって現れるからです。
けれど、サッカーは非常にタフなスポーツです。時として、すべてはトップチームの成績だけによって判断されてしまうことが、ままあります。ですから、選手たちには、自分たちが氷山の一角であることを意識させて、アビスパというクラブを代表している責任感を感じてもらいたいし、みなさんの期待や希望をしっかりと感じて仕事をしたいと思っています。ただ、言うは易しで、それを実行するのは簡単なことではありませんが・・・。
いま、平均入場者数は約5000人ですが、これが平均で10000人になれば、選手の戦う気持ちは、もっと強くなるでしょう。そして、戦う気持ちが強くなることで、結果も、内容も良くなるはずです。ですから、スタジアムに足を運んでいただいた皆さんに、よりよいものを提供し、それによって、更に多くの方がスタジアムに足を運んでいただき、それがまた、選手たちの戦う気持ちを高めるという連鎖反応を起こしたいと思っています。
必勝祈願での玉串拝礼では、まずは自分が受け取ることでエネルギーをもらい、それを捧げることで私もエネルギーを生み出しました。それと同じように、クラブ内外で相乗効果を生み出して、もっと、もっと大きなポジティブなエネルギーを生み出すことができればと考えています」


オープンマインドが支えるプレー

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【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパの取材を始めたのが1999年。あれから15年が経つが、今だに初対面の選手に声をかけるのは緊張する。いい加減に慣れろと心の中で呟く自分がいるが、こればかりはどうにもならない。そんな私でも、中には、初対面の緊張感を感じずに話せる選手もいる。武田英二郎もその1人。第一印象は、オープンマインドでクレバーな選手。その思考が私の緊張感を取り除いてくれたのだと思う。

本来のポジションは左SB。「元々は安全につないで組み立てるタイプ」と自らのプレースタイルを話していたが、宮崎キャンプで見せたのは、高い位置取りからガムシャラに前へ仕掛ける姿勢。これでもかとばかりにサイドを駆け上がって、積極的に攻撃に絡んだ。「安全につなぐことは監督は求めていない。無理にでも前へ行こうとしている」とは当時の武田の言葉。「自分はあまり深く考えないタイプ。やれと言われたことをやっているだけ」とも話していたが、まずは、言われたことを先入観なしに受け入れ、求められていることを整理し、それをプレーに反映できる力こそ、武田の最大の能力なのかも知れない。

それは複数のポジションをこなすことにもつながっている。福岡では、すっかりボランチとしてのプレーが定着したが、実は、鳥取に所属していた2013シーズン後半に、ボランチの位置に入ったのがサッカー人生で初めての経験。だが、そこで新しい自分を発見する。「自分の中ですごく楽しくて、自分の新しい可能性に気づけた1年だった。鳥取には感謝している」。そして、福岡に移籍してきてからも、ポジションにこだわらずに柔軟な姿勢で準備を重ねた。「ポジションをひとつに決めずに柔軟にやっていきたい。まずは試合に出ることが今の自分には大事だし、それを求めてマリノスから出てきた。監督に求められることを表現したい」。その想いは1シーズンを通して感をることはなかった。

そして、第4節磐田戦で今シーズン初出場。プシュニク監督から与えられたポジションは3ボランチ気味の左サイドだった。福岡は高い位置からのプレスがはまらず、5分、19分と立て続けに失点を喫する苦しい立ち上がり。しかし、ここから福岡は反撃に転じる。その中心にいたのが武田。中盤を激しく動き回って磐田にプレッシャーをかけ続け、セカンドボールを拾い、そしてボールを味方につなげた。さらに持ち味である左足の正確なキックも披露。30分にはCKから、イ グァンソンのゴールをアシスト。2-3と1点のビハインドで迎えた82分には、ゴール前で得たFKを直接ゴールにつなげた。以降、ボランチの位置に定着。シーズン前、中盤の層の薄さが懸念され、中原秀人の相方を見つけきれなかった福岡だが、武田の活躍がそれを埋めた。

終盤はチーム事情で左サイドでプレーする機会も増えたが、ほぼ1年を通してボランチでプレーしたことで成長を実感する1年だったと振り返る。だが、J1昇格を逃した悔しさは強い。そして、自身が絶対に譲れないと言っていた目標にも届かなかったことへの悔しさが募る。それは、去年の成績を上回るということ。「自分が入って順位が落ちたとか、弱くなったと言われるのが一番嫌。絶対に去年を超えたい」。これは、武田がシーズン中に何度も口にした言葉だが、残念ながら、チームは昨年の勝点を下回った。

だからこそ、最終戦にかける想いは強い。
「最終戦の熊本に勝てば、最大で11位(昨年は14位)まで上がれる。チームにとっては、非常に重要な試合であることに変わりはない。まずは勝利を目指して戦う」
サイドでプレーするのか。それともボランチでプレーするのか。それはプシュニク監督の采配に委ねられている。しかし、どちらでプレーするにしても、監督に求められた役割を全うすることに変わらない。それが武田英二郎のスタイルだ。


INSIDE第19号 追加発売のお知らせ

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「福岡の町で頑張っている人たちを、福岡の町に住む私たちが応援しよう」というキャッチフレーズでお届けしている福岡発スポーツ情報誌「INSIDE」。先日、第19号をレベルファイブスタジアムで販売させていただきましたが、以下の通り、レベルファイブスタジアム特設売店にて、追加販売させていただくことになりました。11月23日はホーム最終戦です。是非、この機会に、お買い求めいただきますよう、お願いします。
 
■発売日
日時 11月23日(日)
発売場所 レベルファイブスタジアム特設売店
メイン・バックスタンドコンコース内
■内容
アビスパ福岡 となりの国のJリーガー(イ グァンソン/パク ゴン)
アビスパ福岡 20周年特別企画「紡いできた20年 築いていく20年」
アビスパ福岡 20周年特別企画「ふくやの想い アビスパへの願い」
INSIDE EYE 見果てぬ夢 パラリンピック(三原健朗)
COCA・COLA REDSPARKS オーストラリアからやって来た凄い奴
INSIDE STORY 仲間と支え、仲間と広げるアビスパの輪
INSIDE COLUMN ボウリングの奥深さに魅せられて(岡本美月)
原稿用紙6枚の思い 多くの人に支えられた5年間
ライジング福岡 我々はかく戦う(ジェームス・ダンカンHC)

なお、以下の店舗でも常時販売しておりますので、是非、お買い求めください。
【取扱店舗】
■通信販売(バックナンバー有)
http://inside.cart.fc2.com にアクセスして、ご利用ください。
レベルファイブスタジアム売店(ホームゲーム開催時)
■紀伊國屋書店
福岡本店 〒812-0012 福岡市博多区博多駅中央街2-1 博多バスターミナル6F
ゆめタウン博多店 〒812-0055 福岡市東区東浜1-1-1 ゆめタウン博多2F
久留米店 〒839-0865 久留米市新合川1-2-1 ゆめタウン久留米2F
■福岡金文堂書店
本店 〒810-0001 福岡市中央区天神2-9-110
大橋駅店 〒815-0033 福岡市南区大橋1-5-1 西鉄名店街1F
姪浜南店 〒819-0002 福岡市西区内浜1-7-3 ウエストコート姪浜内
■Fanatica
〒816-0053 福岡市博多区東平尾2-12-20-1




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