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これがライジングのバスケット

130518_01.jpg bjリーグ カンファレンスチャンピオンシップ
日時/2013年5月18日(土)
14:10 tipoff
会場/有明コロシアム
結果/福岡 83-66 京都
取材・写真/中倉一志

●仲西淳選手;(ライジング福岡)
Q:試合を振り返って
「京都さんは、プレイオフで滋賀、沖縄をアウェイの雰囲気の中で勝ってきたチームなので、すごく注意をして、しっかりと準備をしてきましたが、その準備してきたこと、対策してきたことを全部出せたことが勝利につながったのではないかと思っています」

Q:第3Qが勝負を決したと思います。
「ゲーム全体で見てみたら、第1Qは、すごくいいディフェンスができて自分たちのリズムになって一気に差を広げたと思いますが、第2Qは向こうのペースに持っていかれて、ハーフタイムを同点で迎えたという内容でした。けれど、バスケットボールは波があるスポーツなので、自分たちは何が起きても、自分たちがやることを見失わずに、ぶれずにやっていこうとシーズン中からずっとやってきたので、ハーフタイムに、それを思い出してやっていこうと話していました。後半が始まるとき、キャプテンとして、まず自分が一番最初に形にしなければいけないと思っていたので、ディフェンスにアグレッシブに行った結果、チームに流れを持ってくることができたと思っています。そして、そのままリードを奪われることなく、自分たちのペースで試合を運んで勝利することができたと思っています」

Q:ディフェンスの意識は、これまで以上に強いものがあったのでしょうか?
「そうですね。いままでオフェンシブなチームと言われ続けてきて、得点を取れる選手がいて、100点ゲームに近い試合をして、得点のアベレージも常に1、2位を争うというような得点力があった半面、100点取っても負けるという試合もありました。やはりバスケットボールはディフェンスで試合に勝つというのが基本だと思いますし、金沢HCからも、シーズンを通してディフェンスを強化していくという話もありました。ディフェンスは技術ではなく気持ちでやるものだと思っていますが、それを、自分がキャプテンとしてチームに伝えたいと思い、それが形になり、相手の得点を抑えることができるようになり、ロースコアでも勝てるという試合が何試合かありました。今シーズンは、新しい、ステップアップしたライジングになったんじゃないかと思います」

Q:ファールトラブルがあって第2Qで出られない時に同点に追いつかれたわけですが、後半は、どんな気持ちでコートに立ったのでしょうか?
「仰るとおり、ファールトラブルもあって、個人的にはペースがつかめない試合ではあったんですけれども、コートの上で仕事をすることはもちろん、キャプテンとして、ベンチにいる時もやるべき仕事がありますし、それをしっかりとやると決めていました。チームの精神的な軸になるように、ベンチで、しっかりと声を出すのも自分の仕事なので。そして、第3Qにコートに入るときには、自分からディフェンスしてリズムを作ると言いきかせていましたし、それはアグレッシブにできたと個人的には思っています。それが、しっかりとチームに伝わって、すごくいいディフェンスで勝利することができたと思っています」

Q:明日の試合に向けて、どのような試合をしたいと考えていらっしゃいますか?
「今日の試合は今日の試合。明日の試合は明日の試合。どちらのチームと対戦することになっても、ライジングらしいバスケットをして、いい結果を残して、シーズンを終わらせたいと思います」

Q:5年前の試合と比べて、ブースターの数が全く違っていたと思います。それに関しては、どのようなお気持ちですか?
「ウォーミングアップでコートに立った時から、たくさんのブースターさんが来てくれていて、自分たちのことを応援してくれて、自分たちのことを後押ししてくれて、本当に力になりました。5年前に比べたらブースターさんの数もすごく増えて、自分たちが歩んできた道は間違ってなかったと感じています。これは、ライジング福岡がプロバスケットチームとして、福岡に根付いてきた証拠でもありますし、自分たちがやってきた努力の結果だとも思うので、応援してくださる方たちの前で、明日はいいパフォーマンスをして、みんなで喜びを分かち合いたいと思います」

