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【なでしこ短信】なでしこリーグ2014開幕!

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金子悟=文・写真

 29日、プレナスなでしこリーグ2014が開幕した。

 昨シーズン無冠に終わった日テレ・ベレーザは、2年振りになでしこリーグに復帰したASエルフェン埼玉と開幕戦で対戦。日テレは、FW籾木の2ゴールなど若手の活躍もあり、5-1で危なげなく開幕戦に勝利した。

 日テレの攻撃に勢いをもたらしたのは、守備陣の安定感だろう。特にDF岩清水は、くさびを受ける相手FWに厳しく間合いを詰め、奪ったボールを自ら前線に送るなど奮闘。前線、中盤とともに自分たちからアクションするサッカーを見せた。

 理想的の勝ち方で開幕戦白星スタートを切った日テレ。女王奪還へ向け仕上がりは上々だ。

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J2第5節 福岡vs.横浜FCプレビュー


【中倉一志=取材・文・写真】
2014Jリーグ ディビジョン2 第5節 アビスパ福岡vs横浜FC
3月30日(日)13:00キックオフ(レベルファイブスタジアム)

今季負けなしの横浜FCを迎える1戦
京都、磐田相手に1勝1分。熊本、愛媛相手に1分1敗。手応えを感じながらも、いい内容の試合と、そうでない試合を繰り返す福岡にとっては、現在無敗の横浜FCを迎える1戦は真価を問われる試合になる。課題とされているのは、どんな相手にも、どんな状態でも、自分たちの目指すサッカーをコンスタントに披露できるかどうか。まだ序盤戦とは言え、横浜FCとの対戦は、これからのリーグ戦を戦っていく上で大きなターニングポイントになりうる試合だと言える。

さて、横浜FCはここまで2勝2分で4戦無敗。富山、山形に2連勝を飾ってレベルファイブスタジアムに乗り込んで来る。志向するサッカーはパスをつないで相手を崩すサッカー。ラインを高くしてコンパクトに保った4-2-3-1の布陣から、寺田紳一が中央へポジションを移してゲームを作り、寺田が移動して空けたスペースには右SBの市村篤司が上がってきて攻撃の起点を作る。そして、トップ下の野崎陽介、左サイドに構える小野瀬康介が2列目からダイアゴナルランで裏のスペースを狙い、そこへさらにボランチの松下年宏が加わる攻撃は分厚い。

過去2試合では富山とは互角の戦い、山形には主導権を握られる試合だったが、それでも少ないチャンスをものにして勝利を手にする勝負強さも見逃せない。また、前節の山形戦では、攻撃のサポート役として欠かせない戦力である松下を怪我のために試合途中で欠くことになったが、代わりにピッチに登場した黒津勝が2得点に絡む活躍を見せるなど、層の厚さも横浜Cの強みだ。反面、試合への入り方が良くないことや、相手のプレッシャーに対して窮屈になることが多いことなど、福岡が付け込む隙も十分にある。

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 第4節スタート時の布陣
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 第4節松下交代後の布陣
いかにしてハイプレスを機能させるか
福岡にとっての勝利の鍵は、高い位置からプレッシャーをかけられるかどうかの1点に尽きる。4試合を振り返れば、ボールをポゼッションしようとする相手に対しては、福岡のプレースタイルが非常に機能する傾向にあるが、横浜FCのパスサッカーには京都や磐田までのこだわりはなく、福岡対策としてロングボールを蹴ってくる可能性はある。その駆け引きの中で、どのように対応して自分たちのプレッシングサッカーを機能させるのか。そこが勝負の分かれ目になる。

また、互いの特長を考えれば、両SBの裏をどちらが制するかも大きなポイントだろう。福岡にとっては左サイドの攻防。横浜FCにとっては右サイドの攻防。ここがひとつの鍵になりそうだ。それでも福岡は前に出ることで主導権を握りたい。福岡の特長からすれば、後ろ髪を引かれるようなプレーでは攻撃の特長が失われ、結果としてバランスを崩して自分たちのサッカーを見失いかねない。CBとボランチで両サイドをケアしながら、2列目の選手を前へ押し出すことが必要。リスクを怖がらずに上手く付き合いたい。怖がって下がってしまえば横浜の術中にはまる。

