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【bjリーグ 第28戦 福岡-京都】消されたライジングらしさ

130129_01.jpg bjリーグ2012-2013 第28戦
日時:2013年1月27日(日)14:00 tip off
会場:やまぐちリフレッシュパーク
結果:ライジング福岡 81-96 京都ハンナリ―ズ
取材・文・写真:中倉一志

 前日の快勝を受けたの京都ハンナリ―ズとの第2戦。初の山口開催で、初戦を95-71で勝利していたこともあり、多くのファン、ブースターがライジングの連勝を期待していた。試合前のアップでも選手たちは明るい表情。笑顔を見せる余裕さえ見せていた。今日も勝ってくれるはず。そんな空気が会場を包んでいたことは間違いない。しかし「勝負は下駄を履くまで分からない」のが鉄則。まして、ほとんど力の差がないプロの世界では、僅かなことで、その結果は全く違うものになってしまう。結局、この日のライジングは自分たちらしさを発揮することなく82-96で京都に敗れた。改めて、勝負の世界の厳しさを、そして、常に100%の力を発揮しなければ勝利は得られないことを教えられた1戦になった。

 試合は立ち上がりからスローペース。互いに相手を確かめるように進んで行く。しかし、このゆったりとしたリズムは京都の狙い通り。「昨日のゲームでは、どちらかと言えば3ポイントの内側を守るディフェンスにしていたが、今日は通常通り、ハーフコートの前からピックアップして、しっかりプレッシャーをかけた」(浜口炎HC・京都)。そして、ライジングは持ち味である速い攻撃を封じられて、手づまり感が強くなる。京都にやられているといった感じはない。しかし、インサイドを攻略できず、アウトサイドからのシュート確率が上がらず、やりたいバスケットをやらせてもらえずにジワジワと引き離されていく。

 第1Qの最後に徳永林太郎が3ポイントシュートを決めて3点差に迫り、反撃態勢に入ったかと思われたが、それも一瞬の出来事。第2Qもライジングはリズムを刻めない。そして今シーズン、ライジングを支えてきたディフェンスも思うように機能しない。最大の問題はインサイドの1対1の攻防で、ことごとく後手を踏んでしまったことだ。「チームディフェンスをやろうと試みたが、その前に、1対1のところの個人のディフェンスが機能していなかった」(金澤篤志HC・ライジング)。守ってはマーカス・クザン、ジーノ・ボマーレにいいように決められ、攻めては高い壁にはね返されてシュートを落とし続けた。

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 全てが悪かったわけではない。自分たちの流れを掴めない中でも、これまでの試合がそうであったように、流れを変えられるきっかけになるだろうと思われるプレーもあった。しかし、この日は、それが単発に終わって次が続かない。そして、立ち上がりから簡単に決められ続ける京都のインサイドの攻撃を止めることが出来ず、同じようにインサイドのシュートを外し続け、その影響からか、リズムが崩れてアウトサイドからのシュートの確率も上がらない。そして、何とかしようとしてところをスチールされてファーストブレイクを決められりるという悪循環。閉塞感ばかりが募る展開は、今シーズン、初めて見る展開だ。

 ようやくアグレッシブさが見え始めたのは、いつの間にか点差を16に開かれてしまった第4Qに入ってから。後がなくなったライジングは高い位置からダブルチームを仕掛けてボールを奪取。ランニングプレーで得点を重ねる。リバウンドを奪ってからのファーストブレイク。スチールからの逆襲。それは、ここまでのライジングを支えてきた攻撃の形だった。みるみるうちに得点差は11に。第4Qでの逆襲に期待がかかった。だが、第3Qまで工夫を見せることなく同じことを繰り返してしまったツケは簡単には返せない。そして、勢いを取り戻したかに見えた攻撃も、そのリズムを長く続けることは出来ず。結局、最後まで自分たちのリズムを刻むことが出来なかったライジングは82-96で敗れた。