Q:喜びを分かち合うだけではなく、福岡にライジング福岡の存在を、もっと、もっと、知らしめる舞台が整いました。
「チャンピオンシップを取って、もっと、もっと福岡に、福岡だけではなく九州に、全国に知ってもらい、そして、バスケットボールが広がって、もっと、もっと、多くの方がバスケットを見に来てくれたらと思います」

Q:記者会見の時に、どうしても優勝したい。そのメンバーがそろっているとおっしゃっていましたが、自信はいかがでしょう?
「チームのひとり、一人が気持ちを一つにして、今日も、誰かかが勝利したのではなく、チームワークで勝った試合ですし、それはここ1年間やってきたことでもあります。明日の試合も、みんなの力で勝って喜びを分かち合いたいと思います」


●加納督大選手;(ライジング福岡)
Q:今の気持ちを教えてください
「今日の試合に勝ち、あとひとつという気持ちでいます」

Q:今日の試合は持ち味であるディフェンス力が発揮できたと思います。
「最初から、みんなでディフェンスからだと言っていたので、いいところでボールを奪って、そこから速攻で点を取って、そこから、いい流れになったのではと自分でも思います」

Q:有明の舞台はいかがでしょうか?
「今までとは雰囲気がまったく違うところなので、すごく楽しもうと思っていました。楽しめて良かったと思います」

Q:勝負の流れを決めた第3Qで3つのスチールがありました。意識しながら臨んでいたんですか?
「意識というよりも、第2Qが悪くて追いつかれてしまったので、第3Qの最初からディフェンスで流れを掴んでやろうという気持ちがあってので、あの場面で3つ続いて良かったのかなと思います。気持ちはみんな一緒で、オフェンスではなく、ディフェンスからということだったので、それが良かったと思います」

Q:バスケット人生で、10分間、相手をフィールドゴール(フリースローを除くゴール)0に抑えるというのは、中々ないことだと思いますけれど、それについては何か思うところはありますか?
「試合が終わって、そうだったんだなと思ったくらいです。その時は、みんな集中していて、チームで守るという気持ちでやったから、そういう結果になったんじゃないでしょうか。プレーしているときは、点を取られていないということには気が付いていませんでした」

Q:第3Qで日本人が3人になったので、ディフェンスに集中しやすかったということがあるのでしょうか?
「日本人が3人出た時は、そこで上手くヘルプしようとは言っています。レジーも、いつも言っているんですが、まずはディフェンスからだと。いい時はディフェンスがいいし、悪い時はディフェンスが悪いと。だからディフェンスをしっかりやろうと。ですから、明日も、最初からディフェンスを意識して、チームとして戦いたいと思います」

Q:いよいよ、あとひとつです。
「はい。チャンピオンになって福岡に帰りたいと思います」


●竹野明倫選手;(ライジング福岡)
Q:試合を振り返って
「本当にチーム全員で戦って、相手の止めなければいけないところを止めたことが、こういう結果になったと思っています。決勝の舞台に立って試合ができる機会が得られたので、試合が終わった瞬間に、『明日だ、明日だ。もう1試合だ』と全員で口をそろえて言っていました。あと1試合頑張りたいと思います」

Q:ずっと言ってきたディフェンスが形になった1試合、形になった第3Qだったと御もいます。
「1試合通して、全員が口をそろえて、ディフェンスからだ、ディフェンスからだと言いあっていました。それ相応の練習もしてきましたので、練習通りのディフェンスができて、しっかりと止められたと思います」

Q:ブースターの声援は予想以上だったのではないでしょうか?
「そうですね。すごくたくさんの声援をいただいたし、こちらのシュートが決まるたびに大歓声を上げていただいた、本当に心強かったです」

Q:支えてくれている人たちに恩返しができる舞台が整いましたが、明日は、どういうバスケットを見せてくれますか?
「相手がどちらかは分からないですが、ライジングのバスケットを貫き通すだけです。そうすれば結果が付いてくると信じているので、頑張っていきたいと思います」