そして、福岡が最もケアしなければいけないのは寺田だろう。豊富な運動量を誇る野崎、高さと強さ、そして足元の上手さを兼ね備えるパク ソンホの存在等、横浜FCの攻撃陣には厄介な選手がいるが、そこへの供給源を担うのが寺田。攻撃の大部分は寺田がボールを触るところから始まっており、ここを抑えることで横浜FCの攻撃力は半減し、それが守備の負担減にもつながる。

イ グァンソンvsパク ソンホ
プノセバッチvsドウグラス

そして、もうひとつの見所がイ グァンソンとパク ソンホ、プノセバッチとドウグラスのマッチアップだ。ともに高さを武器にする者同士の1対1の競り合いは、攻守両面に渡り、そしてセットプレーの攻防でも、その行方を大きく左右することになる。守備の観点から言えば数的優位を作ることが大原則だが、フィジカルとフィジカルがぶつかり合う1対1の局面で後れをとれば連携だけでは守りきれない。また、制空権を奪い、あるいは高い位置でボールを収めることは攻撃権を制することを意味する。絶対に負けられないマッチアップだ。

いずれにせよ、横浜FCとの試合は簡単ではないことだけは確かだ。90分間の中には、それぞれの時間帯があり、それぞれにチャンスとピンチがある。そういう中で如何に勝負所を耐え、勝負所を活かすか。福岡にとっては長年の課題となっているメンタル面での課題が試される試合にもなる。「あくまでも自分の感覚だが、昨年と比較して苦しい時間帯に得点を奪えるようになっている感触がある」と話すのは石津大介。そのメンタル面での成長をレベルファイブスタジアムのファン、サポーター、そして観客の前で見せてくれることを期待したい。

J2第3節 福岡vs.愛媛レポート

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【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパ福岡は16日、レベルファイブスタジアムで愛媛FCと対戦。開始早々から軽快な動きを見せる福岡は7分、プノセバッチのプレスから始まる流れるような攻撃で先制したが、その直後からトーンダウン。22分に同点ゴールを許すと、以降は試合の主導権を愛媛に許した。最終スコアは1-1のドローに終わったが、愛媛に一方的に試合をコントロールされた後味の悪い内容になった。福岡は次節(3月22日 19:00キックオフ)、アウェイ・ヤマハスタジアムでジュビロ磐田と対戦する。

ふたつの顔を見せた福岡
立ち上がりから10分、福岡は面白いように自分たちのサッカーを披露した。高い位置からのアグレッシブなプレス。奪ってからの素早い攻撃。「アビスパカラーを見せることができた」とは、前節の戦い方を評したプシュニク監督の言葉だが、そのサッカーは、まさしく福岡が求めるサッカーだった。2分には、ミドルレンジから放った阿部巧のシュートがポストを叩き、7分には、細かいパスワークとニアサイドへの鋭いクロスで決定機を演出。そして7分、その勢いのままに先制ゴールを奪った。

ゴールの形は福岡の狙い通りの展開から。愛媛CB林堂眞にボールが入ると、そこへプノセバッチが鋭くプレス。その動きに連動して素早くフォローした石津大介がボールを奪ったところで勝負あり。最後はゴール前に詰めた城後寿が右足で押し込んだ。ここまでは、攻守に渡って完全に福岡の形。京都戦で得た自信が感じられる時間帯だった。

ところが、このゴールを機会に流れが変わる。1点ビハインドの愛媛が前に出て来たこともあるが、福岡は高い位置からプレスが掛からず、奪ったボールも前へつなげず、簡単にボールを失うシーンが増えていく。15分以降は愛媛のペース。22分には右サイドを簡単に崩されて同点に追い付かれた。そして、愛媛が完全に試合を支配。組織化された守備をベースにカウンターを仕掛ける愛媛が、福岡を完全にはめ込んだ。結果はドローだったが、自由自在に自分たちのサッカーを披露した愛媛と、15分以降は全くと言っていいほど自分たちのサッカーを表現できなかった福岡。終了後の表情は勝者と敗者程の違いがあった。

