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山形の追撃届かず、G大阪見事な三冠達成!

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取材/文:貞永晃二
第94回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝
日時:2014年12月13日(土)14:04 キックオフ
会場:日産スタジアム 観客数:47,829人 主審:佐藤隆治
結果:ガンバ大阪3-1(前半2-0、後半1-1)モンテディオ山形
得点者:【G大阪】宇佐美貴史(4分)、パトリック(22分)【山形】ロメロ・フランク(62分)、【G大阪】宇佐美貴史(85分)

 浦和、鹿島に競り勝ちJ1リーグ優勝を果たしたG大阪。プレーオフで磐田、千葉を連破しJ1昇格を決めた山形。両チームは慌しい1週間で、可能な限りの準備をして例年とは異なる「元日」ではなく、「国立」ではない天皇杯決勝に挑んだ。

 現在のチーム力を比較すれば、圧倒的に有利なのは国内三冠に挑むG大阪だった。第三者的に試合が面白くなるには山形が先制することだと思われたが、そんな淡い期待は開始4分ではかなく消えた。GK東口のフリーキックが前線へ。空中戦を制したパトリックが頭でフリック、宇佐美はこれを胸トラップからの素早いボレーで狙う。山形GK山岸がなんとかストップするが、こぼれダマを拾った宇佐美が再度シュートしネットが揺れた。昇格プレーオフのゴールで一躍「時の人」となった山岸もこれは止められなかった。

 試合開始から、丁寧なビルドアップでG大阪のプレッシングをかわし、敵陣に入り込んでいた山形は、リードされても決して落ち込むことはなかった。失点直後も、ロメロの突破やセットプレーで意欲的にG大阪ゴールを目指した。しかし、長谷川監督が「出てくるのはなんとなく分かっていた」と振り返ったように山形の攻撃は想定内だった。攻め込ませ、奪ってカウンターというパターンはJ1屈指の2トップがいるだけに強烈極まりない。17分に宇佐美のロングドリブルからのフィニッシュは追加点とはならずとも、山形DFを大いに脅かした。

 そして22分、今度も宇佐美がハーフライン辺りで相手コンタクトをかわし前進し、左を並走したパトリックへ。背後を追い越す倉田のフリーランを囮に中へ運んだパトリックは右足で美しいカーブシュートをゴール右上スミに運んだ。「練習でも見たことがない」と倉田を驚かせたゴールでG大阪はまた点差を広げた。

 追う山形のブラジル人エース、ディエゴが右サイドから狙うがサイドネット。これが山形の前半最後のチャンスだった。G大阪の攻から守への切り替えはスピーディで、リードを2点としてからも徹底され、山形のチャンスの芽をことごとく摘み取った。攻めの方ではCKから岩下がヘッド、これはGK山岸の足に阻まれ前半を終えた。

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 「まだ2-0。次の点がポイント」とはハーフタイムの山形・石崎監督。そのプランをいきなりG大阪は壊しにかかるが、フリーシュートをパトリックが外し3点目を逃す。冷や汗をかいた山形はCKの流れから當間のヘッドでG大阪ゴールを脅かす。60分には山﨑から林へスイッチしディエゴを1列下げてG大阪守備陣の狙いを分散させ、そして62分、左サイドを上がった石川のクロスが松岡へ。トラップミスにも見えたがうまくロメロの前にこぼれ、左足ダイレクトシュートはGK東口の堅陣を破った。

 1点差となり歓喜する山形サポーターに後押しされた山形は、宮阪の直接FK、林のポストからディエゴの左足でG大阪ゴールに迫った。ここは「打ち合えばいい」と長谷川監督が同点を覚悟していた時間帯だったが、1点差とされても動揺を見せない東口の安定感あふれるゴールキーピングがその心配を払拭した。

 G大阪は、77分に足を痛めたCB岩下がタンカで退場するが、代役の金がしっかりと補い山形にスキを与えない。逆に山形の右SB山田が足をつり10人となった山形にG大阪攻撃陣が牙を剥く。85分、細かくつなぎ右から遠藤の横パスを下がって受けた宇佐美が右足を一振り、ブロックしようとした當間の足に当たって浮いたシュートにさすがの山岸も頭上を抜かれた。3-1、勝負は決着した。

