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アビスパ福岡シーズンプレビュー No.2


【中倉一志=取材・文・写真】
マリヤン・プシュニクがメンバーを固定しないのは、アビスパサポーターなら誰もが知るところ。昨シーズンは、紅白戦や戦術練習では、1年間を通して毎日のようにメンバーを変えた。それどころか、紅白戦のメンバーで試合に臨むことはほとんどなく、選手たちは「直前にならなければ誰が試合に出るか分からない」と口にしていたが、それがチームのモチベーションを高く維持する要因のひとつになっていた。
しかしながら、今シーズンは若干、傾向が異なる。もちろん、メンバーを入れ替えながら競争させているのだが、ベンチ入りの18人という枠で見ると、ある程度、固定したメンバーで準備をしていることが窺える。方針が変わったと言うよりも、チーム人件費の関係で選手層が薄くなってしまったことが影響しているのだろう。

「4-4-2」「4-1-2-3」「4-3-2-1」?
現時点で基本となるメンバーは、昨シーズン最終戦でプレーしたメンバーに、新加入の森村昂太、平井将生、イ グァンソン、阿部巧、武田英二郎らを加えたメンバー。そこへ、光永祐也、牛之濵拓らが絡んで来るものと思われる。もちろん、競争の中でチームのレベルアップを図りたいプシュニク監督には、いつでも選手を入れ替える用意があるだろうが、個々の選手たちの力を比べれば、現段階では大きく変動することはないように見える。選手人件費については、昨年と同水準を維持しているとはいえ、ある程度戦えるメンバーで先発を揃えれば、他へ回す余裕がないのも事実。それでも、経営危機からの脱出が最優先のクラブにあっては、いま置かれている中でやりくりするしかない。

さて、新しいメンバーが加わった中で、どのような布陣で臨むかは興味あるところだが、これまでのトレーニングでは、昨年と同様の4-1-2-3、1トップの下にシャドーを置いた4-3-2-1、そして前線を2枚にした4-4-2をそれぞれ試している。

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 2トップの場合の予想布陣
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 1トップにした予想布陣

しかしながら、「サッカーをプレーするのはポジションではない。プレーするのは選手だ」とプシュニク監督が口にするように、どの布陣を採用するにしても、それは大きな問題ではないようにも思える。なぜなら、最終ラインとアンカーを除いた5人は、ポジションに囚われずに、自由にポジションチェンジをするのがプシュニク監督が志向するサッカーだからだ。実際、これまでのトレーニングマッチでも、リスタート時に布陣は確認できるものの、ボールが動き出せば、どういう布陣でプレーしているのか判別するのは、かなり困難だ。

ポイントとなるのは、いかにして平井をゴールに近いところでプレーさせるかということだろう。だが、得点力アップを期待されてアビスパ福岡に加わった平井とて、プシュニク監督のもとでは、他の選手同様に「前線からの守備」の役割が与えられており、ゴールだけに専念できる立場にはない。さらに、前線からボールを追えば、必然的にゴールから遠ざかってしまうという現実がある。そこに、どうやって折り合いをつけてゴール前に顔を出させるのか。そういった観点から見た場合、プシュニク監督がどんな選択をするのか興味深い。

注目されるプシュニク監督の采配
プシュニク監督が、どんな布陣を選択するのかということに加え、今シーズンは、試合中の采配でも大きな注目を浴びることになりそうだ。プシュニク監督の志向するサッカーは、すべてがアグレッシブなプレスを前提として組み立てられているため、プレスが緩めばチームとして機能しなくなる。そのため、選手は常に100%のパワーでボールを追うことが求められており、当然のように、フィジカル的に厳しくなったところで交代する。

余談になるが、昨シーズン、プシュニク監督がアビスパ福岡の監督に就任する際、当時から経営難に陥っていたフロントは、経費節減のために、遠征へ帯同する選手の数を16人にすることを提案したが、プシュニク監督は「運動量の激しい私のサッカーではフィジカル面の問題で交代枠をフル活用できなければ戦えない」と提案を拒否。他の付帯条件を削ってまで18人での遠征を主張したという。

ところが、選手層の薄いチームでは、あるポジションの選手が動けなくなったら、同一ポジションの選手を投入するという図式が成り立たない。特に選手層が極端に薄い中盤の選手交代に大きな問題を抱えている。したがって、1人の選手を交代させるために、複数のポジションをいじらなければいけない状況が生まれる。
例えば、森村を交代させようとした場合には、中原のポジションを1枚上げて、アンカーの位置にパク ゴンを投入する。あるいは、城後を森村の位置に動かし、三島のポジションをSHへ変更。そしてオ チャンヒョンを右SBに送り込むといった具合だ。