●レジー・ウォーレン選手;(ライジング福岡)
Q:シーズン前から狙っていた最後の舞台にたどり着きました。まずは率直な感想を聞かせてください。
「今シーズン、ずっとハードワークしてきた練習の結果が出て良かったと思います。自分たちだけではなく、コーチ、スタッフ、選手全員でチャンピオンシップを取ろうと言ってきたので、素直にうれしく思います。残り1試合を戦い切って、チャンピオンシップを取れるように頑張りたいと思います」

Q:試合が終わった瞬間、いつものように選手に声をかけていましたが、どんな話をしたのですか?
「勝ったことはうれしいのですけれども、最後に1試合残っているので、そこで勝たなければ意味がない。喜ぶのは少しだけにして、この瞬間から明日の試合に集中しよう。我々はやるべきことを、精一杯ハードワークしようと言いました」

Q:第1Qのリードを第2Qで追いつかれての後半でしたが、ハーフタイムには、どんなことを話し合っていたのですか?
「第1Qはいいディフェンスができました。本当に素晴らしかったと思います。けれども、それが 第2Qではできませんでした。ですから原点に戻って、第1Qにやったディフェンスを後半はやろうということでした。ディフェンスが鍵になるのだという考えをチーム全体で共有しました」

Q:課題が出るたびに、次の試合で修正するということを繰り返しながら、チームは成長してきましたが、その集大成のような試合でした。
「自分はbjリーグで長くプレーしているので、コミュニケーションをとって、課題を修正していくことが大事だということを分かっています。その成果が出たレギュラーシーズンでしたし、その成果が出た今日の試合だったと思います」

Q:福岡から大勢のブースターの皆さんが応援に駆けつけてくれました。
「すごく力になりました。ブースターのおかけでエネルギーをもらい、自分たちの力を出すことができました。わざわざ遠いところ待て来てくださって、本当に 感謝しています。皆さんのおかげでいいプレーができました。福岡のブースターは本当に素晴らしいブースターです」

Q:いよいよ、目標まであと1試合になりました。意気込みを聞かせてください。
「自分たちの目標に向かってやり続けるだけです。目標とはチャンピオンシップを取ること。それを実際に取ることに向かって突き進み、チャンピオンになって、今シーズンを完結させたいと思っています。チャンピオンシップを取るということは、ブースターの方も切に望んでいることだと思いますし、自分のキャリアを振り返っても、チャンピオンになるのは初めてのことなので、最後に嬉しさを共有できればと思います」


ライジング福岡 頂点まであと1勝

130518_01.jpg bjリーグ
ウエスタンカンファレンスチャンピオンシップ
日時/2013年5月18日(土)
14:10 tipoff
会場/有明コロシアム
結果/福岡 83-66 京都
取材・写真/中倉一志

●金沢HC;(ライジング福岡)
Q:試合を振り返って
「こういった有明の大舞台で、選手、スタッフ、そして応援してくださるブースターの皆さんと一丸になって 、一つになって勝利をおさめられたことを、本当に嬉しく思います。また、京都ハンナリーズさんも、最後まであきらめない、素晴らしいプレーだったと思います。我々はウエスタンカンファレンスの代表になったわけですから、他のウエスタンカンファレンスのチームの思いを一つに背負って、またあした、チャンピオンシップという大きな、そして我々の最終的な目標に向かって戦っていきたいと思います」

Q:今の率直な感想をお願いします。
「まずチャンピオンシップに挑戦できる最後のファイナルの舞台を勝ちとれたことを嬉しく思います」

Q:昨日の記者会見で、オフェンスについて、2パターン、3パターン、様々な形を試して、最後は、またファーストパターンに戻ってでも勝ちたいとおっしゃっていましたが、最初から、それができたのは、選手が積み重ねてきたものを改めて実行下選手の頑張りではないかと思いますが、HCはどのように感じていらっしゃいますか?
「その通りだと思います。今シーズンは明日、最後のファイナルで最後を迎えるわけですが、レギュラーシーズン52試合、そしてプレイオフのゲーム、すべてが明日のファイナルに集約する形でライジングとして積み重ねてきました。レギュラーゲームのひとつ、ひとつのゲーム。勝ったゲームも、負けたゲームもあります。負けたゲームであっても、それを積み重ねてきましした。ですから、明日はチャンピオンシップに届くように、積み重ねてきた全てを出して戦っていきたいと思っています」