 長谷川監督はリンス、明神とシーズンを通して貴重なサブだった2人を交代投入し、三冠達成を告げるタイムアップの笛を聞いた。
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 G大阪の三冠は2000年の鹿島以来の偉業。ワールドカップ中断前の不振がバネになったのだろう、中断以降攻守両面での安定感はチャンピオンにふさわしいものだった。今季は昇格組として、そしてチャレンジャーとしてJ1を席巻したG大阪だが、来季は2ステージ制導入、ACL参戦と日程がよりハードになる。さらなる戦力アップでJ1連覇に加えACL2度目の優勝をも期待したいものだ。

 一方、J1昇格に加え初タイトル=ACL参戦と一気に駆け上がりたかった準優勝山形。J1王者に対して奇策を弄せず真正面勝負を挑んだ結果の敗戦だが、来季戦うJ1への予行演習としては最高の場となっただろう。

 山形の健闘は大いに称えられるべきだが、2回戦からここまでの足取りを振り返ると、相手はJ2熊本、JFLソニー仙台、J1鳥栖、J2北九州、J2千葉という顔ぶれ。決勝までにJ1チームとの対戦が1チームだけということで、J1勢の不甲斐なさが露になってしまった。

 もちろんJ1側にも言い訳はある。ヤマザキナビスコカップは若手が経験を積む場とも考えられるが、天皇杯はACL出場権を得られるビッグタイトルだ。その試合を日本代表の活動時期に行なったのは、「天皇杯軽視」の謗りを免れない。来年1月のアジアカップを考慮して特別に日程を前倒しにした結果なのだろうが、当然今季限りとすべきだろう。

 さて、このG大阪の天皇杯優勝によって、来季のACL参加チームが確定した。G大阪、浦和、鹿島は本大会グループステージから、柏はプレーオフから参加することになった。昨今ACLでの不成績が続くJリーグ勢だけに、来季こそ復権を期待したい。


"神の手"西川。広島が2冠に王手

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中倉一志=取材・文・写真
第93回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝
日時/2013年12月29日(日)15:04 キックオフ
会場/国立競技場
結果/FC東京 0-0 (PK4-5) サンフレッチェ広島

にらみ合いのような展開が続いた120分間。「最後の元日の国立」への切符を争う戦いはPK戦へともつれ込んだ。そして、ともに3人目が蹴り終わって時点で3-1でFC東京がリード。いよいよ勝敗が決する。国立競技場に足を運んだ多くの観衆がそう思ったとしても、それは不思議なことではなかった。

しかし、ここから試合は大きく動き出す。その立役者となったのは西川周作だった。まずFC東京4人目のキッカー三田啓貴のPKを右に飛んで弾き返すと、広島の4人目のキッカーとして登場。迷うことなく左へ蹴ってゴールネットを揺らす。そして、FC東京の5人目のキッカー・長谷川 アーリアジャスールのPKを、またも右側へ飛んで阻止。これで流れは完全に広島へと移った。そして、4対4で迎えた6人目に、またもや西川がPKを弾き返すと、最後は野津田岳人が大きくゴールネットを揺らして激戦に終止符を打った。

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「広島はリーグ戦でもリスクを負わずに戦ってきたチーム。そういう相手に対し、決勝に行くために何をしなければいけないかを、今日、見せたいと思っていました。今日に関してお互いのチームが魅力的で美しいサッカーだったとは言えないだろう。相手のミスを待って、そのミスを結果につなげる我慢比べだった。試合を振り返っても我慢比べ。どちらがミスをすれば命取りとなる試合だった。戦術的なところを話せば、興味深いパーフェクトなゲームだったと思います」 ランコ・ポポヴィッチ監督(F東京)の言葉が、この試合のすべてを物語っている。負ければすべてが終わるトーナメント戦。しかも「最後の元日の国立」進出には後一歩。何があっても負けたくないと考えるのは不思議なことではなかった。