今シーズンは、こうした状況が開幕戦から始まる。しかも毎試合、それも3人分必要になる。まず、誰を、どんな観点からベンチに座らせるのかという決断。次に、どのポジションの選手を、どのように動かして、どのように試合のリズムを掴むのかという決断。はたして、プシュニク監督は、どのような決断を下すか。注目してみたい。

(続く)


アビスパ福岡シーズンプレビュー No.1

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【中倉一志=取材・文・写真】
アビスパ福岡は3月2日、うまかな・よかなスタジアムに乗り込んで、2014シーズンをスタートさせる。新しい戦力との融合はできたのか。目指すサッカーのベースは築けたのか。仕上がり具合はどの程度なのか。戦いの前に期待と不安が入り混じるのはいつものこと。開幕を1週間後に控えた23、24の両日に非公開で行われたトレーニングマッチの結果と内容も気になるところだ。それでも、この時期は期待が不安を上回るもの。約3カ月ぶりに帰ってくるサッカーの日常に、胸は期待で膨らみ、新しくなったチームが、どのような姿で現れるのだろうかと、はやる気持ちは抑えられない。
そこで、開幕までの短い期間を使って、今シーズンのアビスパ福岡が、どんな方向へ進もうとしているのか、これまでのトレーニングを振り返ることで紐解いてみたい。

基本的な戦いに変わりはない
マリヤン・プシュニク監督が率いる2年目のシーズン。基本的な戦い方に変わりはない。雁の巣球技場や、宮崎キャンプのトレーニングで「アグレッシブ、フォワード、スピード」が強調されていたのも昨シーズンと同じ光景だ。

それでも、1年かけて築いてきたベースがある今シーズンと、まったくの0からのスタートだった昨シーズンとの間には当然のように違いはある。昨シーズンは、どのようにしてプレスをかけるのかというトレーニングが、何度も、何度も繰り返され、前からのプレスを徹底させることに最も重点が置かれていたが、ここまでのトレーニングで徹底されてきたのは奪ってから先の部分。いわゆるラストサードをどうやって崩すかという点に多くの時間が割かれてきた。それに伴い、ラストサードの部分では、仕掛けるためにボールを保持することに対して、昨シーズンほど厳しく指摘しなくなった印象もある。

攻撃面で強調されていたのはふたつ。ひとつはゴールに向かって最短距離で仕掛けること。もうひとつは、前線の選手の縦のポジションチェンジだ。さらに言えば、最短距離で攻め上がれば当然のように両サイドにスペースが生まれてくるが、そのスペースを3人目の選手が使うことも求められてきた。前後左右にポジションチェンジを繰り返しながら攻めるスタイルは、見ている側にとっては、誰が、どこのポジションなのか分からないほど。次から、次へと選手がゴール前に現れるダイナミックな動きは。見ているだけで楽しい。選手たちも「上手く噛み合えば面白いサッカーができる」と話している。

当然のように求められる運動量は去年の比ではなく、さすがに90分間を通してやり続けられるとは思えないが、意識付けさせる時は極端に徹底するのがプシュニク監督のやり方。いまはまだ慌ただしく感じられる場面もあるが、それは、トレーニングを積み、試合を重ねていく中で解消されていくだろう。まずは、熊本との今シーズン開幕戦で、どの程度、その姿を見せられるのかに注目したい。

「やらせない」それがアビスパの守備
一方、昨シーズン中盤からバランスが崩れた守備は、シーズンの最後まで不用意な形や、終了間際で失点することを繰り返してきたが、残念ながら、その傾向は依然として続いているようだ。鹿島アントラーズとのプレシーズンマッチをはじめ、トレーニングマッチの多くで、失点する必要がないシーンで、自らのミスや、集中力を欠いて失点するシーンが見られた。もちろん、ミスや集中力を欠くのは個人の問題であり、1人、1人が自覚と責任を持って対応するのが原則だが、ミスをチームとしてカバーできないのは気になるところだ。サッカーはミスが前提のスポーツ。ミスは少ないに越したことはないが、必ず起こるミスを全体でカバーできなければ失点は減らない。技術と言うよりも、意識の問題。開幕までに、どこまで修正できるかは気になるところだ。