Q:勝負を決めた第3Qですが、何が決め手になったと思われますか?
「やはりディフェンスだったと思います。今シーズンのライジングはコンセプトとして、今までどおり、オフェンシブなチームを目指すという部分は変わらないんですが、そのためには、ひとつの武器として、ディフェンスからオフェンスにつなげていくことが必要だと考えていました。ですから今シーズンは、ずっとディフェンスがキーになっていましたが、それが、カンファレンスファイナルの第3Qで出せたということだったと思います」

Q:日本一を決める戦いまで残り30時間を切りました。何をなさいますか?
「各自、それぞれに役割分担があります。私であれば、明日のゲームに向けての戦術的な準備、チーム全体のマネジメントがあります。選手は今日のダメージを回復し、明日のための心身ともにコンディションを作っていく必要がありますし、スタッフに関しても、トレーナー、マネジャーにそれぞれのマネジメントがあります。そういった準備をしっかりと、そして、すべてを整えた上で、戦いに臨みたいと思っています。結果がどっちになるのかは、運なのかも知れませんし、まったく分からないので、それを気にするのではなく、やるべき準備をすべて整えること。それをやっていきたいと思います」

Q:明日は今日以上に特別なゲーム、特別な雰囲気になると思います。メンタル面をどのようにコントロールされるのでしょうか?
「ファイナルの独特な雰囲気やプレッシャーはあると思います。それは特別なことではなく、当然のことなのだと自分たちで飲み込むことがひとつ。そして、そういう雰囲気になったからと言って、我々がやることは変わりません。自分たちがどうなるのだろうか、結果がどうなるのだろうかと、先のことを考えても不安になるだけですし、そもそも、結果は終わってから考えることだと思っています、ですから、ワンプレー、ワンプレー、そして、一瞬、一瞬で何をやるのか。自分たちがやるべきことをやるのだということにフォーカスしていきたいなと思います」

Q:今日はディフェンス面において、日本人選手の活躍が鍵を握ったように思います。日本人選手の評価をお願いします。
「日本人選手の活躍は素晴らしいの一言に限尽きると思います。出る選手、出る選手が、それぞれの役割を果たしてくれました。みんながチームのすべきことをやりながら、自分たちの個性を発揮してくれました。レギュラーシーズンを通して日本人選手の活躍は素晴らしいと思っていましたし、シーズンを通して、精神的に支柱になるのは日本人選手、そこを軸にしてチーム編成をしてきましたが、この大きな舞台で、レギュラーシーズンと同じように、自分たちのやるべきことをやりとげ、そして勝利を掴んだということは素晴らしい結果でした。彼らを本当に誇りに思います」

Q:第1Qのリードを第2Qで追いつかれて前半を終了しましたが、ハーフタイムには、どのよな指示を出されたのでしょうか?
「第2Qに京都さんの反撃にあっった理由は、ミスからのファーストブレイクからレイアップを決められたり、ドライブからのレイアップ、バックカットからレイアップに持っていかれたりと、ディフェンスの間隙を衝かれるような形で、ペイントのところを攻められてしまったということがありました。ですから、そこを反省して修正しようという指示を出しました。もうひとつは、オフェンスに関して、いいディフェンスをするには、いいオフェンスで終わらなければいけないということで、自分たちが準備してきたミスマッチをしっかりと攻めて、そこをつぶされたら、他の選手がセカンドオプション、サードオプションになって、そしてまたファーストオプションに戻る、そういった指示を出しました」