それはポポヴィッチ監督の采配にも現れていた。この日のFC東京の布陣は広島と同じ3-4-2-1。最終ラインはチャン・ヒョンスを真ん中に置いて、右に加賀健一、左に森重真人。ダブルボランチには米本拓司と高橋秀人が入り、ウインクグバックは徳永悠平と太田宏介の2人。前線は、1トップの渡邉千真を東慶悟と長谷川 アーリアジャスールがフォローする形だ。攻めきるのではなく、広島と完全にマッチアップする形で相手の特徴を消してしまおうという意図が見て取れた。

そして、試合は睨み合いのような形で進んでいく。最優先は失点を防ぐこと。FC東京も、広島も、相手ボールになると素早く自陣に戻って守備網を張り巡らせる。それでいながら、わずかな隙を突いてゴールを狙うべく神経を研ぎ澄ます。試合はほとんど動かない。しかし、ひとつのミスも許されない緊張感が国立競技場のピッチの上に漂う。

後半に入ると、まずは広島が仕掛ける。ボールを奪う位置を高くし、髙萩洋次郎にボールを集めて攻撃を作る。しかし、FC東京も譲らない。我慢強く相手の攻撃を防ぎながら、東慶悟を起点にして勝負を決めるゴールを狙う。前半に感じられた高い緊張感は時間を追うごとに増し、互いの集中力はさらに研ぎ澄まされていく。それは90分間を過ぎ、延長戦に入っても変わらない。勝負を決するのはわずかなミスか、安易なプレー。しかし、どちらも決して隙を見せない。そして、両者一歩も譲らない試合は0-0のまま120分間が経過。PK戦の結果、広島が「最後の元日決戦」への出場券を手に入れた。

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さて、サンフレッチェ広島の決勝戦進出は、75回、76回、79回、87回大会に続いて、6年ぶり5回目。すべて決勝戦で敗れているが、森保一監督(広島)は力強く話す。 「過去の大会では、リーグ戦の結果は、それほど良いものではなく、トーナメントで勢いに乗って勝ち上がっての決勝戦。しかし、今回はリーグ戦で年間を通して結果を出し、天皇杯では、我々は勢いに乗って勝ったのではなく、勝つべくして勝った。そのチーム状態が、これまでの広島の元日との戦いとは違う。今回は我々が力を出し切って勝ちたいと思う」 それはリーグチャンピオンとしての誇りと自信からくる言葉。2冠を達成すべく、最後の元日の国立競技場に立つ。

【FC東京】
 GK塩田 仁史:
 DF:徳永悠平、森重真人、加賀健一、太田宏介
 MF:高橋秀人(112分/三田啓貴)、米本拓司、長谷川 アーリアジャスール、チャン・ヒョンス、東慶悟(93分/林容平)  FW:渡邉千真(89分/石川直宏)

【サンフレッチェ広島】
 GK:西川周作
 DF:水本裕貴、千葉和彦、塩谷司
 MF:ファン・ソッコ(110分/清水航平)、青山敏弘、森﨑和幸、石原直樹、髙萩洋次郎(107分/浅野拓磨)、ミキッチ  FW:佐藤寿人(86分/野津田岳人)


横浜FM、苦しみながらも92年以来の元日決勝へ

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貞永晃二=取材・文・写真
第93回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝
日時/2013年12月29日(日)13:06 キックオフ
会場/日産スタジアム
結果/横浜F・マリノス 2-0 (前半0-0、後半2-0) サガン鳥栖
得点者/【横浜FM】兵藤慎剛(86分)、中村俊輔(90+4分)

 J1クラブが2回戦に登場した9月上旬からおよそ4ヵ月。サッカー日本一を決める大会、天皇杯は横浜FM、鳥栖、広島、FC東京という4強が勝ち残った。日産スタジアムでの準決勝では、その中の横浜FMとサガン鳥栖が対戦した。

 横浜FMはJ1優勝を最終節で取り逃がしてしまっていた。それだけに、失意のどん底から這い上がり、今季最後のタイトルにかける気持ちは強い。一方、鳥栖は今季前半戦の不振が嘘だったかのように、終盤戦では昨年の大躍進時を髣髴とさせる勢いを取り戻し、九州のJクラブとしては初の決勝進出に挑む。