ただし、鹿島とのプレマッチ後の記者会見で「我々のフィロソフィは、1失点、2失点してもかまわないので3得点するということ」とプシュニク監督が話したように、後ろに構えて、あるいはブロックを作ってスペースを消すという守備は、プシュニク監督の目指すところではないだろう。もちろん、実際の試合では、相手との力関係や、試合の流れの中で微修正しながら対応することになるのだが、攻守に渡ってアグレッシブに戦うのがプシュニク監督のサッカーの基本中の基本。その考え方の大前提には、スペースを突かれるのを防ぐのではなく、プレスをかけて相手のプレーを制限し、スペースにボールを送らせないことにある。それがプシュニク監督のやり方であり、そういう観点から、アビスパと相手の守備の違いに注目してみるのも面白いかも知れない。

もっともサッカーは、野球やアメリカンフットボールのように攻守が明確に分かれているわけではない。守備だけを切り取って語ることも、攻撃だけを切り取って語ることにも意味はない。攻撃のための守備であり、守備のための攻撃であり、どこからが守備で、どこからが攻撃という区分はないからだ。相手がボールを持っているのなら、アグレッシブな守備を仕掛けて奪い取り、その勢いのままにゴールへ向かう。それがプシュニク監督が志向するサッカーでもある。
(続く)


INSIDE FUKUOKA 配信日変更のお知らせ

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急な連絡になり、大変ご迷惑をおかけしていますが、本日(2/26)18:30より、「アビスパ福岡 社長とファン・サポーターの集い サポーターカンファレンス」が開催されることに伴い、急遽、本日の放送を、以下の通り変更させていただくことにいたしました。

(変更前)2月26日(水)20:00~ →(変更後)2月27日(木)20:00~
※なお、2/27(木)の放送は、焼酎BAR修斗より公開生放送でお送りします。
※番組視聴用URL http://www.ustream.tv/channel/inside-fukuoka1309

番組視聴者の皆様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、ご了承いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。なお、引き続き、Ustream「INSIDE FUKUOKA」を、ご視聴いただきますよう、併せてお願いいたします。

【3月度放送予定】(ゲストについては調整中です)
 4日(火)・10日(月)or11日・19日(水)・26日(水)


がまだすリーグレポート

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中倉一志=取材・文・写真
試合 がまだすリーグ ヴェルスパ大分-アビスパ福岡
日時 2月16日(日)15:00キックオフ
会場 島原市営平成町多目的広場
結果 ヴェルスパ大分2-2(前2-0、後0-2)アビスパ福岡
得点 [大分]福満(12分、38分)、[福岡]森村(77分)、坂田(82分)

試合終了後のマリヤン・プシュニク監督の表情は厳しいものだった。まだ100%の状態ではないとはいえ、鹿島戦で得た感触を確信に変えたかった試合だったが、結果、内容ともに思惑とは大きくかけ離れたものだったからだ。それどころか、選手層が薄いという今シーズンの福岡の問題点が下部リーグ相手に露呈した形に、「恥ずかしいゲーム。何人かの選手は我々のユニフォームを着る資格がない」と切り捨てた。

ここまで7試合のトレーニングマッチの結果は2勝2分3敗。対戦相手のカテゴリーが様々であり、単純に結果だけで判断できない部分はあるが、2勝は福岡U-18、九州学生選抜から挙げたもの。福岡大学、ホンダロック(JFL)、ヴェルスパ大分(同)と、下位のカテゴリーとの対戦で1分2敗と勝利できないという現実は重い。新戦力といかに融合するかは大きなテーマだが、それ以前に、控組とレギュラー組との差が大きすぎる。昨シーズンは、トレーニングマッチ、紅白戦、そして公式戦に至るまで、1年間を通してメンバーを固定しなかったプシュニク監督が、今シーズンは、ある程度固定したメンバーでトレーニングマッチを行っていることからも、福岡が置かれている現状が見えてくる。

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 前半の布陣(4-4-2)
 24番、39番はU-18所属。26は練習生
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 後半は4-1-2-3。
 城後、森村はキャンプ中よりも高い位置

何も得るものがなかった前半
さて、前半のメンバーは若手中心。シャドーの位置に野中優之助(福岡U-18)、ボランチには富安健洋(同、中学3年生)を起用し、左SHには練習参加しているタムを置いた。試合の興味のひとつには、チャンスを与えられた若い選手が、上のカテゴリーの選手相手に何が出来るかというものもあった。しかし、試合はそれどころではなかった。

一言で言えば、全くサッカーにならなかった。練習で取り組んている形を出そうとする意思は感じられず、プレーも、判断も、アマチュアチームと比較しても遅い。アグレッシブなプレスが持ち味のチームが、ヴェルスパ大分のプレスにたじたじとして、ボールを満足に動かせない。ボールを奪えないばかりか、奪ったボールを次のプレーで奪い返される。そして、1人、1人がチームのためにプレーしようとしておらず、ただ自分のためだけにプレーしている。この状態では試合になるはずもなかった。

