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その名は石津大介

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【中倉一志=取材・文・写真】
第19節水戸戦の84分、平井将生からのリターンパスを受けてのファーストタッチですべてが決まった。
「上手くファーストタッチが決まればゴールを決められる自信はあった」(石津大介)。
迷わず振り抜いた右足。次の瞬間、水戸のゴールネットが大きく揺れた。アビスパを4年ぶりの3連勝に導く決勝ゴールだ。しかし、派手なガッツポーズは飛び出さない。ゴールの喜びは胸元で小さく人差し指を立てただけ。平井に預けてから最後のシーンまで、すべては狙い通り。決めて当然。その表情は、そう言っているかに見えた。

続く第20節の栃木戦ではゴールを演出する側に回る。23分の先制点が始まったのは武田英二郎からの楔のパスをもらったシーンから。自分のマークを鋭いターンで振り切るとドリブルで相手をひきつけてから左サイドの高い位置にいる阿部巧へ展開。そこから貴重な先制点が生まれた。そして、試合を決定づける2点目のアシストも石津。左CKをゴール前へ送った瞬間にゴールを確信する狙い通りの形だった。

「今までは自分で精一杯だったが、周りに気配り出来るように、そしてチームを引っ張って行けるように、少しずつ意識してやっていこうと思う」
シーズン開始前、石津はそう話していた。目標は昨シーズンを上回る15得点。持ち味である仕掛ける姿勢を武器にゴールを目指している。そして「自分の最大の強み」と話す相手の間に入り込んでボールを引き出すプレーで、いくつものゴールも演出。ここまで自身が挙げた6得点を含め、得点の起点になるプレー、アシストを含めて、チーム総得点の3分の1を超える11得点に絡んでいる。

本人が望むもうひとつの目標は、先発フル出場と、90分間に渡って質が変わらないプレーを披露すること。戦術上の理由から、プシュニク監督はFWの選手をフル出場させることは少ないが、それでも、前年同時期で1試合しかなかった先発フル出場は7試合に増えた。しかし、それ以上に、20試合すべてに出場している事実が信頼の高さを示す。石津の他に20試合すべてに出場しているのは堤俊輔しかいない。

そして、4年ぶりの4連勝を記録したことについて次のように話す。
「1戦、1戦集中して戦っているので4連勝したという実感はない。それよりも、上位チームと対戦して、たとえば0-1のビハインドになった時に自分たちがどうやれるかが大事。やられないに越したことはないが、やられた時に、どのようにして2点を取り戻すのか、そこで真の力が試されることになる。そういう意味では、次節の松本戦は楽しみ。連勝記録をどこまで伸ばせるか挑戦したい」

次節の戦いの場所は完全アウェイとなる松本平広域公園総合球技場(通称アルウィン)。その中で、石津はいつものように輝きを放ってくれるはずだ。


兆しから変化へ

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【中倉一志=取材・文・写真】
サッカーとはつくづく面白いものだ。自分たちのサッカーが思うように表現できない。戦い方に波があり、前後半で別のチームになっしまったかのような試合を繰り返す。それがリーグ序盤戦の福岡の課題だった。そんな中で、マリヤン・プシュニク監督が施したのは、最終ラインを4枚から3枚にすること。ただそれだけでチームは劇的に変わった。3バックで戦った試合は4勝2分1敗。4バックで戦った時の成績は5勝3分5敗。その差は歴然としている。

戦い方そのものを変えたわけではない。ベースとなるのは豊富な運動量とハードワーク。すべては高い位置からのプレッシングで始まり、ボールを奪うと「守」から「攻」に素早く切り替えてシンプルにゴールを目指す。ロングボールを多用せず、グラウンダーのパスをつなぐことが基本で、サイドアタックを中心にして得点を狙う。最終ラインを高く保って陣形をコンパクトにすることも、両サイドを高い位置に押し上げてることも同じ。あらゆることが、プシュニク監督就任以来、何も変わっていない。

しかし、最終ラインを3枚にするだけで、いままではまらなかった高い位置からのプレスが面白いように機能するようになり、弱点だったアンカーの両脇と、高い位置取りをする両サイドバックの背後のスペースをカバーできるようになった。では、なぜ、それほどまでにチームが変わったのか。その理由を中原秀人は次のように話している。
「3バックにしてやり方を変えたから良くなったということではない。変わったのは、個々の役割が明確になったということで、チームとしてやることは何も変わっていない。今まで積み重ねてきたものが、3バックに変えたことでマッチしたということ」

縦100メートル、横64メートルのフィールドを11人で守り、そして攻めるサッカーでは、いくら個人技に優れていても、11人の連携なくしては何も始まらない。それぞれが自己の役割を確実にこなし、それが点ではなく線として繋がることで、はじめてチームが成り立つ。逆に言えば、どこかに小さな綻びがあれば、チームは持てるポテンシャルを発揮することはなく、小さなズレは水面の波紋のように大きくなっていき、やがてチーム全体に影響を及ぼすことになる。