 前日、ライジングの前に完敗を喫した京都が対策を講じてきたことも、ライジングがリズムを刻めなかった原因のひとつだ。しかし、40分を通して試合を見ると、やはり、自分たちの方に問題の過半があったように思える。力を出しきれないままに、しかし、その流れのままに無為に時間を過ごした40分間。少し厳しい言い方だが、前半戦のライジングの戦いを見てきただけに、この日の敗戦には違和感が残った。

「昨日と比較してシュート確率が落ちたというところで、ワンプレー、ワンプレーに一喜一憂しすぎた。そして、いいプレーを連続するということが出来なかった。もちろん、京都さんが、それをさせまいとしたことだとは思うが、まずは、そう言ったところを直さないといけない。ミスは必ずあるし、波は必ずある。悪い波になった時にどうするのか。それを自分たちが考え直さなければいけない」(金澤HC)
 今シーズンの残り試合は24。この日の敗戦を糧にするのか、高すぎる授業料にするのか。それは、これからの戦いにかかっている。

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【bjリーグ 第28戦 福岡-京都】試合終了後の両HCコメント


【bjリーグ第28戦 福岡-京都 試合終了後の両HCコメント】

◎浜口炎HC(京都ハンナリ―ズ)
Q:試合を振り返って
「昨日の負けを受けて、修正すべきところをしっかりと修正して、ボールをしっかりとプッシュ出来たことが良かったと思います。ファーストブレイクからのポイントが22点ありましたので、その分、勝ちが転がって来たんじゃないかなと思います」

Q:今日の修正点について、具体的に教えていただけるでしょうか? 「昨日はハーフコートディフェンスで、福岡の選手はドライブの上手い選手が多いので、どちらかと言うと3ポイントの内側を守るディフェンスにしていたんですけれども、今日は通常通り、ハーフコートの前からピックアップして、しっかりプレッシャーをかけました。その結果、ポイントガードからスチールしてイージーレイアップというシーンが3回くらいありましたし、その辺が修正点です」

◎金澤篤志HC(ライジング福岡)
Q:試合を振り返って
「今日のゲームは、自分たちの波を自分たちが作れなかったことが敗因だったと思います。特に前半、ディフェンスに関してチームディフェンスをやろうということで試みたんですけれども、その前に、1対1のところの個人のディフェンスが機能していなかったので、そういうところを、もう一度見直して戦っていかないといけないかなと思います。波に乗れていない選手であったり、普段だったら決められるシュートを決められないというのはあるんですけれども、そういった波はシーズン中に必ずあるので、波が来ていない時に我慢して、どのように戦うか。そこは今後の課題として取り組んでいきたいと思います」

Q:波が作れなかったとおっしゃいましたが、自分たち側の問題が大きかったですか? 「やれなかった部分が非常に大きかったと思いますし、普段やれていることが、単純なシュートミスから『あれっ』というような・・・。昨日はかなりの高確率でシュートを決めていたイメージがあった分、そんなに3Pも外しているわけではないんですけれども、機能と比較すればシュート確率が落ちたと言うところで、ワンプレー、ワンプレーにに一喜一憂しすぎている部分と、いいプレーから、それを連続して続けると言うことが出来ませんでした。それは京都さんが、させまいとしたことだと思うんですけれども、まずはそういったところを修正しないといけません。ミスは必ずありますし、波は必ずあるので、そうなった時にどうするのかということを、自分たちが考え直さなければいけないと思います」


【フットボールな日々】及第点のスタート

130128_01.jpg 取材・文・写真/中倉一志

 25日に行われた慶熙大学(韓国)との練習試合について、マリヤン・プシュニク監督は、どのように整理しているのか。プシュニク監督の言葉を借りながら振り返ってみたいと思います。この試合の狙いは「プレッシャーをかけて数的優位を作ってボールを奪い返し、そのボールをゴールへ素早く運ぶこと」(プシュニク監督)。まだ本格的に戦術トレーニングをしていない段階では、まずは、ここまで意識づけしてきたことを、試合の中で、どれだけ表現できるかが最大の目的でした。