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 福岡(4-1-2-3)
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 愛媛(3-4-2-1)
福岡に何が起こったのか?
リズムがおかしくなった原因は、失点直後、この試合最初の勝負所を抑えきれなかったことにある。この時間帯、愛媛は前への意識を強くして高い位置からプレスをかけ、局面で激しい守備を仕掛けて来た。互いに激しく応酬し合う時間が続いたが、この争いで福岡は後手を踏んだ。長いボールが増え始め、高い位置からのプレスが効かなくなる。自由を得た愛媛は中盤のスペースを使ってボールをつなぎ、福岡を寄せておいてから、三島勇太の後ろのスペースへボールを送ってショートカウンターを仕掛ける。22分の同点ゴールは、その形から。これで完全に福岡のリズムが崩れた。

「先制点を取った後もプレスをかけたかったが、逆に自分たちが足を止めてしまう時間が増えてしまった。ボールを回す距離や、パススピードという点で、1人、1人がメリハリのないプレーになってしまい、自分たちでリズムを悪くしてしまった感じ」(堤俊輔)
足が止まった福岡はボールをつなげず、簡単に失い、カウンターを喰らうというシーンを繰り返す。

後半の頭から平井を投入し、攻撃の活性化を図った福岡だったが、今度は自陣に守備ブロックを敷いて福岡を待ち構える愛媛を崩せず、不用意に仕掛けて、相手に引っ掛かり、攻め返されることを繰り返す。そして、最後までリズムを取り戻せないまま試合を終えた。
「中々上手くいかず、みんなどうしていいのか分からないという部分が多かったと思う」(中原秀人)
個で仕掛けて愛媛を慌てさせる場面も作ったが、それがチームとして徹底されることもなかった。

J1昇格争いは勝者のメンタリティを得る戦い
どんなチームでも、強みと弱みは同居している。その中で、相手の強みを消し、自分たちの強みを発揮するための駆け引きが行われる。そして、互いの陣地を奪い合うサッカーでは、必ず相手の時間帯がある。そういう中では、勝負所で後手を踏まないメンタルの強さに加え、上手くいかない時に耐える力、自分たちの良さを消された時でも、臨機応変に対応して自分たちの良さを表現できる懐の広さが求められる。それをどうやって手に入れるか。それが今シーズンの福岡にとっての最大の課題であると言える。その壁を乗り越えるための戦いは続く。


愛媛戦を終えて(中原秀人)

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【中倉一志=取材・構成・写真】
内容 練習終了後の個別取材
日時 2014年3月17日(月)
場所 雁の巣球技場

Q:決して悪い入り方ではなかったと思いますが、何が悪かったのでしょうか?
「立ち上がりは良かったと思います。試合中は右サイドの勇太のケアをしろと言われていましたが、どのようにして上手くケアすればいいのか整理できていなかったというか、そういう部分はありました。失点部分に、自分のポジショニングが直接つながったかどうかは、まだ映像を見ていないので何とも言えませんが、いずれにせよ、あと2、3回はやられてもおかしくなかったので、そこは、もう少し修正すべきだったと思います」

Q:個々に要因はあったと思いますが、チームとして上手くやれていなかったように感じました。
「京都の時にいい感じでやれていたのに、愛媛戦では、プレーしている最中に、その感触がなく、それは、それぞれの選手が思っていたと思いますが、何ともちぐはぐな感じで前半が進んでいってしまいました。去年のアビスパを見た時に、引いた相手を崩せていないというのは相手の分析にもあったと思いますし、そういったところが相手は上手くはまって、いいショートカウンターという意味でも、前後半に渡って相手の方かはまっていました。ちょっと難しかったですけれど、それでも勝点が取れたということについて良かったと思います」

Q:愛媛戦を終えて、これからどうするかが大切だと思います。
「京都相手に、あれだけやれていたという部分で自信になったところは、もちろんあります。その一方で、アビスパに対して分析してくるチームが増えてくると思います。例えば、愛媛戦のようにブロックを作られたり、あるいは違ったやり方でアビスパに向かって来た時に、どうするのか。練習は監督からの指示を受けてやるものですし、プレーの指示も監督から出ると思うんですけれども、いざ試合になった時には、やはり、ピッチの中の選手が判断しなければいけないことは多々あります。
愛媛戦は、中々上手くいかないから、みんなどうしていいのか分からないという部分が多かったと思います。そういう時は、ついつい流してしまいがちなものですが、そういう時だからこそ『こういう時はこうしよう』というように、DFラインだったり、近いポジションの選手同士で話す必要があると思いますし、昨日(愛媛戦)も、もっと話せれば上手く行っていたかなと思います。相手がジュビロだったり、実力的に上のチームだったら、相手も自分たちのやり方でやってくると思うんですけれども、自分たちと同じくらいや、順位が下のチームは、分析をもとに、それに合わせてくるチームが多いと思うので、そういうところを気を付けてやっていきたいです」