 スタメンを見ると、横浜FM側では出場停止の右SB小林祐三に代わって奈良輪雄太が入っただけ、それ以外の21人はともに準々決勝のメンバーがそのままピッチに登場した。

 序盤は前線から激しいプレスで横浜FMのパスワークを阻もうとする鳥栖がペースを握ったが、ボールを奪取しても、攻撃へとスイッチが切り替わるタイミングでのパスミスが多発し、DFライン背後のスペースを狙うロングフィードも精度を欠いていた。鳥栖の尹晶煥監督は、「力が入りすぎていた」と語ったが、タイトル奪取への渇望感から過緊張状態になってしまっていたようだ。

 一方、中村を必ず経由させるビルドアップから虎視眈々とチャンスをうかがう横浜FMも、鳥栖の守備ブロックをこじ開けられず、シュートを打てない時間が続く。それでも18分の奈良輪のシュートから横浜FMがボールを支配する時間が増えていく。齋藤学、中村俊輔が連続して鳥栖ゴールを襲った。しかし、何度かあったFKのチャンスは中村らしくないキックでチャンスにはつながらないまま、前半が終了した。

 後半開始から、横浜FMは右足首を痛めた栗原がファビオに代わる。そして、前半以上に横浜FMがポゼッションで上回るが、両サイドの局地戦からなかなか抜け出せず、決定的な場面を作るまでには至らない。時折鳥栖が繰り出すカウンターも迫力を欠く。そして、残り20分となって交代で右サイドに水沼宏太が入るが、攻め込む回数こそ増えたがチャンスには結びつかない。

 ジリジリする展開が続き、スタジアムには延長戦突入なのか、という空気が漂い始めた86分、横浜FMが鮮やかな展開から鳥栖ゴールをこじ開け先制する。左サイドの齋藤が逆サイドへ振る。受けた奈良輪がゴールエリア近くに位置取りした藤田祥史に速いボールを当てると、その落としを兵藤慎剛がダイレクトで左足シュート。鳥栖GK林彰洋が精一杯長い手を伸ばしたが届かなかった。歓喜の横浜FMの選手たちがトリコロールのサポーターの元へと走り寄る。

 残り時間も少ない中、選手交代で同点を狙う鳥栖だったが、経験豊かな横浜FMの選手たちは、鳥栖の焦る気持ち利用して、巧みなボール回しで時間を使っていく。しかし、ただ逃げ切ろうとするのではないところが、今季の横浜FMの強さなのだろう。アディショナルタイムに入り、富澤清太郎のパスを中央右寄りで受けた中村俊輔がドリブルでゴールへ向かう。DF菊地直哉と正対しながらも、タイミングを外すように左足を振った。ここでも再びGK林には止めるすべはなく、ボールは左ポストをヒットしゴール内へ転がりこんだ。この場面の直前にはボールキープの中心となっていた中村だったが、チャンスと見るや、隠していた牙を剥いた。試合を決着させる美しいゴールで試合はタイムアップの笛を聞いた。

 鳥栖の夢、九州勢の大願は決勝を前についえた。尹晶煥監督も、「実力が顕著に出てしまった」と完敗を認めた。トータルシュート数がわずか4本ではやはり勝利を呼び込むのは難しい。得点源であるエース豊田陽平が中澤佑二とのマッチアップに抑え込まれたことが響いた印象だ。しかし、リーグ終盤戦からの鳥栖の快進撃は、一昨年巻き起こした鳥栖旋風の再現を来季に期待させるものだったことは間違いない。

 苦しみながらも結果を出した横浜FM。決勝進出は前身の日産自動車が読売クラブを降して優勝を果たした第72回大会(1992年度)以来のこととなった。樋口監督は当時を懐かしみながらも、ファン、サポーター、チームOBたちを決勝の舞台、国立へ連れて行ける喜びを素直に口にした。