 また、選手の組み合わせが日常のトレーニングとは大幅に変わっていたことや、これまでとは違うポジションでプレーしていた選手がいたことからも、チームの成熟度を確認しようとしたのではないことは明らかでした。どちらかと言えば、これまでの10日間でやってきたことを、1人、1人が、どれだけ意識できているのか、いわゆる、個人戦術の理解度の確認に費やしたように思います。その点に関しては、良い部分も、悪い部分も合わせて、選手それぞれに、成果と課題が見られたのは収穫でした。

 そしてプシュニク監督は、練習試合について次のようにまとめています。
「始動日に行った2本の紅白戦との大きな違いは、我々がプレッシャーをかけて数的優位を作る。奪ったボールを縦に、ゴールに向かって仕掛けて行く。そういう意識を持った戦い方ができたということ。10日間で全てを変えることはできないが、今日の試合では、自分たちがやろうとしていることが表現できたので悪くない。新しいやり方に不慣れな選手や、馴染んでいない選手もおり、今まで練習でやってきたことが100%出たかと言えばそうではないが、それは、これから練習で理解度を深めていけば全く問題はない」

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 そのためにどうしなければいけないのか。プシュニク監督は次のように続けます。
「だから私は、試合が終わったら、選手自身が、自分自身に問いかけて欲しいと伝えたい。シュートを何本打ったのか?スルーパスを何本送ったのか、何回ボールを奪い返したのか?いつ、どこで、良いプレーをしたのか、あるいは悪いプレーをしたのか?といったことだ。単に試合を終え、一晩を過ごして、そしてまた練習に戻ってくるというのではなく自分で学習してほしい。主観的にプレーするのではなく、自分自身のこと、起こったことを客観的に捉えて練習に臨んでもらいたい」

 さて、ここまでチームは非常にハードで、そして中身の濃い練習を続けています。そこには、自分たちを変えるという強い気持ちが表れています。「監督がやりたいサッカーというのが練習の、ひとつ、ひとつのメニューに、すごく意図されていて、練習と監督が求めているサッカーが一致しているのでやりがいがある。去年まで時全然違う。選手たちも手応えを感じながらやれている」と話すのは城後寿。そして、誰もが同じ言葉を口にし、「やろうとしていることが分かりやすい」と話しています。

 それが、慶熙大学(韓国)との練習試合で、今までとは違った面が感じられた理由だと思います。その一方で、意識の変化が形になって表れるには、やはり一定の時間が必要。「技術、戦術、ポジショニングを変えることはすぐにでも出来るかも知れないが、意識は時間をかけなければ変えられるものではない」と話すのはプシュニク監督。城後も「継続していかなければいけない」と話しています。辛抱強く、やるべきことを絶え間なく続けること。それが何よりも大切であり、それが福岡再生の礎になるはずです。

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【フットボールな日々】変化は見えたか

130125_01.jpg 取材・文・写真/中倉一志

 今シーズン初めて行われた45分×2のトレーニングマッチは0-1。1本目の20分に得点を許し、そのまま敗れました。始動日以来、練習を見てきましたが、実際に試合を通して、トレーニングだけでは見つけられない、いろんな発見がありました。まだ、試合内容を云々するまでの段階には来ていないというのが正直な感想ですが、一からのスタートを選択したチームが、どのように変わろうとしているのかという観点から見れば、非常に興味深い試合。試合内容という次元とは別の観点で、面白い試合でした。

 今日の試合で確認したかったことは3つでした。ひとつめは、奪ったボールを素早く前へ運ぶ意識を持ってプレーできるかということ。この点に関しては、チームの意識が変わりつつあることが感じられたのではないかと思います。特に1本目は、ボールを持って前を向いた時に、全員が前へ走りだすシーンが何回も見られました。これはマリヤン・プシュニク監督が最も大切にしているチームの肝。少しずつ、しかし確実にチームに浸透していると思います。

 ふたつめは守備のところ。プシュニク監督は2人でプレッシャーをかけに行くことを求めていますが、これは残念ながら試合の中では、あまり見ることが出来なかったように思います。微妙に連動している時もあるのですが、基本的には、去年までのように1対1で仕掛けに行ってしまう場面が多く、ファーストディフェンダーがハマらないと、相手に好きにボールを回されるというシーンが多く見られました。ここは、もっと、もっと互いの連携と意識を高めなければいけない点だと思います。