Q:チームは積み重ねですし、そういうことが出来るようになることが、今年のアビスパの一番の課題のように思います。
「去年は、内容も結果も伴わないことが多かったですし、先を見据えた上では、この勝点1は意味があると思います。去年のチームなら、もしかしたら負けていたかも知れません。そういった意味では、去年から積み重なっている部分は必ずあると自分は思うので、一喜一憂せずに、切り替える部分は切り替えて、しっかりと見つめ直すところは見つめ直して、自分も、チームも、整理しながらやっていけば、絶対に良くなると思っています」


京都戦の勝利が意味するもの


【中倉一志=取材・文・写真】
福岡市内の最高気温は20度。穏やかな空気が雁の巣球技場を包みこむ。けれど、それは何も気候だけの影響ではない。京都戦の勝利がチームに落ち着きを与えているのは間違いない。いつもなら、大きな声で選手たちに檄を飛ばすマリヤン・プシュニク監督も、穏やかな表情でトレーニングに臨む選手たちの姿を見つめている。決して緊張感が緩んでいるわけではない。リラックスした空気と緊張感が程良く混じった空気。チームの状態が良くなっていることを窺わせる。

アビスパを取材するようになってから16年目、雁の巣球技場に毎日通うようになってから11年目を迎えるが、勝負の世界に身を置く者にとっては、何よりも結果が大事なのだなと改めて実感する。もちろん、9カ月に渡って繰り広げられるリーグ戦のすべてに勝利できるわけではない。どんなチームでも勝つ時もあれば、敗れる時もある。しかし、チームをいい状態に保つには結果が必要。どんなにいい内容の試合を続けても、結果が出なければ自信にはならない。「勝点3は最大の良薬」とは、けだし名言だ。

ただ、雁の巣球技場の雰囲気が変わったのは、単に強豪相手に勝利したという理由だけではないだろう。試合後のミックスゾーンで、あるいは、それ以降の練習で、選手たちがそれぞれ口にしているように、京都戦は、自分たちの現状と正面から向き合い、細部に渡ってどのようにすればいいのかを話し合い、何をすべきかを整理して、徹底して意思統一を図って臨んだ1戦。「自分たちが共通意識を持って戦えば、いい試合ができると感じた試合」。試合後のミックスゾーンで発した城後寿の言葉は非常に意味深い。

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 金森のコンディションも上がってきた
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 作戦ボードを見ながら話し合う
サッカーを知っている者なら、あるいは団体競技をしている者、さらに言えば組織として仕事をしているサラリーマンにでも、共通意識を持つことが大事だというのは当り前のことかも知れない。しかし、知っていることと理解することは違う。理解することと実行することも別の問題。そして彼らは、京都戦へ向けての準備、京都戦でのパフォーマンス、そして京都戦での結果を通して、その言葉を昇華させた。「頭の中を変えるのは簡単なことではない」とはプシュニク監督が口癖のように使う言葉だが、京都戦は彼らの心の中に変化を与える試合になった。

物事は一歩ずつ。この勝利ですべてが解決したわけではない。しかし、戦いながら、少しずつ、少しずつ、変化を遂げて来た選手たちは、またひとつ、次に向けての変化を手に入れたことは間違いない。そして、J1昇格争いとは、技術、戦術だけを争っているのではなく、サッカーの捉え方、サッカーに対する考え方、勝負に対する姿勢を争うもの。それは「勝者のメンタリティ」を手に入れる戦いでもある。そういう意味で、京都戦は今までとは違う一歩を踏み出した試合になった。その一歩が、どのような次なる変化をもたらすのか。簡単にいかないことは分かっているが、チームとともに歩くことが、また、楽しくなってきた。



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