Q:第3Qは流れの中から得点を奪われなかったという結果になりましたが(相手のポイントはフリースローの1点)、その要因はどのように考えていらっしゃいますか?
「選手それぞれがチームディフェンスをする中で、絶対に点を取られたくない選手の個性をしっかりと消して行こうということでしたが、チームディフェンスと個人ディフェンスの兼ね合いが非常に素晴らしかったと思います。選手が、ワンプレー、ワンプレー、一瞬、一瞬に最善を尽くしてくれたことを誇らしく思っています。チームディフェンスと、相手の個性をつぶす役割を、一人、一人がやってくれた、それが得点を奪われなかった要因です」


夜明けを信じて ~浦和レッズレディース

130510_01.jpg 取材・文/西森彰
写真/金子悟 西森彰

 混戦と言われていた今季のなでしこリーグも、ゴールデンウィークを終えて流れができつつある。本命INAC神戸レオネッサは、ただ1チーム、開幕から白星を7つ並べた。川澄奈穂美が攻守で目を引くプレーを続け、中島依美らがケガ人等で欠けたポジションを器用に埋める。2位の日テレ・ベレーザとは勝ち点5差。石原孝尚監督は「次のゲームをベレーザが落とせば、そこで今季はジ・エンド」といたずらっぽく口にする。

 2位の日テレ・ベレーザは、得点力不足が深刻で第5節、第6節と2試合連続で無得点で、勝ち点を5つ落とした。「その前のゲームもPKだけですから、実質的には3試合連続ノーゴール。もちろん、そこが最大の課題だと思いますし、前のポジションにいる若手には、練習の時から『やってくれないと勝てないよ』と言っているんですが……」と岩清水梓。流れの中からに限れば、383分ぶりに生まれた田中美南のゴールで、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースに勝利。直接対決に望みをつなげた。

 3位以下には、ベガルタ仙台レディース、伊賀FCくノ一、千葉Lと連敗を回避したチームが、それぞれ名前を連ねている。

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 泥沼に足を突っ込んでしまったのが、浦和レッドダイヤモンズレディースだ。開幕戦で白星スタートを切った後、第2節のジェフユナイテッド市原・千葉レディースに敗れると、そこから0-1、1-2、0-1、1-2。同じスコアを交互に繰り返す。自分たちのエンジンがかかる前に、相手チームに先手をとられ、動揺。後半に入って、システムを変更してゴールに迫るが、届かない。これは、千葉戦以降4試合続いた負けパターンであった。

 とりわけ、キックオフからの戦いぶりがもどかしかった。きちんとボールをつないで相手を走らせれば、後半にチャンスが生まれる。机上の計算では、そうなる。ただ、つなぐことに意識が行き過ぎて、ゴールへの執着心が欠けていたのではないだろうか。この千葉戦を含めて、後半は、同点、逆転を目指して相手ゴールを幾度か脅かしている。対戦相手の上村崇士監督は「私が他のチームのことを言うのは、おかしなことですが……」と前置きして、次のように語った。

「(浦和は)お世辞抜きに良いチーム。あれだけのタレントも揃っていますし、上位に行けるチームだと思います。そのチームに勝ったから嬉しい。いろいろなところで『今季の浦和はあんまり……』という話も聞こえてきますが、うまさは去年以上ではないかと思います。『もう少し怖さが欲しいかな?』とも思いますが」

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 第3節の岡山湯郷Belle戦は、後半、同点に追いつき、そのままの勢いで逆転するかに見えた。そして、残り数分でPKを得る。そこで、岸川奈津希のキックが相手GK・福元美穂にセーブされる。PK失敗のダメージを引きずり、それまでの優勢は失われ、ロスタイムに勝ち越しゴールを許す。勝利を目前にしていたチームは、あまりにも脆く、崩れた。後から振り返れば、ここが地獄の一丁目だった。

「(PK失敗は)起きてしまったことだし、それをどうこう言っても仕方がありません。そこから何ができるか。長いリーグ戦、ましてアウェーであることを考えれば、あそこで最悪でも勝ち点1をキープする。確実にあと数分を逃げ切る。それができないのが、今の力であり、課題です」(後藤三知)