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 そして、最後が、しっかりと仲間同士でコミュニケーションが取れるかということでした。これはまだまだとしか言えません。日常のトレーニングでも「モット、シャベッテ」とプシュニク監督は指示を出していますが、トレーニング中であっても、まだまだ徹底されていないと感じます。当たり前のことですが、プシュニク監督は外国籍監督ですから、プシュニク監督に依存するばかりではなく、チームとして、もっと、もっとこだわりを持って、強く取り組んで行かなければいけないとこるだと感じています。

 そんな中で、今日、一番印象に残ったシーンは、1本目のキックオフ直後に、ジャン・ジョンウォンが左手で仲間を指さし、大きな声でコーチングをしたシーンでした。ジャンは高校を出たばかりの18歳。初めてプロの世界に足を踏み入れたばかりで、もちろん、海外でサッカーをするのも初めての選手です。しかも日本語も分からない。それでも、堂々と日本人選手たちに指示を出す。いいメンタルだと思います。技術もあるし、センスもいい。細いけれども、意外と当たりにも強い。大事に育ててほしいと思います。

 さて、プシュニク監督は、この試合をどのように評価したのか。そして、この試合を通して何が明らかになったのか。それはまた、次の記事で書きたいと思います。

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【フットボールな日々】少しずつ、一歩ずつ

130122_01.jpg 取材・文・写真/中倉一志

 雁の巣球技場では相変わらず激しいトレーニングが続いています。時折激しい雨が降り注ぐ悪天候の中で行われた21日のトレーニングは、実践形式のトレーニングが中心。フィールドの広さを変え、人数を変え、ルールを変えてと、細かな工夫がなされたトレーニングは、ミーティングを含めて約2時間で終了しました。雨の中でのトレーニング取材は、それなりに辛いものがあるのですが、それも感じさせないあっという間の2時間。それも、トレーニングが充実しているからに違いありません。

 初日から徹底されているのは、コミュニケーションを取ること、常に前を意識してプレーすること、少ないタッチでボールを素早く運ぶこと等々。そのために、選手たちは常に動くことが求められ、ボールを起点にして長い距離を走って追い越していくプレーが増えてきたように感じられます。また、連日の激しいトレーニングにも、選手たちの動きは軽快。チームが始動する前から、プシュニク監督の指示に従って取り組んでいたフィジカルトレーニングの成果も表れているようです。

「コンディションは例年よりもいい。監督が気になることがあれば、ゲームや練習を止めて、何回も注意されるが、チームが目指すものや方向性を徹底するという意味や、どういうプレーを求められているのかという点では分かりやすい。監督の指示を受けて、選手たちは、いろいろと感じながらトレーニングに臨んでいるが、目指す方向性という意味では全員が同じ方向を向いている」と話すのは坂田大輔。サポーターが新しいやり方に大きな期待を抱いているように、選手たちも充実感を感じているようです。

 また、今シーズンについて坂田は次のように話してくれました。
「去年、試合に出ていた選手が何人か抜けたが、新しい選手が入ってきて戦力的には埋まっている。けれど、同じことをやっていたのでは、間違いなく去年と同じ成績になる。新しい監督が来て、戦術的には明らかに去年とは違うので、それをいかに開幕までに完成させて結果を出すかということ。そしてJ2優勝云々ではなく、とにかく昇格するために戦う。そのためには、6位以内に入らなければ可能性もないので、まずはそこ」

 そのための基礎固めが今の時期。まずはキャンプが始まるまでに、それをどこまで詰められるかが鍵です。プシュニク監督は話します。「我々が考えなければいけないことは、私がチームに来たのは初めてで、選手も変わって新しいチームとしてスタートしなければならないということ。私のスタイルをはじめ、新しい練習のやり方や、新しいコーチなど、様々な新しいことがある中で、それをチームとしてひとつにまとめなければならない。それを1月末までにやれればと思う」。

 1月末までに、チームがどのように変わっていくのか。引き続き、しっかりと見て行きたいと思っています。



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