福岡の変化は、何か新しいものを導入したことで生まれたものではない。今まで持っていなかった能力を身につけたことで生まれたものでもない。小さな綻びを繕うことで全員の役割がつながり、本来持っているポテンシャルを余すことなく発揮できるようになったことで生まれたものだ。そして、それを可能にしたのは、プシュニク監督就任以来、ぶれることなく追い求めてきたチームスタイルと、それを可能にするための継続的なトレーニングにあることは間違いないだろう。

福岡が見せてきた変化の兆しは、いま変化に変わり、進むべき方向が明確に見えてきた。あとは、どんなことがあっても自分たちを見失わずに突き進むだけだ。「この6か月間で学んだことをしっかりと心に刻まなければならない」(プシュニク監督)。それが福岡のさらなる変化を生む原動力になっていく。


スポーツ情報誌「INSIDE」第17号 発売のお知らせ

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「福岡の町で頑張っている人たちを、福岡の町に住む私たちが応援しよう」をキャッチフレーズにするスポーツ情報誌「INSIDE」第17号を、レベルファイブスタジアムで発売します。今回も、アビスパ福岡の情報を中心に様々な福岡のスポーツ情報をお届けします。詳細は以下の通り。是非、この機会にお買い求めください。

発売日 6月28日(土)
発売場所 レベルファイブスタジアム
価 格 >350円(24P フルカラー)

【内容】
アビスパ福岡 インタビュー「夢見た場所で(石津大介)」
アビスパ福岡 20周年特別企画「僕たちのAVISPA」
アビスパ福岡 コラム「ピッチの上に未来が見える」
INSIDE COLUMN 新たな場所で/田頭陽子
リトルなでしこの星/杉田妃和
INSIDE EYE Special Olympics スポーツの力で触れ合う心
INSIDE STORY 支える人たち「一番高い場所で輝いてほしい(糸山貴美子)」
ライジング福岡 インタビュー「ストーリーはまだ終わらない(仲西淳)」
ライジング福岡 コラム「逆境からの生還」

【取扱店舗】
■通信販売(バックナンバー有)
http://inside.cart.fc2.com にアクセスして、ご利用ください。
レベルファイブスタジアム売店(ホームゲーム開催時)
■紀伊國屋書店
福岡本店 〒812-0012 福岡市博多区博多駅中央街2-1 博多バスターミナル6F
ゆめタウン博多店 〒812-0055 福岡市東区東浜1-1-1 ゆめタウン博多2F
久留米店 〒839-0865 久留米市新合川1-2-1 ゆめタウン久留米2F
■福岡金文堂書店
本店 〒810-0001 福岡市中央区天神2-9-110
大橋駅店 〒815-0033 福岡市南区大橋1-5-1 西鉄名店街1F
姪浜南店 〒819-0002 福岡市西区内浜1-7-3 ウエストコート姪浜内
■Fanatica
〒816-0053 福岡市博多区東平尾2-12-20-1


充実の毎日(武田 英二郎)


【中倉一志=取材・構成・写真】
内容 練習終了後の共同囲み会見
日時 2014年6月19日(木)
場所 雁の巣球技場

◎武田英二郎選手;
Q:出場停止の試合でチームが結果を出して危機感があるとおっしゃっていましたが、そういう意味では、東京V戦は自分に結果が付いたのは大きかったのではないですか?
「インプレーの中からのアシストなり、点なりが、自分としては一番だと思っていますけれども、結果としてCKから3点入ったので、はい。その前の試合にチームが勝ったのに、それでも自分を出してくれたという意味では、もっとやらなくてはいけないことがたくさんありますし、その覚悟と責任を持ってプレーしていました」

Q:プシュニク監督になってから3連勝がありません。ここで山をひとつ越えるためには、水戸戦は非常に重要だと思います。
「開幕直後に連勝した時よりも、しっかりと内容で勝っている気がしますし、たまたまの勝ちでもないと思っています。3バックにして後ろが安定したので、いきなり連続無失点ですし、今まで3バックの試合で崩れたこともありませんから、確実に結果が表れていると思います。東京Vの試合もセットプレーが入ったから良かったという見方もあるかも知れませんが、結果が5-0なので、それは前向きに捉えていきたいと思います。そういう意味では、やることははっきりしてきていると思います。水戸戦でも、やることをぶらさずに、みんなで同じことを考えてやれば勝てると思っています。」