 横浜FMが元日に相まみえる相手はJ1リーグ戦で逆転で優勝を奪われた広島に決まった。今どのチームよりも倒したい相手であることは明らかで、モチベーションが最高レベルだろう。しかし、この日1-0でリードしていたアディショナルタイム、ホイッスル後にシュートした藤田祥史が遅延行為で警告を受け決勝は出場停止。チームを離れたマルキーニョスの穴を埋めてきた彼の欠場は痛いが、こんなときほど問われるのが本当のチーム力だ。Jリーグ開幕前に「天皇杯の日産」と呼ばれたチームが再び頂点を極めるか注目したい。

【横浜F・マリノス】
 GK:榎本哲也
DF:栗原勇蔵(HT/ファビオ)、ドゥトラ、中澤佑二、奈良輪雄太
MF:兵藤慎剛、中町公祐、齋藤学(90+1分/小椋祥平)、中村俊輔、富澤清太郎
FW:藤田祥史(90+4分/端戸仁)

【サガン鳥栖】
 GK:林彰洋
 DF:磯崎敬太、坂井達弥(90+1分/岡田翔平)、丹羽竜平、菊地直哉
 MF:金民友(82分/金井貢史)、藤田直之、早坂良太、高橋義希
 FW:豊田陽平、池田圭(71分/水沼宏太)


ショルジーニョ監督の思い出

121224_01.jpg 取材・文・写真:中倉一志

 23日、味の素スタジアムで行われた第92回天皇杯全日本サッカー選手権大会準々決勝・ジェフユナイテッド千葉vs.鹿島アントラーズの試合終了後のジョルジーニョ監督(鹿島)の記者会見を聞きながら、ある出来事を思い出していました。それは、今から14年前に行われた第78回天皇杯3回戦終了後の出来事でした。場所は笠松運動公園陸上競技場。対戦カードは鹿島アントラーズvs.筑波大学。当時、鹿島アントラーズに選手として在籍していたジョルジーニョの日本での最後の試合でした。

 翌日の飛行機でブラジルに帰ることになっていたジョルジーニョ選手は、日本での最後の挨拶をするために記者会見場にやってきました。そして、窓の外から会見場を覗きこんでいたファン・サポーターの姿に気がつくと、自ら窓を開けて最後の交流を始めました。どんな時でも、誰を隔てることもなく、ファンを大切にするジョルジーニョ。それは、日本で過ごした4年間で、一度も変わらなかった姿でした。ただひとつ残念だったことは、その記者会見場にいたのが、私と、かなり年輩の記者(?)の2人だけだったことでした。

 けれど、その状況が思わぬ事態に発展します。会見場には、まだ協会役員も、通訳も現れていません。そんな中、ファンサービスを続けるジョルジーニョの姿を眺めながら、どちらからともなく、私たち2人の目が合いました。「やっちゃおうか」と目で問いかけてくる年配の記者。「いいんじゃないですか」と目で応える私。そしてジョルジーニョに近付いて行きました。手にしていたのはサインペンと大会パンフレット。その時のパンフレットは、今も私の大事な宝物です。

 そして、ブラジル代表としてW杯優勝を経験し、日本では鹿島の数々のタイトル獲得に貢献したジョルジーニョの最後の記者会見としては、あまりにもさびしい状況の中、ジョルジーニョはいつもと全く変わらない真摯な態度で話をしてくれました。どんな時も、ファン、サポーター、メディアを大事にし、どんな時でも真面目な態度を崩さずに全力で対応する姿を見て、長きに渡って世界の第一線を歩くということが、どのようなことであるのかを教えられたような気がしたものです。

 当時と立場は変わりましたが、昨日の記者会見での真摯な態度は、あの時と全く変わることはありませんでした。そして、自分の考えをきちんと説明する姿を見ながら、聞かせてもらう側も、もっと、もっと勉強しなくてはいけないと改めて教えられているような気持ちになりました。天皇杯準決勝は横浜F・マリノスvs.柏レイソルを取材する予定ですが、元旦の決勝戦では、あの時と同じように、日本を去る前の最後の記者会見に同席させてもらえることを願っています。さすがにサインをもらうことは無理でしょうけれども(汗)・・・



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