失点の仕方もいただけなかった。1失点目は最終ラインからの縦パスをカットされて、そのまま持ち込まれたもの。2失点目は、右サイドでの1対1の攻防で負けたことが原因。してはいけないミスから、あっさりと失点する傾向は依然として続いている。

単調な攻撃に終始した後半
最終ライン以外はレギュラー組で戦った後半は、相手がゴール前に引いたこともあって、ほとんどの時間帯を相手ゴール前で過ごした。しかし、決めきれなかった感は強い。中原をアンカーの位置でプレーさせ、残りの5人がポジションチェンジを繰り返しながら、奪ってから素早く相手の裏を突くという形は見て取れたが、2点を追わなければいけなかったためか、攻撃が単調になっていたことは否めない。

今シーズンはゴールを直線的に目指すことが徹底されているが、その過程で、両サイドを活用しなければ、この試合のように攻撃が中央に偏って相手に引っかかることが多くなるのも当然。特に左サイドは全く使えなかった。また、裏を意識するあまりリズムが単調で、攻撃に幅を持たせることができなかったばかりか、前への意識が強すぎるために、城後が低い位置でバランスを取らざるを得なかったのも気になる点だった。

それでも印象の残るシーンもあった。福岡の2点目を演出した中原のプレーがそれ。高い位置でボールを受けると、バスの出し所を探すように見えたが、一瞬の判断で縦にドリブルで持ち込んでファーサイドへクロスで送った。「攻撃が、なかなか上手くいかない部分があったので、ボールが来たら仕掛けようという意識があった。ああいうアクセントを付けることで得点につながったということは、自分が新たな成長をしていく上での収穫になったと思う」と中原も手応えを話す。今シーズンの中原からは、自分の課題を正面から捉え、それを実践の中で修正していく強い姿勢が感じられるが、日に日に何かを手にする姿には頼もしさのようなものが感じられる。

控組がどこまで成長できるか
チームの成績はそこにかかっている     
後半のサッカーについては、課題はあるものの、ナーバスになりすぎる必要はないように思える。45分だけを見れば2得点をゲット。満足のいかない部分を抱えながらも、結果は手に入れた。また「言われたこと+アルファをやらないと、公式戦になったら全然出来なくなってしまう」とは城後寿の言葉だが、求められているのは、ピッチの中での状況判断をもとに、以下に臨機応変にプレーするかということ。トレーニングを通して、互いの共通理解を深めていくなかで改善されていく問題で、必要以上にナーバスになる必要はないだろう。

やはり、最大の問題は控層の底上げだろう。現状では、レギュラー11人で戦う時間帯では大きな問題は起こらないように思えるが、選手交代なしで90分を戦うことは現実的ではなく、順位を上げるためには控組の質の向上は必要不可欠。チームの成績は、現時点で控組にいる選手が、何を、どのようにプレーするかで決まると言っても過言ではない。現時点では厳しいと言わざるを得ないが、控組の猛烈な奮起を求めたい。


INSIDE FUKUOKA 2月度配信スケジュール

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INSIDE-FUKUOKA(USTREAM)は「福岡の町で頑張っている人たちを、福岡の町に住む私たちが応援しよう」をキャッチフレーズにお送りする福岡発スポーツ情報番組です。毎回、素敵なゲストをお迎えして、アビスパ福岡情報とともに、スポーツの魅力をお届けします。2月の配信スケジュールは以下の通りです。

【視聴URL】 http://www.ustream.tv/channel/inside-fukuoka1309
【2月の配信予定日、ならびにゲスト】いずれも20:00からの配信です
 2月12日(水)アビスパ福岡宮崎キャンプ総集編 焼酎BAR修斗より公開生放送
 2月19日(水)ライジング福岡(選手については、現在スケジュール調整中)
 2月26日(水)調整中
 MC/中倉一志(オフィスイレブン) アシスタント/植村日和(福岡大学放送研究部)

さて、2月の配信スケジュールは上記の通り。2月12日はアビスパ福岡の宮崎キャンプ総集編を、焼酎BAR修斗から公開生放送でお送りしす。なお、19日以降も素敵なゲストをお呼びして放送する予定です。ゲストとの調整がつき次第、番組視聴ページ、ならびにfootball fukuokaで告知しますので、楽しみにお待ちください。また、過去に配信した番組についてもアーカイブでご覧になれますので、ぜひ、お楽しみください。

※ゲスト、ならびに配信日の変更は、番組視聴ページ、Twitter、FACEBOOK等で告知します。
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