 そのあたりのゲーム運びの稚拙さも含めて、若さなのだろう。今季は、これまでチームを引っ張ってきたベテラン、中堅がチームを離れ、平均年齢は一気に下がった。これまでリーグ戦では1度も勝てなかった湯郷ベルの選手にも「だいぶメンバーが変わりましたし、以前のようなイメージはありません」(宮間あや)。キックオフ以前の精神的優位が失われている。

 その喪失を際立たせたのが、今季からなでしこリーグに昇格したばかりの吉備国際大学Charmeにも初勝利を献上した試合。吉備国大戦は、風下でシュート本数11対2という劣勢を同点で折り返した。しかも、後半はゲームを完全に支配しかけていた。これまでなら、貫録勝ちに持っていけるところだ。しかし、そこで競り負けてしまう。

「これまでの4試合は『なでしこリーグのチーム』と戦うことを必要以上に意識して、私も、選手も、対戦相手をリスペクトし過ぎていました。今日は、大学生らしい自分たちのサッカーをしようと言っていました」と吉備国大の太田真司監督。昇格したばかりの大学生に最後まで伸び伸びとプレーさせてしまうのだから、もう「浦和」という看板だけで勝てるチームはない。

 主力を務めるべき選手のケガ人にも悩まされている。開幕前に負傷した吉良知夏は、しばらく時間限定での出場が続いた。猶本光も第5節のFC吉備国際大学戦で、ようやく戦線復帰したばかり。そのゲームでは、昨年の新人王・高畑志帆が負傷退場した。チームがベースを掴むのに手こずっているのは、それも大きな原因だろう。

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 だが、結果は同じとは言え、試合内容は徐々に良化を見せている。第6節のアルビレックス新潟レディース戦は速攻から2本食らって逆転負け。その一方で、開幕戦以来となる先制点を奪い、前半はリードで折り返している。そして久しぶりのホームゲームとなった第7節のI神戸戦は0-3。I神戸を今季初めて前半無得点に封じ、退場者含みのPKなどアンラッキーな一面もあった。

 フォーメーションでは、ここ2試合採用している1トップとの相性がいい。「これまで、FWとボランチの間にあるスペースのこぼれ球を、相手チームに拾われるという課題があったので」(安田)。2トップの1枚をこの位置に落とす修正で、こうしたシーンが目に見えて減った。まだこれを攻撃で活かせるレベルには持っていけてないが、守備は明らかに良化した。やはり、去年までの距離感が使える1トップのほうが、現状はやり易いのではないだろうか。

「そういう、何も考えなくても体が動くくらいの、染みついた距離感というものを作っていかなければいけないと思います。やっぱりチームとしての土台がないと何をやっても上手くいきませんし、それを今はしっかりと作っていかなければ」(後藤)

 I神戸戦では前半をスコアレスで折り返した。これまでピッチに入ると途端にチームのギアを引き上げた吉良知夏を、後半開始から投入するのではと考えたのだが、手塚監督は「ハーフタイムの時点では守備がうまくいっていたので、もう少し堪えて次の段階でと考えていました」。ここ2戦で何かが生まれつつある手応えを感じており、選手たちにそれを掴ませたかったからなのだろう。この試合の結果だけを見れば、60分の岸川退場で、投入の機会を逸することになってしまったのだが……。

「それもサッカー。運も含めてそれが今の状況です。今日の試合でできた部分もあるから、そこを続けてやっていくしかありません。勝ちたい気持ちは毎試合積み重なっていますが、それをどうパワーに変えていくかは自分たち自身。しっかり結果につなげていけるようにやっていきたい」(後藤)

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 これで6連敗。チームのワースト記録を更新し続けている。現在の順位は、最下位のスペランツァFC大阪高槻を辛うじて得失点差で上回っての9位だ。ここ数年、常に上位戦線を争ってきた名門は、今、難局を迎えている。だが、選手は凛として、前を向く。

「(『連敗が続いて、気持ちの持ち方が難しいのでは?』)皆さんにそう言われますが、毎試合、私たちは気持ちを切り替えて戦えています。そんなに下を向いてもいませんし、前向きに取り組めていると思います」(安田有希)

 今が一番暗い夜明け前であることを信じて、すぐ次の試合に目を向けている。



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