Q:シーズンに入る前に、とにかく試合に出ることが大切と仰っていましたが、いまは中心的な役割を担ってプレーしています。ご自身の状況を、どのように感じていますか?
「最初の3試合はまるまる出られずに、その後、ジュビロ戦や、讃岐戦で少しずつチャンスを与えてもらって、いまは何試合か連続で出してもらっていますけれども、自分がいま出ている理由は、前線からボールを追ったり、プレスをかけたりしているからで、ボールをこねたり、『おれ、できるぞ』みたいな軽いプレーをしたりして、自分を見失ったりしたらいけないと思っています。試合出ていない選手にもいい選手はいっぱいいるので、いまは出してもらっていますけれど、危機感は常にあります。ですから、とにかく足がつってもいいので、ボールを追って、チームのためにということを考えてやっています。いまは、自分の頑張りがチームの力になっているから試合に出してもらっていると思いますが、自分のプレーが評価されて試合に出させてもらっているというのは嬉しいことですし、充実はしています。でも、もっと上手くならないといけないと思うし、もっと得点に絡んでいけるような選手にならないといけないと思っています。そうした課題は練習の中で解決できるし、中盤の真中でのプレーは学ぶことの方が全然多いので、そういう意味では、「伸びシロ」は他の人よりもあるとも思っています。練習の中で人のプレーを見たり、盗んだり、楽しみながらやっています」


まだ十分ではない(プシュニク監督)


【中倉一志=取材・構成・写真】
内容 練習終了後の共同囲み会見
日時 2014年6月19日(木)
場所 雁の巣球技場

◎マリヤン・プシュニク監督;
Q:安定した戦いが続いています。チームに力が付いたとお考えですか?それとも、まだ一過性のものとお考えでしょうか?
「水戸戦の後にでも、もう一度吟味してみましょうか?まあ、ここ3試合は、札幌、千葉、東京と、いいチームとの対戦でしたが、それらのチームに対して我々はいいゲームをしました。ですから、いま仰った通り、力は付いてきていると思います。でも、まだ十分ではありません。意識、戦う気持ちは常に高いレベルでキープしておく必要があり、そのためには、選手1人、1人が責任を持って自分の仕事に取り組んでいかなければなりません。もちろん、我々の選手は、そうした意識を持っていますが、より高めていかなければいけないということです。そうすることによって、チームの意識はさらに高まり、それがチームとしてのパワーアップにつながっていくからです。ただ、そうした意識は、自分自身が自覚して取り組まない限り変わるものではありません。もちろん、そのようにしていくことは私の仕事で、私の責任でもありますが、全員が同じ意識を持って取り組んでいかなければならない課題です」

Q:シーズン当初は層が薄いのではないかという印象がありましたが、ここへ来て、武田、金森、三島らが機能していることでチームを支えているように思います。
「私の仕事のひとつは、選手たちが成長し、しっかりとプレーできるようになるために導くことにあります。なぜかと言えば、リーグ戦は長い戦いで、怪我や、累積警告、出場停止などによる選手の欠場は避けられないからです。実際、この直近の10試合でもあったように、いろんな状況が生まれるのがリーグ戦で、それを13~14人の選手で戦っていくことはできません。ですから、チーム全体で戦っていくように意識していかなければならないのです」

Q:ケーズデンキスタジアムは芝の状態があまり良くありません。ボールを大事にするスタイルを貫く意識が大事なのか、それとも、ピッチコンディションに合わせた戦い方をする方が大事なのか、どちらだとお考えでしょうか?
「まず言えることは、ピッチの状態は互いとって同条件だということです。ですから、我々は自分たちが目指すサッカーをしていきたいと思います。もちろん、実際にピッチに立ち、その状態を確かめ、それに対応しなければいけない部分はあります。けれど、状況に応じて多少のアレンジが必要だからと言って、我々が、今までにやっていないことをすることはできませんし、いつもやっていることをやらないということはありません」

Q:水戸は空中戦が強くて、球際でファイトしてきて、走ってくるチームという印象があります。監督はどのように見ていらっしゃいますか?
「水戸は典型的な4-4-2のチームで、アグレッシブですし、前線には空中戦に強い三島がいます。また、キムや新里はCBとして強い選手ですし、中盤には、馬場のようにJ1から移籍してきた質の高い選手がいます」

Q:水戸はセットプレーの守備に強いチームですが、東京V戦のように、しっかりとした動きをすればゴールが取れる自信が監督にはありますか?
「私がですか?私はプレーしません。私は自分自身の仕事には自信はありますが、セットプレーに関しては選手に聞いてみてください。私が直接クロスを上げるのであれば話は別ですが、神野さんは私を登録する気がありませんからね。まあ、結果に結び付けられるかどうかは選手次第だと思います。自信を持ってプレーすることが大切です。東京V戦でのセットプレーは素晴らしいものでしたから、おそらく自信は持っているだろうと私は思っています。必ず決められるという保証はありませんが、我々がしっかりとした動きをすれば、得点は取れるのではないかと思っています」



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